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シリアスマン

  • コーエン兄弟の最高傑作! ――ラリー・キング(ラリー・キング ツイッター)
  • ★★★★★!最高におもしろい!コーエン兄弟はこれまでになく最高である!
    ――サンフランシスコ・クロニクル by ミック・ラサール
  • 最高に面白い!コーエン兄弟に拍手! ――シカゴ・サンタイムズ by ロジャー・エバート
  • まじめに、おもしろい! ――ヴァニティフェア  byマイケル・ホーガン
  • おもしろい!人間味にあふれて、まじめで、とても面白いことを保証する!
    ――ローリング・ストーン byアン・トンプソン
  • 深く、挑発的で、ウイットに富んでいる! ――USAトゥデイ by クローディア・プュッグ
  • シリアスにおもしろく!魅了される! ――ローリング・ストーン by ピーター・トラヴァース
  • ★★★★★!この映画をすぐに見なさい! ――タイムアウト by ジョシュア・ロスコップ
  • シリアスにおもしろい! ――ハリウッドリポーター byマイケル・レッシャーフェン
http://www.ddp-movie.jp/seriousman/

2011年2月26日(土)より、
ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開

INTRODUCTION

『ノーカントリー』の天才、コーエン兄弟が放つ
ストレンジで刺激的な面白さに満ちた悲喜劇

『シリアスマン』驚くべき完成度と美学を誇る1984年の犯罪映画『ブラッド・シンプル』で鮮烈デビューを飾り、その後は無尽蔵にあふれ出る奇想と魔法のごとき演出力で、一作ごとに世界中を魅了してきたジョエル&イーサンのコーエン兄弟。2007年の『ノーカントリー』でアカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞に輝き、名実共にアメリカ映画界の頂点に立った彼らは、今や巨匠と呼ぶにふさわしい存在となった。それに続いてブラッド・ピット、ジョージ・クルーニーらのビッグネームとのコラボレーションを楽しむかのように、軽やかに撮り上げたブラック・コメディ『バーン・アフター・リーディング』も記憶に新しい。
そんな名うての兄弟監督の最新作は、『ハート・ロッカー』『アバター』『第9地区』などとともに第82回アカデミー賞の作品賞候補に名を連ねた話題作『シリアスマン』である。いつものコーエン兄弟作品がそうであるように、波瀾万丈のストーリーがあれよあれよと展開していくが、怒濤のサプライズが続出するこの映画は、ジャンル分けすら容易ではない“底知れない面白さ”が満ちあふれている。巨匠であると同時に、鬼才とも曲者とも称されるコーエン兄弟ならではの“ストレンジ”なテイストが全編を支配し、またしても観る者をかつてない刺激的な映像体験へと誘う。まだかまだかと首を長くして日本到着を待ったすべての映画ファンの期待を裏切ることなく、なおかつあらゆる予想を根こそぎ吹っ飛ばす破格の野心作の登場だ。

人間のおかしさが弾け、人生の不条理が暴走する
“世界一不幸な男”の想像を絶する運命とは?

時は1967年。アメリカ中西部郊外に住むユダヤ人の大学教授ラリー・ゴプニックは、ひたすら平凡な人生を歩んできたマイホーム・パパだ。それぞれ秘密を抱えた息子ダニー、娘サラ、兄アーサーと暮らす彼は、妻ジュディスから突然別れ話を突きつけられ、ハンマーで脳天を殴られたようなショックを受ける。さらに落第点をつけた学生からワイロを渡され、隣人トラブルにも頭を悩ますラリーは、やがてモーテル暮らしを強いられ、こつこつ貯めた銀行預金も底をついてしまう。そんな相次ぐ不運を嘆くラリーは「なぜ自分だけがこんな悲惨な目に?」の答えを求めて、地元コミュニティーの指導者であるラビたちのもとを訪ねるのだが……。
いわば、これは人生崩壊まっしぐらの一大パニックに陥った“世界一不幸な男”の運命をたどる2週間の物語。コーエン兄弟の作品では、しばしば犯罪に関わった人間の破滅が描かれるが、本作の主人公ラリーは何ひとつ悪さをしていない。むしろ善良で無害な小心者が、常識ではありえないほどの厄災に嵐に見舞われてしまう。そう、まさしくこの映画は常識外れ。悪い奴が懲らしめられる、いい人の努力が報われる、といった因果応報の“納得感”がどこにも見当たらないのだ!

『シリアスマン』2主人公の置かれた状況がドミノ倒し的に悪化していく物語の流れは、これまでのコーエン兄弟のほぼ全作品に共通し、今回はそこに『バートン・フィンク』『ノーカントリー』にも通じる不条理フレーバーを濃厚に加味。『ファーゴ』『ビッグ・リボウスキ』などで人間の悲哀や滑稽さをあぶり出してきた鋭い観察眼、つい癖になってしまうドライ&シュールなユーモア感覚も健在だ。おまけに観る者を呆然とさせるのは、冒頭と中盤に挿入された奇妙な小話である。“悪霊”と“歯”にまつわるそのふたつのエピソードは珠玉の短編映画のような出来ばえだが、どちらも明確なオチがなく、この映画に盛り込んだ真意すら不明。主人公ラリーがたどり着くラスト・シーンの唐突感も含め、大いに謎の残る異色作となった。にもかかわらず結果的に、この世の真理のようなものをさらりと大胆に浮き上がらせてみせるコーエン兄弟の懐の深さには、やはり脱帽せざるをえない。

コーエン兄弟が少年期のルーツをたどった
1967年の中西部、ユダヤ人コミュニティーの世界

主要ロケ地となったミネソタ州ミネアポリスは、コーエン兄弟の出身地だ。つねに物語の背景となる“時代”と“場所”にこだわる彼らは、少年時代を過ごした1967年のミッドウエストに舞台を設定し、「たとえ長い間離れていようと逃れられない、自らのアイデンティティーの一部」(イーサン・コーエン)の映像化に取り組んだ。主人公とその周辺の人々が属するちょっと神秘的なユダヤ人社会も、兄弟にとっては馴染み深いコミュニティー。劇中に登場するラビのキャラクターは、彼らが子供の頃に知っていた宗教指導者を下敷きにしたという。あまりにも型破りな内容ゆえに“半自伝的”とまで言うのはいささか大げさだが、希代の天才兄弟のルーツの一端が覗けるようで興味は尽きない。
監督、製作、脚本を兼任したコーエン兄弟をサポートするスタッフは、常連の切れ者たちで固められた。撮影監督は、コーエン兄弟作品4本を含む8作品でアカデミー賞にノミネートされた実績を持つロジャー・ディーキンス。『ブラッド・シンプル』以来のパートナーであるカーター・バーウェルが音楽を担当し、ジェファーソン・エアプレインのヒット曲「あなただけを」が挿入歌として強烈な印象を残す。そして「観客にあまり知られていない俳優を起用したかった」との兄弟の意向により、ニューヨークの演劇界を中心に活躍するマイケル・スタールバーグを主演に抜擢。脇役陣にも個性豊かな風貌の実力派がひしめき、“一寸先は闇”な人生の悲喜こもごもを絶妙のアンサンブルで体現している。

ジュエル&イーサン・コーエン兄弟公式インタビュー はこちら

2011年2月26日(土)より、ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開

Production Note

〈コーエン兄弟のアイデンティティーの一部を反映した企画〉

『シリアスマン』3『シリアスマン』はジョエル&イーサン・コーエンが育った時代の、非常に馴染み深い場所からの視点で語られた物語だ。イーサンが語る。「この映画は、1967年のミッドウエスタン郊外にあるユダヤ人コミュニティーを舞台にしている。ジョエルと僕はミッドウエスト出身だから、この設定は僕らの子供時代を思い起こさせるものだ。社会的環境、舞台全体は僕らにとって重要で、この物語の展開の大きな部分を占めていたし、育った場所というのは自らのアイデンティティーの一部だ。たとえ長い間離れていたとしても、そこから逃れることはできない」。
次にジョエル・コーエンが語る。「ある場所の風景は物語の多くを語る。そのプロジェクトの始まりが何年も前のことだとしてもだ。僕らはユダヤ教の成人式を迎え、昔のラビに会いに行く少年についての短編映画を作ろうと思っていた。そのラビのキャラクターは、僕らが子供の頃に知っていた、あるラビをおおまかにモデルにしたものだった」。そのラビについてイーサンが回想する。「僕らが知っていたこのラビは賢者だった。いわばヨーダだね。彼は何も語らなかったが、すごくカリスマ性があったんだ」。やがて脚本は企画開発され、ジョエルいわく「今ある長編は短編とはまったく違ったものになっていて、他のことも盛り込まれているんだ」という。

〈主人公ラリーと、冒頭の不可思議な“昔話”について〉

ジョエルがラリー・ゴプニックという架空の主人公について語る。「ラリーは、僕らの馴染みある人々を参考に作り上げたキャラクターだ。ラリーは大学の教師で、僕らの両親も学究者だったんだ。両親を通じて、僕らは大学の教授という人種にたくさん出会った。それにラリーは、僕らが育ったのと大差ないコミュニティーにいる中年のユダヤ人の父親で、そこにはそういう人たちがたくさんいたんだよ」。
当初、この脚本はラリーとその息子ダニーについて等分に書かれていたが、脚本が開発されるにつれて、その度合いが変わっていったという。イーサンが認める。「僕らにとって、この物語のおかしさはラリーをいじめる新しい方法を考案することだった。彼の人生は加速度的に悪くなっていく」。
『シリアスマン』の大部分は1967年のミッドウエストの郊外を舞台にしているが、映画はそれよりも100年も昔のポーランドのシュテットル(小さなユダヤ人の村)のエピソードで幕を開ける。そこでは奇異な昔話が、完璧にイディッシュ語で展開していく。その理由をイーサンが説明する。「僕らは、小さな自己完結した物語がこの映画の導入にふさわしいと思っていたんだ。しかし適当な昔話を知らなかったので、自分たちで作ることにした」。ジョエルが付け加える。「その昔話は後に続くストーリーと何の関係もないが、この映画の構想を始めることのきっかけになったんだ」。

〈偉大なるマントラか、それともホラ話か。俳優たちが語るコーエン兄弟の世界〉

『シリアスマン』4『シリアスマン』には著名なスターは出ていない。そのキャスティングの方針についてジョエル・コーエンが説明する。「僕らはぜひとも観客にあまり馴染みのない俳優を主演にしたかった。マイケル・スタールバーグは、ニューヨーク在住の演劇好きなら知っているかもしれないが、映画ファンには比較的知られていない存在だ。彼の舞台での活躍から、僕らは彼がどれほどいい役者か承知していた」。
トニー賞ノミネート俳優のスタールバーグは、もともとイディッシュ語で書かれたこの作品のプロローグの部分の読み合わせのために呼ばれていた。コーエン兄弟はいたくスタールバーグの演技に感銘を受け、彼を呼び戻した。そしてスタールバーグはヴァーモントの劇場にいたときにジョエルからの電話を受け、「お待ちかねの知らせだよ、君がラリーを演じるんだ」と告げられたという。「読んですぐに、私はこの脚本に惚れ込んでしまった。全体の物語とそのひねりと展開に驚嘆し、構成された芸術性を十分に堪能した」。そう語るスタールバーグが撮影を振り返る。「ほとんど毎日、現場にいられたことは幸運だった。コーエン兄弟がどのように仕事に取り組んでいるか、なぜあれほどすべてが流麗なのかを知るのはとても勉強になったよ」。
そんなスタールバーグが冒頭の引用文を持ち出しながら、この映画について語る。「“あなたに起きることすべてをあるがままに受け入れなさい”。私たちが自分の人生をどのように生きるのかについて、心の中にとどめるべき偉大なマントラのような作品だ」。アーサー役の俳優リチャード・カインドの見解は次の通りだ。「この映画はジョエル&イーサン・コーエンが、どのように世界と“人間のありよう”を見ているかを示していると思う。それに、とても哀しい“ろくでなし”についての、優れたホラ話でもあるね」。

〈地域密着の製作方針と、ユダヤ人コミュニティーという題材について〉

「『ファーゴ』を撮ったときがそうであったように、多くの役柄は地元の俳優が演じている」。ジョエル・コーエンの言葉の通り、この映画は撮影地であるミネアポリス出身の俳優を数多くキャスティングし、エキストラも募集した。キャスティング・ディレクターのレイチェル・テナーは、ミネアポリスとセントポールでかなりの時間を費やし、ユダヤ人の若者センター、高齢者居住地区、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)などを訪問した。イーサンが語る。「僕らはハリウッド・タイプに対抗する本物のユダヤ人をキャスティングしたかった。彼らは普通のユダヤ人だ。それが僕らが伝えたかったことだからね。それはサブカルチャーであり、フィーリングだ。ニューヨークやロサンゼルスのユダヤ人コミュニティーとは違うものなんだよ」。ロケーション・マネージャーのタイソン・ビドナーが証言する。「ミネアポリスのユダヤ人コミュニティーが実際にこのプロジェクトを支えてくれた。人々は皆、熱心にキャスティング・オーディションに参加してくれたので、僕らはすばらしい人々や俳優を見つけられたんだ」。
 映画とコミュニティーの関係についてジョエルが語る。「僕らはこの映画で、できるだけ現実のコミュニティーに関わりたかった。僕らが通っていた地元の宗教的指導者は全員、この物語について優れた視点とユーモアのセンスを持っていた」。イーサンが報告する。「時々、聞かれるんだ。“あなたがたはユダヤ人を馬鹿にしているわけではありませんよね?”ってね。僕らはそんなことはしていない。でも、僕らは全体のコミュニティー、あるいは民族性に対して、あまりいいように言っていないように受け取る人もいるだろうね」。ジョエルが言う。「自分に関わることだと、人はちょっと不安になる。僕らの見解では、『シリアスマン』はコミュニティーにとても愛着を抱いている作品だ。そして、この映画は普段多くの人が目にすることのない、ユダヤ教というものを示すものになるだろう」。

ジュエル&イーサン・コーエン兄弟公式インタビュー はこちら

C R E D I T

キャスト
ラリー・ゴプニック / マイケル・スタールバーグ アーサー伯父さん / リチャード・カインド
サイ・エイブルマン / フレッド・メラメッド ジュディス・ゴプニック / サリ・レニック
ダニー・ゴプニック / アーロン・ウルフ サラ・ゴプニック / ジェシカ・マクマヌス 離婚弁護士 / アダム・アーキン

監督・脚本・プロデューサー / ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
エグゼクティブ・プロデューサー / ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
エグゼクティブ・プロデューサー / ロバート・グラフ 撮影監督 / ロジャー・ディーキンス ASC, BSC
編集 / ロデリック・ジェインズ プロダクション・デザイナー / ジェス・ゴンコール
衣装/メアリー・ゾファー 音楽 / カーター・バーウェル キャスティング / エレン・チェノウェス、レイチェル・テナー
(c) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
原題:A Serious Man/2009年/アメリカ/106分/カラー/ドルビーデジタル/ビスタ/
字幕翻訳・佐藤真紀/提供:Focus Feature International
配給:フェイス・トゥ・フェイス  宣伝:メゾン
http://www.ddp-movie.jp/seriousman/

2011年2月26日(土)より、ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開

ミラーズ・クロッシング (スペシャル・エディション) [DVD]
ミラーズ・クロッシング
(スペシャル・エディション) [DVD]
  • 監督:ジョエル・コーエン
  • 出演:ガブリエル・バーン,アルバート・フィニー,マーシャ・ゲイ・ハーデン,ジョン・タトゥーロ,J・E・フリーマン
  • 発売日:2010-06-25
  • おすすめ度:おすすめ度5.0
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  • 監督:イーサン・コーエン
  • 出演:ティム・ロビンス,フランシス・マクドーマンド,ジェフ・ブリッジズ,ジョン・ゲッツ,ジョージ・クルーニー
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  • おすすめ度:おすすめ度5.0
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2011/02/04/19:49 | トラックバック (0)
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