新作情報
コーエン兄弟最新作

ノーカントリー

異様なまでに生真面目な殺し屋と、
時代に取り残された保安官──
ふたりの男に追われる男の可笑しいほど残酷な運命

★ニューヨーク映画批評家協会賞 最多4冠受賞
(作品賞、監督賞、助演男優賞[ハビエル・バルデム]、脚本賞)
★サンフランシスコ映画批評家協会賞 監督賞受賞
★ナショナル・ボード・オブ・レビュー 最多3部門受賞 (作品賞、脚色賞、アンサンブル演技賞)
★ワシントンDC映画批評家協会賞 最多4部門受賞
(作品賞、監督賞、助演男優賞[ハビエル・バルデム]、アンサンブル演技賞)
★ボストン映画批評家協会賞 2部門受賞 (作品賞、助演男優賞[ハビエル・バルデム])
★ニューヨーク・オンライン映画批評家協会賞 助演男優賞受賞[ハビエル・バルデム]
他各国の映画賞でも受賞・ノミネート多数

2008年3月15日(土)より、日比谷シャンテシネ他全国ロードショー

INTRODUCTION

静寂のなかに漂う異様なまでの緊迫感──
コーエン兄弟の最高傑作誕生!

ノーカントリーメリカの荒涼たる西部、テキサスの町でひとりの男が麻薬密売にからんだ大金を発見し持ち去ることで、その危険な金を巡り謎の殺し屋や警察が動き出す。追う者と追われる者。彼らの行く先々には無数の死体が転がり、荒野は血の海に染まる──。
ーエン兄弟待望の新作は、ここ数年ご無沙汰だったいかにもコーエンらしい作風が久々に復活した、スタイリッシュ・スリラー・サスペンス。デビュー作品の『ブラッド・シンプル』から、『ミラーズ・クロッシング』、『バートン・フィンク』、『ファーゴ』、さらには『バーバー』といった作品に共通するノワール的要素を含みながら、本作では常にこだわりぬく音楽をあえて抑制。静寂が引き起こす緊迫感と恐怖を観ている者の内側から引き出すという新たな挑戦を試みた。コーエン兄弟らしさをたっぷりと凝縮しながらも、さらに一歩先へと踏み込んだ本作は、2007年カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品され批評家からも大絶賛。「コーエン兄弟の最高傑作!」との呼び声も高い。

世界各国から集結した豪華キャストの渾身の演技に注目!

強くスリリングなストーリーにより深みを与えているのが、個性派俳優たちによる渾身の演技だ。
品全体を見渡し語り手として物語の中心に位置するベル保安官には、『ハリソン・フォード 逃亡者』('93)でアカデミー賞助演男優賞を受賞したトミー・リー・ジョーンズ、ルールにやたら執着する、生真面目で冷酷な殺し屋には『海を飛ぶ夢』('04)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたスペインを代表する俳優ハビエル・バルデム、金を奪い追いかけられる運命を選んだ男には、本作をきっかけに今一番注目されている、ジョシュ・ブローリン。さらに、南部アクセントを完璧に習得して強くタフな女性を演じるスコットランド人女優のケリー・マクドナルド、カメレオン俳優ウッディ・ハレルソン、ベテラン女優のテス・ハーパーが脇を固める。テキサスに集結した多国籍キャストが、それぞれに与えられた役柄をパーフェクトに演じながら、圧倒的な存在感でスクリーンを魅了する!

米文学界の異端児コーマック・マッカーシーの原作をコーエン兄弟が映画化。奇跡のコラボレーションが実現!

1992年「すべての美しい馬」で全米図書賞と全米書評家協会賞を受賞し、これに続き'98年までに国境三部作を完結させ、'90年以降のアメリカ文学をリードし続けているコーマック・マッカーシー。変わり行くアメリカ西部を背景に描き出す類まれな小説の数々でその名を広く知られ、2006年に発表した「The Road」ではピューリッツアー賞を受賞。米文学界の重鎮で、現代アメリカ文学界を代表する作家である。  本作の原作である「血と暴力の国」('03)は、そんなマッカーシーのもっとも本能的で、多重構造的な現代の物語を特色とする小説のひとつでありながら、本格的な犯罪小説でもある。マッカーシーが描く登場人物の薄暗いウィットと飾り気のない人間性を描くのに、ジョエル&イーサン・コーエンほどぴったりマッチする映画人はいないだろう。マッカーシー小説のページに描かれた力強さは、コーエン兄弟の手により印象的な映像と歯切れのいい会話へと変貌を遂げ、最強のペアがタッグを組むことで、強烈な説得力をもつ作品が誕生したのである。

もはや誰にもとめられない。
すべての人を裏切る結末へと物語は加速する──。

然大金をみつけた平凡な男モス(ジョシュ・ブローリン)が、金を持ち去ることで運命の歯車が大きく狂い始める。法と正義を信じる年配の保安官べル(トミー・リー・ジョーンズ)や警察を巻き込みながら、執拗に追ってくる謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)から逃げるモス。突如、血と終わりのない暴力に染まるフロンティアで男たちは何を見て、どこへ向かっていくのか? そして、待ち構える結末はいかに?
作中、ひときわ異彩を放つ、殺し屋シガーは、コインの裏表で殺しを決め、目的の為には自分の体でさえも道具としか考えていない、"純然たる悪"。反面、ルールに忠実で、生真面目、姿勢もよく、礼儀も正しい。すべてにおいて完璧ゆえ、悪にも神にも見えてしまう存在だ。
いた保安官が語り手となり、失われていく昔かたぎのフロンティアを嘆きながら綴られる『ノーカントリー』。しかし、本作は老いた者の小言などではなく、'80年代以降暴力的な無法地帯と化し成長してきた西部に対するアメリカ全土の嘆きを代弁し、静かに、だけど鋭く心に突き刺さる!

Story

すべての始まりは1980年代アメリカのテキサス──メキシコ国境に近い砂漠にて。

■逃げる男:ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)  狩りをしていたベトナム帰還兵のルウェリン・モスは、偶然死体の山に囲まれたピックアップ・トラックを発見する。そのトラックの荷台には大量のヘロインと200万ドルという大金が残されていた。モスは自分の人生を大きく変えることを知りながらも、その金を奪ってしまう。この瞬間からモスの命は狙われることになる。追っ手に車のタイヤを撃ち抜かれ、肩に銃撃をくらったモスは懸命に自宅へと逃げ帰った。現場に置き去りにした車の検査証プレートが相手に渡ってしまったいま、自分の身元は簡単にわれてしまうだろう。身の危険を感じたモスは愛する妻カーラ・ジーン(ケリー・マクドナルド)に実家に帰るように命じ、自分は金の入ったカバンと共に逃亡の旅に出る。

■追う男1:アントン・シガー(ハビエル・バルデム)  消えた金を取り戻すために雇われた、コインの表裏で殺しを決める殺し屋アントン・シガーは、金が奪われた現場に来ていた。金を奪った男の車や状況を確認した後、自分を案内してきた麻薬の売人をその場で始末する。そして、盗まれた金に取り付けられていた発信機と、ホースの先から圧縮した空気が飛び出すエアガンのような不気味な酸素ボンベを携え、モスの行方を追いはじめる。

■追う男2:エド・トム・ベル保安官(トミー・リー・ジョーンズ)  翌朝、エド・トム・ベル保安官と部下のウェンデル(ギャレット・ディラハント)が現場検証にやってきた。そこに残された検査証プレートの外されたモスのトラックと、無残に横たわる死体の山を見たベル保安官は、モスが事件に巻き込まれたのではないかと考える。このままでは彼の命が危ないと思ったベルはモスの身柄を保護するため、そして殺し屋を捕らえるために彼らの行方を追う。

■逃亡劇の開始  モスは別の町のモーテルにチェック・インし、金も隠して用心を重ねていた。しかし、すぐに殺し屋シガーは自分の居場所をかぎつけやってきた。慌てて別のホテルへと隠れ場所を移動するモス。しかし、時すでに遅し。シガーはもう目の前まで来ていた。シガーはボンベのようなエアガンで、モスが隠れる部屋の錠のシリンダーを打ち抜いた。そのシリンダーがモスの腹に命中し、モスの腹からは血があふれ出す。激痛に耐えながらも金を持って部屋から脱出したモスは、メキシコへと逃げ倒れこむ。
 モスが次に目を開けたのは病院のベッドの上だった。そこにはカーソン・ウェルズ(ウッディ・ハレルソン)と名乗る別の殺し屋が座っていた。ウェルズは「素直に金を渡せば命は助けてやる」と、モスに取引を申し出る。

■三者を待ち受ける運命のクライマックス  モスは病院からウェルズに電話をかけた。しかしその電話に出たのはシガーだった。「おれに会いに来い。金を渡せば女房を見逃してやる。でないとふたりとも死ぬことになる。これが最良の取引だ」。妻という弱みを握られたモスは「分かった」と答えるしかなかった。しかし、ベトナムを体験・生還したモスは金を奪い殺人鬼から逃げおおせる自信があった。  一方シガーのほうは、金は自ずと自分の所に戻ってくる運命にあり、自分から逃げられる者はいないという自信があった。
 その頃、ベル保安官は実家に戻っていたカーラの元を訪れていた。モスがいかに危険な状況に置かれているかを説明し、彼を助けたければモスの居所が分かり次第すぐに自分に連絡をするように説得する。冷静な目を持つ法の男ベル保安官は、昔ながらの秩序と正義が悪に勝つという自信があった。

 はたしてベル保安官はモスを救うことができるのか? モスは逃げ切ることができるのか? そしてシガーはモスを射止めることができるのか? それぞれの思惑と自信がからみあいながら、男たちは意外なクライマックスを迎えることになる──。

監督インタビュー

●コーエン兄弟

――コーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』を映画化しようと思ったのはなぜですか?

ジョエル マッカーシーのほかの小説にも、好きなものはあったんだ。とりわけ『血と暴力の国』が僕たちにとって映画にしやすい小説だと思ったし、映画として最も興味深いものになりうると思った。脚本にするのもそんなに難しくなかったよ。小説のなかに潜んでいるユーモアと僕らが持つユーモアにどんな共通点があるかどうか、実は自分たちにはよくわからないけれど、自然と似ている部分を感じたのかもしれないね。マッカーシーは撮影中に何度か会いに来てくれたし、完成した映画も気に入ってくれたと思う。

――『ノーカントリー』はこれまでの監督作とくらべて、最も暴力的な作品ですね。とはいえ、シュガーがあまりにも恐すぎて、笑ってしまう場面もありました。

ジョエル 空気銃を片手に歩き回っているシュガーは、どこかコミカルであると同時に恐ろしい。マッカーシーはとてもダークな小説家だと見なされているけれど、確実にユーモアのセンスがあるし、僕らはその部分に強く反応したんだ。ものすごく恐ろしいことのなかに、面白いことが潜んでいるものなんだ。

――シュガーは快楽のためでも誰かのためでもなく、顔色ひとつ変えずに人殺しをしていく。とても不条理で、エイリアンのような存在に思えました。

イーサン そうだね。唯一、彼だけがあの土地出身のキャラクターじゃない。彼のキャラクターは、小説のなかでも映画のなかでも、定義できない、はっきりしないアウトサイダーだ。彼はコイン・トスをして、ほとんど気ままに意味もなく人を殺す。

ジョエル 映画の最初で、シュガーがどこからともなく現れるところがあるけれど、どこから来たかわからない。単に現れるだけ、ほとんど『地球に落ちてきた男』みたいな感じでね。そういう意味でも、シュガーはエイリアンみたいだよね。

イーサン モーテルのドアの後ろにシュガーがいるはずの場面では、僕らは小説よりもそういう部分を強調している。シュガーがゴーストか何かだと思わせるくらいにね。

――ハビエル・バルデムとトミー・リー・ジョーンズを起用した理由を教えて下さい。

ジョエル ハビエルはアルモドバルの映画に出ていた頃から好きだったし、『夜になるまえに』『海を飛ぶ夢』もアメリカで公開されたものはすべて見ているから、ずっと彼と一緒に仕事をしてみたかったんだ。普段、僕らはスペイン語を話す外国人の役者をキャスティングしない。なぜなら僕らはそういうキャラクターを書かないからね。だから今回は、ハビエルをキャスティングできる、稀な機会だったんだ。実際に一緒に仕事をして、彼の演技の何もかもに驚かされたよ。

イーサン トミー・リーは、僕たちが最初に出演を依頼した人なんだ。テキサス出身であの威信を持っている俳優は誰か。そう考えると、彼しかしないよね。

●トミー・リー・ジョーンズ

――これまでのコーエン兄弟監督作に、どんな印象を持っていましたか?

彼らの作品は全部見ていて、どれも好きだよ。特に『ファーゴ』と、この『ノーカントリー』は一番のお気に入りだ。『ファーゴ』は見事に撮影されていてまったく予想がつかないし、フランシス・マクドーマンドが大好きだしね。『ノーカントリー』も、とてもオリジナリティーあふれる映画になっていて、最後まで楽しんで見たよ。

――あなたが演じた保安官のベルは、昔気質なテキサスの男ですね。

"悪の顔"はあっと言う間に変わるけれど、"善の顔"は変わらない。ベルが直面しているのは、そういう問題なんだ。彼はドラッグが国境を超えてくることや、自分が稼いだわけでもないお金のために殺し合いをする人々に慣れることができない。ベルはそんな相手を打ち負かせると感じている男なんだよ。

――『NO COUNTRY FOR OLD MEN』(原題)というタイトルが持つ意味について、どのように考えていますか?

"カントリー=テキサス"についてならよく知っているんだ。生まれた場所だし、幸せに暮らす何人かのオールドマンも知っている。私もあと15分ほどしたら、そうなることが予想されるしね(笑)。でもこの映画のなかのカントリーは地理的なものではなく、寓話的、比喩的に使われているものだと思うね。

●ハビエル・バルデム

――コーエン兄弟と仕事をして彼らのどこが特別だと感じましたか?

彼らはいともたやすくシーンを作り上げているように見えるけど、実際の彼らの努力やその製作過程は誰にもわからないんだ。ただ、どんな困難な状況でもすぐにそれを解決して 会話に基づいたシーンを作り出す。そのあまりの速さにぼくはショックをうけたよ。

――独特の外見とスタイルは役作りの助けになりましたか?

ヘア係のポールがすばらしくてね。ポールがパッとやって突然あの髪型が生まれたんだ。コーエン兄弟もその場にいたんだけど、大笑いされたよ。でも、ぼくは出来上がった髪型を鏡で見て『これでキャラクターの50%ができた』ってつぶやいたけど(笑)。

――映画は多くの意味で荒涼として見えますが、その世界観をどう表現されますか?

これは暴力的な映画だ。でもそこに込められたメッセージというのは、ぼくが体現する暴力には意味がないということなんだ。この映画ではぼく自身が暴力で、誰もぼくを完全に理解できない。つまり、暴力に理由などなくて、なにも解決しないか破壊し尽くしてしまうかなんだ。だったらもっと激しい暴力で止めるしかないと考える人もいるかもしれないけど、それは さらなる痛みと苦しみを生み出す。ぼくが好きなメッセージのある映画だと思うよ。

●ジョシュ・ブローリン

――ルウェリン役は自分にぴったりだと思っていましたか?

少なくとも監督たちの目にはそう映ったんだろうね。ぼくは今作の舞台となったあの辺りで65頭の馬と一緒に牧場で育って、農業もやっていたから。

――ルウェリンはなぜ、直面している敵が自分には到底叶わない巨大な力を持っていることを理解しないのでしょうか?

最初はハビエルが演じるキャラクターのような、ものすごく危険な人間に直面するとは思っていなかったのさ。ルウェリンは選択肢と妻への愛を示すチャンスを与えられて、昔ながらの方法でそれを叶えたかっただけなんだ。このチャンスがなければ、決してふたりが持てないようなものを彼女にあげたかった。彼の選択がぼくにはよくわかるよ。そこにあの死神が現われてしまったんだ。

――今作はコーエン兄弟にしてはキャラクターの言葉数が少ないですが、俳優にとってそれはやりやすいのでしょうか? それともやりにくい?

正直、ぼくはあまり気にしなかった。でも、なんの説明もせずに身体や眼差しだけで言葉があるときと同じ量の情報を伝えなくちゃいけないから、ずっと難しいとは思ったけどね。その点コーエン兄弟はぼくを信じてくれていたからとてもやりやすかった。他の監督とだったら消耗していたかもしれないよ。

C R E D I T

原作本
監督・脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影監督:ロジャー・ディーキンス 美術:ジェス・ゴンコール
衣装:メアリー・ゾフレス 音楽:カーター・バーウェル
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、
ジョシュ・ブローリン、ウッディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド
原作:コーマック・マッカーシー(「血と暴力の国」扶桑社刊)
配給:パラマウント/ショウゲート
提供:博報堂DYメディアパートナーズ
原題:『NO COUNTRY FOR OLD MEN』
2007年/アメリカ/35mm/カラー/シネマスコープ
/ DTS SRD SDDS /122分/R-15
(C)2007 Paramount Vantage, A PARAMOUNT PICTURES company.
All Rights Reserved.
http://www.nocountry.jp/

2008年3月15日(土)より、日比谷シャンテシネ他全国ロードショー

2007/12/30/22:06 | トラックバック (1)
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