新作情報
風にそよぐ草

http://kaze-kusa.jp/

2011年12月17日(土)、岩波ホールほか全国順次ロードショー

INTRODUCTION

幸せな家庭を持つ紳士が、ある日ひとりの女性に心捉われた

風にそよぐ草1風にそよぐ草2人を愛する情熱は、アスファルトの隙間から生える名もなき草のように、雨風に打たれても、踏まれても、強く、しなやかに、決して枯れて絶えることはない……。
出会いは偶然だった。歯科医のマルグリットはある日、街で引ったくりに遭いバッグを持ち去られる。
駐車場の片隅に捨てられた、バッグの中にあった財布。
拾ったのは、初老の紳士ジョルジュ。中に入っていたマルグリットの小型飛行機操縦免許の写真を見て、彼の中で何かが弾けた。
警察に届け、マルグリットの元に戻った財布。彼女がお礼の電話をかける。
ジョルジュが、妻と子供たちと食卓を囲んでいる最中、電話のベルがなった。
「お礼を」、「それだけ?」、「他に何を?」、「“会いたい”とか」、「必要を感じないわ」、「がっかりだ」。
こうして始まったふたりの関係は、周囲を巻き込みながら、思いもよらない方向に転がり始める……。

89歳にして才気あふれるアラン・レネ芸術の到達点

二十四時間の情事』、『去年マリエンバートで』…、1948年にデビューして以来、その革新的手法で、映画史に数々の名作を残してきたフランスの巨匠アラン・レネ監督最新作は、芳醇なワインのごとき、大人のための恋愛映画。しかし凡百のそれとは一線を画し、一筋縄では行きません。
観る者は、サスペンス溢れる謎めいたオープニングにワクワクし、なかなか噛み合わない二人の想いから生まれる喜劇的状況にクスリと笑い、妄想を募らせる主人公にハラハラし、その後のシュールな展開に茫然と息を呑むことになるでしょう。
御年89歳とは思えない瑞々しい若々しさに満ちながら、熟達した映像表現と、大人の遊び心を持ち合わせた本作は、第62回カンヌ国際映画祭コンペ部門に出品。アラン・レネ芸術の一つの到達点として世界の映画人を虜にし、審査員特別賞、特別功労賞をダブル受賞しました。

フランス現代文学の雄、クリスチャン・ガイイ原作

風にそよぐ草3マルグリット・デュラス、アラン・ロブ=グリエ…、時代時代の先鋭的な文学者と組んできた監督が、原作に選んだのは、「さいごの恋」で知られるフランス現代文学を代表する作家クリスチャン・ガイイのベストセラー小説。独特の文章のリズム、繊細な心理描写で世界中にファンをもつガイイの世界を、見事に映像化しています。
撮影は『夏時間の庭』でオリヴィエ・アサイヤス、『クリスマス・ストーリー』他でアルノー・デプレシャンと組んできたエリック・ゴーティエ。
主演はアンドレ・デュソリエ、サビーヌ・アゼマという近年のレネ作品では御馴染みのコンビ。
レネ監督の大ファンと言って憚らないマチュー・アルマリック、『ココ・アヴァン・シャネル』のエマニュエル・ドゥヴォスが脇を固めます。
本作は、映画を観ることの極上の快楽を、きっとあなたの心に甦らせてくれることでしょう。

Staff Profile

監督 アラン・レネ

数々の栄誉に輝くフランスの巨匠。アニエス・ヴァルダ、クリス・マルケルらと共にヌーヴェル・ヴァーグのセーヌ左岸派と呼ばれる。1922年6月3日ブルターニュ地方ヴァンヌに生まれる。子供時代から映画に惹かれ、12歳の誕生日に贈られた8㎜カメラで映画を撮り始める。39年、俳優を目指しパリに出るが、4年後映画編集を学ぶため高等映画学院に入学。1年間の兵役後、46年、パリに戻り映画編集者としてキャリアをスタート。同時に自ら短編映画を撮り始める。短編ドキュメンタリー『ヴァン・ゴッホ』(48)で、アカデミー賞短編賞を受賞。ナチスによるユダヤ人虐殺を扱ったドキュメンタリー『夜と霧』(55)でジャン・ヴィゴ賞、フランス映画大賞を受賞、国際的に知られるようになる。初長編は1959年『ヒロシマモナムール(二十四時間の情事)』。記憶と忘却をテーマに、原爆を受けた広島を舞台にしたフランス人女性と日本人男性との邂逅を描く、作家マルグリット・デュラスとのコラボレーションによるこの作品はカンヌ映画祭で上映、絶賛され、国際批評家連盟賞、映画テレビ作家協会賞を受賞。翌年の『去年マリエンバートで』ではアラン・ロブ=グリエと組み、ヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞。虚実目眩めく幻惑的かつ洗練された映像美で一世を風靡した。63年の『ミュリエル』ではヴェネチア映画祭でデルフィーヌ・セイリグに主演女優賞をもたらす。1966年にはイヴ・モンタンを主役に『戦争は終わった』を監督。反フランコ派の革命家を主人公にしたこの作品は、スペイン政府の反対によってカンヌ映画祭ではコンペ上映をはずされ、コンペ外での出品となったが、国際映画批評家連盟賞を受賞。ルイ・デリュック賞にも輝いた。ゴダールらと共に参加したオムニバス『ベトナムから遠く離れて』(67)、ジャン=ポール・ベルモンドを主演に迎えて商業的な成功を得た『薔薇のスタビスキー』(74)などを経て、ジョン・ギールグッド、ダーク・ボガードを迎え、『プロビデンス』(77)を監督。レネ特有の記憶と時間、虚と実の錯綜する老作家の回想劇で、セザール賞作品賞はじめ7部門受賞。80年の『アメリカの伯父さん』はカンヌ映画祭審査員特別グランプリ、国際批評家連盟賞受賞。80年代以降、レネは舞台、音楽など映画外の素材を自身の映画にいかに組み込むかに興味を持つ。また、サビーヌ・アゼマ、アンドレ・デュソリエら決まった役者陣とよく組むようになる。時々の選択がそれぞれ違った結末を生み出す野心作『スモーキング/ノースモーキング』(93)のレネの独創性に対し、ベルリン国際映画祭は銀熊賞を贈った。同作はセザール賞作品賞ほか5部門を受賞。再びルイ・デリュック賞も受賞。97年の『恋するシャンソン』でもルイ・デリュック賞を贈られる。2000年代に入っても、レネの制作意欲は衰えず、本作が3本目。すでに最新作『Vous n'avez encore rien vu』の撮影も終えているという。

C R E D I T
監督:アラン・レネ
製作:ジャン=ルイ・リヴィ 共同製作:ヴァレリオ・デ・パオリス 製作総指揮:ジュリー・サルヴァドル
脚本:アレックス・レヴァル,ローラン・エルビエ 原作:クリスチャン・ガイイ 撮影:エリック・ゴーティエ(A.F.C) 音楽:マーク・スノー
出演:サビーヌ・アゼマ,アンドレ・デュソリエ,アンヌ・コンシニ,エマニュエル・ドゥヴォス,
マチュー・アマルリック,ミシェル・ヴュイエルモーズ,エドゥアール・ベール
原題:Les herbes folles  原作:クリスチャン・ガイイ「風にそよぐ草」(集英社文庫刊)
2009 / 仏=伊合作 / フランス / カラー / 104分 / シネスコ/ ドルビーSRD 字幕:高部義之 ©F COMME FILM.
http://kaze-kusa.jp/

2011年12月17日(土)、岩波ホールほか全国順次ロードショー

六つの心 アラン・レネ [DVD]
六つの心 アラン・レネ [DVD]
  • 出演:サビーネ・アゼマ, イザベル・カッレ, ラウラ・モランテ, ピエール・アルディーティ, アンドレ・ドゥソリエ
  • 発売日:2011/12/16
  • Amazon で詳細を見る
風にそよぐ草 (集英社文庫) [文庫]
風にそよぐ草 (集英社文庫) [文庫]

2011/12/11/17:46 | トラックバック (1)
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