みちていく
2015年6月27日(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー公開
私を噛んで――
歳の離れた恋人に身体を噛んでもらうことでしか満たされない陸上部のエースみちる。生真面目で部員たちに疎まれる部長の新田。二人は互いの空虚を埋め合うように、だんだんと近づいていく――
増村保造の再来か!21歳の恐るべき新人監督、竹内里紗。
17歳の少女たちを肉感をもって軽やかに描ききったのは撮影時、弱冠21歳の竹内里紗監督。立教大学時代に万田邦敏監督らに師事し、演出の基礎を学び、本作は卒業制作ながら、その完成度の高さが話題を呼び、お披露目した国内の二つの映画祭で、いきなり連続グランプリ受賞という快挙を成し遂げる。増村保造の情熱と完成度、相米慎二の瑞々しさを持ち合わせた、恐るべき才能を秘めた新人監督の誕生が今評判を呼んでいる。
少女たちの嘘と秘密のサークルゲーム
ふたりの少女、みちると新田。陸上部を舞台に、満たされない二人の少女――みちると新田を中心とした10代の多感な少女たちの群像劇。
主演の飛田桃子の独特の存在感と生命力溢れる肉体、山田由梨の凛とした佇まいと繊細な演技、そして監督である竹内里紗の三人の女性たちの生きるエネルギーが結集し、単なるガールズムービーでない重厚な人間ドラマが立ち上がる。
新月の日にお願いごとすると満月の日に叶うんだよ――
歳の離れた恋人に身体を噛んでもらうことでしか自分を実感できない陸上部のエースみちる(飛田桃子)。生真面目で部員たちに疎まれる部長の新田(山田由梨)。夏も近づくある日、みちるは新田の大切な日誌を黙って持ち帰ってしまう。日誌には毎日の練習がびっしりと、そして部員たちの悪口とともに「梅本みちる――なにも考えてなさそう」と書かれていた。みちるは新田の家を訪ね、自分の秘密を打ち明ける。満たされない2人は正反対の性格に惹かれ合い友情を深めていくが、夏休みを目前に新田が部活をやめてしまい……。
監督プロフィール 竹内里紗
1991年生まれ、神奈川県出身。立教大学映像身体学科にて万田邦敏教授のもと劇映画の演出について学びながら、自主映画製作サークル「シネマトグラフ」にて自主映画の製作に携わる。昨年、映画美学校フィクション・コース第17期初等科を修了。4月からは東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域にて映画製作を続けている。
本作の製作の経緯と撮影時期
私は大学で4年間、授業の傍ら映画サークルで自主映画を制作してきました。『みちていく』は修了制作でしたが、私としては単なる課題ではなくこれからの映画制作に繋がる一歩として名刺代わりとなる長編映画を撮ろうという気持ちで望んだ作品です。私が通って来た「過去」(体験談ではなく、高校生という時期という意味です)を題材に、四年間支えてくれた仲間や恩師と共に「現在」何が撮れるかということを考えて作りました。
撮影の日数は1ヶ月くらいでした。半分は夏休みに集中的に、もう半分は授業が始まってから時間を見つけて撮影していました。
映画を作る上でのキャスティングの構想
飛田桃子と山田由梨が出演することが決まっていたので「2人の魅力を活かせるような映画を」と思い、みちると新田というキャラクターやストーリーを考えました。脇を固める部員たちは脚本が先でしたが、サークルに居るメンバーで個性的な雰囲気を持つ子達がいたのですぐに決まりました。朝子や星野といったクラスメイト役や保険医や顧問といった先生役は、山田やスタッフが脚本を読んで合うと思った人を紹介してくれたので、私のイメージとスタッフのイメージとの擦り合わせとなり監督ひとりで選ぶよりも魅力的なキャスティングができたと思っています。また、みちるの姉役の月子や彼氏役の早川は大人と子供を繋ぐ架け橋として少し浮遊感を持った人物にしようと思い、普段は舞台を中心に活動している役者さんにお願いしました。
撮影中の苦労話と楽しかったこと
校舎と陸上トラックの撮影が4日間の日中だけという条件だったのが一番大変でした。リハの時間をとれなかった上、私も事前に絵コンテを書かず撮影場所で演技をつけてからカットを割るタイプなので、私もスタッフも血眼でした。主演の二人も人出が足りず出番の直前まで衣装や美術に駆り出されていて、役だけに集中できる環境でなく苦労したと思います。スタッフが少なかったので常にいっぱいいっぱいでしたが、その分皆で団結していたと思うので私自身は安心して楽しんで撮影できました。特に川沿いの撮影は自然に囲まれて天気もよかったので、こどもたちの遠足やおじいさんの釣りの傍ら、リラックスした雰囲気で撮影ができて楽しかったです。
鶴田理紗・西平せれな・崎田莉永・山口佐紀子・篠原友紀・宮内勇輝・泉水美和子・小野孝弘
監督・脚本・編集:竹内里紗
撮影:松島翔平 照明:山田陽一朗 録音:鈴木冴・岩崎紀子 助監督:武隈風人・鈴木冴
音楽:金光佑実 宣伝美術:石塚俊 協力:立教大学・万田邦敏 宣伝協力:髭田純
制作:シネマトグラフ 配給:トラヴィス
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