──また、本作は目が印象に残る映画でもあります。特にセバスチャンの目は、彼のどこかアンバランスでもがいているような感じが象徴されているかのようでもありました。彼も路上で見つけたのでしょうか。

長谷井　二ヶ月ぐらい歩いたかな。彼を見つけた時はセバスチャンいた！　と嬉しかった。その場で演技してもらって、それで決めました。

──古着屋で白黒の戦争映画がテレビで流れている場面で対比的にブランカとピーターの周りにはカラフルな洋服があります。あるいは、ストリート・チルドレンの子たちが船で話している時にラジオからは資本主義が行き過ぎた末に生まれたような内容のニュースが流れています。そういったコントラストのある場面も印象的でした。

長谷井　ハハハ、そこを言ってくれるのは嬉しいですね（笑）。それでいうと、実はラウルがハンモックで揺られてるそばにドラム缶があるんだけど、そこに貼ってるモノクロの写真があって。それは人類で初めて宇宙に行った三匹の猿の写真です。そこはほとんど誰も気づいてくれないんだけど、ぼくの中では色々なことに対してそれもかなりリンクしています。大きい画面で見れば気づく人は気づくと思う。そういうの色々と入れているので、細かいところまで楽しんでくれたら嬉しいです。