映画『リベリアの白い血』トークイベントレポート Part4/5
4、水道橋博士(お笑いタレント)× 松崎まこと(映画活動家)× 福永壮志監督
アップリンク渋谷にて大好評上映中!ほか全国順次公開
9月4日(月)
登壇者:水道橋博士(お笑いタレント)、松崎まこと(映画活動家)、福永壮志監督【2/4】 (取材:深谷直子)
松崎まことそんな福永監督の話を受けて、水道橋博士が「映画のトーン的には合っている気がしましたね。劇映画がドキュメンタリーと違うのは、やっぱり色彩とか画作りというのをこと細かに描けるところで。ラストシーンとか含めて象徴的にしていて、今日2回目を観たんですけど、初めて観たときには気が付いていないことが多かった」と語ると、松崎さんも「友達との口喧嘩とか家族の生活は、わりと淡々とというか、象徴的に描かれていますよね」と同意し、博士は「だからネイティヴな人が撮ったみたいな感じなんですよ。劇映画なのに日常を映しているような気がすごくした」と感想を述べる。福永監督は笑顔を見せて「ネイティヴっぽいと言ってくださったのはすごく嬉しいです。外から来て撮っているので、実際の生活の世界から離れすぎた画に簡単になってしまうなって思っていて、そういった意味で実在する牧師さんと俳優じゃない人を入れて教会のシーンをドキュメンタリータッチで撮ったりしたので、できるだけ僕の方から歩み寄るということを意識的にしていました」と語った。
牧師の話をきっかけに、話題はアフリカ全般での紛争のことに広がった。松崎さんが「あの牧師さんは実際に人をたくさん殺しているような人なんですよね」と尋ねると、福永監督は「内戦中に裸で闘っていて、兵士を引き連れて何千人も殺した責任があると言われている人なんですけど、内戦の終結後にキリスト教に改心して説教して回っています。彼の兵士や彼自身に親族や大事な人を殺された人もリベリアにはたくさんいるわけで、そういう人物を受け入れるというのは普通だったら考えられないんですけど、そこはもしかしたらそういうふうに人を許していかないと前に進めないというような本当に極限的な状況なのかもしれないです」と神妙な表情。 さらに松崎さんが「アフリカだと少年兵問題があって、誘拐されて殺人マシンにされて、そのあとの社会復帰もすごく問題になっている」と語り、水道橋博士が「リベリアの内戦にはそんなに詳しくはないんですけど、アフリカってすごくそういうことが起こる。そういう知識があって観ると、この映画の主人公もいろんなことがあったのかなとダークな方向で想像が広がる気がしますよね」と映画の話につなげると、福永監督は「ニューヨーク編で内戦中に主人公の知り合いだった人物によって語られる過去の話が、一字一句そのとおりだったとは明確にしていないんです。彼はモラル的に間違ったこともやっていたんだろうけど、少年時代に生きるためにしていた選択だったのだろうという設定です。彼は素晴らしい父親で優しい人物ですが、極限状態では同じ人物でもそういうことが起こり得るということで描いています」と熱を込めて語った。
1 山本政志(映画監督) × 長谷井宏紀(映画監督)2 亀山亮(写真家)
3 大西信満(俳優) × 蔦哲一朗(映画監督)5 深田晃司(映画監督)
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス 録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン 編集:ユージン・イー,福永壮志
美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス 衣装:キャシディ・モシャー
配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム