映画『リベリアの白い血』トークイベントレポート Part4/5
4、水道橋博士(お笑いタレント)× 松崎まこと(映画活動家)× 福永壮志監督
アップリンク渋谷にて大好評上映中!ほか全国順次公開
9月4日(月)
登壇者:水道橋博士(お笑いタレント)、松崎まこと(映画活動家)、福永壮志監督【3/4】 (取材:深谷直子)
福永壮志監督水道橋博士は「リベリアの内戦を知らなかった人も、これを観て知って、映画を反芻していったときに『彼が語ったことって何だったんだろう?』って思うと思いますよ。映画の優れたところはそういうところだと思うんですよ」としみじみ語り、さらに2006年に上映署名運動によって日本公開された『ホテル・ルワンダ』(04)をゾマホンさんと観に行ったときのことを思い返す。「ゾマホンは観たあとめちゃめちゃ怒ったんですよ。『これは外国からの視点でしかない』って言って。『そもそもルワンダの宗主国であるベルギーがフツ族とツチ族とを分けたことに問題がある。それをこんな美談で語られた』と。映画ってやっぱり美談というか美しい物語にしようとするじゃないですか。だからそういう視点で外国人が美しい物語にはできるけど、ネイティヴでなぜそういう問題が起きたかという人にとっては涙で消化されてしまうのは魅力的じゃない。『リベリアの白い血』はそういうふうには描いてないでしょ」との話に、「そういうことをしてはいけないと思ったので、作り方はすごく注意しました」と答えた福永監督も、あらためて思ったことは大きいようだった。
松崎さんから「今後はどんな映画を撮っていきたいですか?」と尋ねられ、福永監督が「この映画を撮ったときも『これが最後かもしれない』と思ってがむしゃらに撮っていて、次はどうとか今後どうとかいうのはあんまりないんですけど、今取り組んでいるのは現代を生きるアイヌの若者の話です。僕は北海道で生まれ育ってアイヌにずっと興味があったんです。2015年の春にこの作品ができあがったんですけど、そのときににいちばん作りたい映画で、それだけではなく作る意義がある映画だと思いまして。アイヌの映画って全然ないので」と答えると、水道橋博士は「番組の仕事で北海道大学に行ったときに、アイヌの博物館的なものがあって、話を興味深く聞いたんですよ。『こういう物語って作られていないなあ』と思ったので、次回作構想を聞いて嬉しいですね。映画がそういうところの入り口になればと」と早くも期待を寄せる。松崎さんも「そうですね、よくわからないものの理解になる。先ほどのゾマホンさんのお話は逆なのかもしれないけど、そういうものを観て感じたことを語れるというのは映画ならではのことですよね」と語った。
1 山本政志(映画監督) × 長谷井宏紀(映画監督)2 亀山亮(写真家)
3 大西信満(俳優) × 蔦哲一朗(映画監督)5 深田晃司(映画監督)
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス 録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン 編集:ユージン・イー,福永壮志
美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス 衣装:キャシディ・モシャー
配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム