ダニエラ・ヴェガ (女優)
公式インタビュー
映画『ナチュラルウーマン』について【1/2】
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2018年2月24日(土)シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
年の離れた恋人を突然亡くしたことで、世間からの差別や偏見を浴びせられるようになったトランスジェンダーの歌手が、理不尽な現実を乗り越えて前を向いて歩き始める姿を描き、2017年ベルリン国際映画祭で脚本賞を受賞したほか、2018年米アカデミー賞®では外国映画賞チリ代表にノミネートされるなど世界的に注目を集めている映画『ナチュラルウーマン』で主演女優を務め、自身もトランスジェンダーの歌手であるダニエラ・ヴェガの公式インタビューをお届けする。
STORY 逆境に負けず、自分らしく生きたいと願うすべての人へ贈る人生賛歌!
チリ、サンティアゴ。トランスジェンダーでナイトクラブのシンガー、マリーナは歳の離れたボーイフレンドのオルランドと暮らしていた。マリーナの誕生日を祝った夜、自宅に戻ると突然オルランドの意識が薄れ亡くなったことで、マリーナは思いもかけないトラブルに巻き込まれていく。それでもマリーナは女性として生きていく権利を胸に、自分らしさを守るための闘いに挑むことを決める。
――当て書きじゃないかと想像してしまうほどダニエラさんに合った役でしたが、この役に決まった経緯は?
ダニエラ はじめは監督にトランスジェンダーについて知りたいと言われ、映画のプロジェクトのことは詳しく聞いていなくて、相談役のような感じで1年半くらい、自分の人生哲学やプライベートなどあらゆることをおしゃべりしていて、ある日突然、この映画の脚本が送られてきて、そこでこれまでの事が、映画の為だったのかと後からわかりました。脚本を読んで、ドイツに住んでいるレリオに「面白いけど、ほとんど理解できない」と伝えると、「演じるのは君だよ」と言われて。電話口では「わかった」とは言ったけれど、そのあと3日間飲み歩いて酔いつぶれて、二日酔いが醒めたあとにきちんと現実と向き合い、オファーを正式に受けました。
――演技を始めた経緯は?
ダニエラ この作品は映画主演作2本目です(1作目はLa Visita (2014))。小さい頃から歌を歌っていたので、アートの世界でどんなことが出来るかいろいろ試していたのですが、演技に関しては劇団の練習を見学させてもらっていて、一週間くらい見学しているうちに「ここはもっとこうした方がいいんじゃないか」と意見を言ったところ、意見を言えるくらいだから君ならできるね、ということで本を貰って一週間後の舞台に出て、もし本気でやる気があるなら小さな役だがやってみるかと言われ、小さな役を貰った。小さな役だったけれどその時の演技を、1本目の主演作の監督が見ていて、やってみないかと勧めてもらった。その後、モノローグの仕事をやり、そこでレリオ監督と知り合ったり、その後もビデオクリップや音楽の仕事をしています。
――トランスジェンダーの役を演じるプレッシャーはありませんでしたか?
ダニエラ プレッシャーと言うよりも、自分たち(トランスジェンダー)の物語が少ないので、そこに注目されるのは分かるんだけど、自分の事をよく知っている人が見れば、トランスジェンダーとかそこじゃなく別のところに注目するし、そのことを人から言われるのは別に嫌ではないけれど、そこばっかりをフォーカスせずもっと別の部分にフォーカスしてほしい。トランスジェンダーという部分以外のところ、その先の部分も見てほしい。例えばニコール・キッドマンは女性だからと言って女しか演じられない、とは言われないでしょう?私が特別なのではなく、どんな俳優も大なり小なり、自分の経験や感情を演技に生かしていくものだと思います。
――強さと美しさを兼ね備えた素晴らしい演技でしたが、役(マリーナ)にはダニエラ自身が入っているのですか?
ダニエラ 強さと美しさを褒めてくれてありがとうございます。ただ、映画を観ていただければ、その強さと美しさは全体の女性性であり誰もが持つものであるとわかると思います。監督とも話して、「尊厳・粘り強さ・反逆性」という普遍的な女性性の3つの要素を柱にこの役を構築しました。なので、周りの誰かを真似したとか、自分を投影したとか、特定の誰かを参考にして演じたわけではありません。自分に価値がないと思っている人がたくさんいると思うけれど、もっとみんながどういう形であれもっと自由に生きるためにはこの3つの要素の上にマリーナのキャラクターを築いていくと決めました。俳優は自分が演じる役柄について、その人物像を考え、創造する責任を負っていると思います。
――(将来を担う高校生たちとの討論が楽しみという話題から)今後、世界の状況はよくなっていくのでしょうか?
ダニエラ 世界を見ると、今は冬の時代に向かっていると思います。けれど雪の下には花が咲いていて、それを掘り起こすかどうかは自分たちの能力次第だとおもいます。一番大事なのは、自身への恐れへの反逆、恐れることを恐れないこと、そして見返りを期待しない愛を持つことだと思います。もしもそれができたら、みんなを呼んで一緒に戦おうと言えるけれど、まずは自分ができないと言えないから、今はそのための準備だと思っています。
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監督・脚本:セバスティアン・レリオ『グロリアの青春』『Disobedience』
出演:ダニエラ・ヴェガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコ
原題:Una Mujer Fantástica/英題:A Fantastic Woman 提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム © 2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND
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