小津生誕100年を記念して侯孝賢監督がオマージュをささげて製作した「珈琲時光」
のヴェネチア国際映画祭公式上映が、現地時間9月10日22時より、メイン劇場のSala Grandeにて行われた。
前日に行われたプレス試写では、場内は満席で、冒頭の「小津安二郎生誕百年誕辰紀念」
のクレジットが出た時から拍手が起こるほど盛り上がっていた。
公式上映でも、上映前から観客に拍手で迎えられ、上映後には、侯監督や俳優らにサインを求める観客に取り囲まれるほど白熱した雰囲気だった。
<上映後のコメント>
一青窈
Q:ヴェネチア映画祭での上映はどうでしたか?
一青:すごくよかったです。(上映の間は)ずっと音を聞いていました。でも、
ヴェネチア映画祭に来たという実感はまだないです。街を彩っている金獅子の像を見たときにはヴェネチアにきたんだなあと思いました。
まったく違和感もなくて、本当に幸せだと感じます。
Q:今後、また映画に出たいと思いますか?
一青:素敵な人に出会えたら、でしょうか。
侯孝賢監督
Q:上映が終わっての感想は?
侯:日本の観客と、ここでの観客では、感じ方が違うのではないかと思います。日本人にとっての方が理解しやすいだろうし、
入りやすいと思う。海外の観客が、どれくらいわかってくれているのだろうかと、上映中はずっと気になっていました。
Q:昨日はプレス試写があり、
今日はプレス取材もあったが反応は?
侯:取材の時には、ジャーナリストからの反応はよかったみたいです。
Q:
今日も小津監督に捧げるというクレジットで拍手が起こっていましたが?
侯:小津監督は、世界の映画人から愛されていますから。僕は、自分の立場から敬意を表すことができたと思っています。
Q:再々編集ではどう変わったのか?
侯:映画全体のリズムを整えて、気持ちよく映画が見れるようにしたつもりです。でも、中には、フランスのプレスで、
映画好きで長くみていたかったという感想を持っていた人からは、最初のバージョンが一番いいという感想も聞きました。
最初のバージョンからは、10分くらい短くなっています。
Q:日本の公開初日にいられないことについては?
侯:日本での状況は気になるので、知りたいです。
Q:
小津監督へのオマージュということは重荷になりましたか?
侯:まあまあ、という感じです。それほど重荷ではなかったですよ。僕は、
最初から自分の作り方でしか作れないことがわかっていましたから。
Q:今回のヴェネチア映画祭では、
これまでのグランプリ作品のクレジットが入ったモニュメントがありましたが、監督がグランプリを獲ったときのことで、何か感慨はありますか?
侯:時間が過ぎるのは本当に早いですね。何しろ15年ですから。自分の年齢を感じるのは、
受賞されたあのころとは感覚が違うことです。あの時は、まったくの予想外で、まさか受賞するとは思いませんでした。
本当に意外だったのですが、「悲情城市」が受賞したことで、
これで僕は映画を撮り続けていけるかもしれないという自信につながったきっかけになりました。
写真:(c)Kazuko Wakakayama
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