時は第二次世界大戦末期。広島と長崎に原爆を投下されたうえに、
アメリカ軍は三発目の原爆を首都東京に投下しようとしていた。最新型潜水艦「伊507」の乗組員に選ばれた者たちは、
三発目の原爆を阻止するべく奇襲攻撃に出撃する。
なんてあらすじを聞けばこれはもうワクワクするような潜水艦モノ戦争映画を期待するなというほうがどうかしてる。
あらすじ通りの話ならどんなに良かったことだろう。だがこの映画は何だか深げなテーマを抱えており、
それをどう描くのかはっきりさせなかったために何だかよく分からない映画になってしまった。
その混乱の原因は堤真一扮する登場人物だ。東京に三発目の原爆を落とすことを目論んだこの登場人物の出し方がどうにも中途半端。
と言うか下手糞に彼の目的を描くことを回避したがために、何をやっている映画なのかは分かるんだけど、
無駄に複雑にしてしまったのではないだろうか。まあ、彼の目的をはっきり描いていたとしても、
このプロットである以上それで映画が俄然面白くなるとは思えないし、
個人的にあらすじ通りのシンプルな潜水艦ハラハラ映画を観たかったというだけのことなのであるが。
にしても肝心かなめの秘密兵器の女だ。特殊な探知システム人間なんだが、
これにノレなかったがために筆者はこの映画にノレなかったと言ってもいいくらい何だかよく分からなかった。「えー!そんな人いるの!?」
と思っちゃオシマイなんだが思ってしまった・・・。あのコスプレみたいなカッコが良くないんじゃないだろうか。
せめてあんなカッコしてなければそんなことは思わなかったような気もするのだが。ただでさえ野郎のみという潜水艦の中、
異様な浮き方をしていた。でも演じていた香椎由宇は可愛かった。
あと潜水艦特有の密室感。これがもう皆無(乗ったことないから偉そうなこと言えなけど)。「とくダネ!」
でこの映画の撮影風景がチラッと映っていたが、すごく狭いセットを作っていたのに、
映画では何だか普通に広い潜水艦の司令室に見えてしまった。やっぱ潜水艦と言えば窒息しそうなくらいの密室感が欲しいものだろう。
そしてそこに纏わりついてくるような男臭い汗の臭い。必要不可欠と思われるこれらの要素もまったくなし。
みんなこざっぱりとツルンとした肌してる。加えて潜水艦モノ映画の定番「これ以上の潜水はヤバイ!ミシミシ・・・」
の場面ももったいない使われ方だったような気がする。やはりあれはここ一番というときに出して欲しかった。
文句ばかり書き連ねたが戦闘シーンはなかなか良かった。日本映画でもここまでできるんだと単純に驚いた。
これだけのモノを撮れる技術があるのなら大好きな「戦国自衛隊」のリメイクのほう、期待します。
(2005.3.5)
主なキャスト / スタッフ
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