インタビュー
柿本ケンサク監督

柿本ケンサク(演出家)

  • 映画『colors』について

7月15日より渋谷シネ・ラ・セットにて公開

公式サイト:http://www.decadeinc.com/colors/

柿本 ケンサク(演出家) 1982年、香川県生まれ。 バンタンビジュアル研究所卒業。中野裕之監督を中心にピースな映像を製作する映像ユニットである「ピースブラザース」の末っ子として映画「Spoken Word」(03)、「Opinions」(03)を共同監督。自身の短編映画をまとめた 「Straw Very」(04)を製作、現在はPV、CFなども演出している。主な映画作品には「スリーピングフラワー」(05)、次回作の「BAUMKUCHEN(バウムクーヘン)」を製作中。短編映画「Tokyo Bandits!!!!」(06) がニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ロンドン、シドニー、メルボルン、東京で開催される「自転車映画祭(BICYCLE FILM FESTIVAL)」の上映作品に選ばれている。

若き監督の意欲作の登場である。23才の柿本ケンサク監督の『colors』。 既に工藤里紗主演の『スリーピングフラワー』(05)でデビューし、色々なPVやCM等で活躍しているが、今作では、 どことも分からない、色のついただけの何もない箱の中の世界に迷い込んでしまった人々の、さまざまな後悔を 「人は生まれ変われる」というポジティブな視点から描いた作品になっている。病院で死にいく無気力な男、 独房で死を待つ中年、女に裏切られたデザイナー、合コン好きな女子大生、妹にコンプレックスを抱く姉、 自分の存在を全否定しているプレイボーイ、夫の帰りを待つ平凡な主婦などのキャラクターが登場する群像劇で、出演は村上淳、 光石研、川村亜紀、マメ山田、山本浩司などである。

 

――このストーリーはどうやって思いついたのでしょうか?

colors1柿本 アイデアは予算が限られていることと、 知り合いに借りたビートルズの「Let It Be」のビデオを見たことです。ビートルズのそのビデオでは、 色バックに寄りの映像を多用していて面白いと思ったんです。

――モヤがかかったような独特の映像が印象的です。

柿本 編集をFinalCutProで行ってから、 AfterEffectをかけて、そのような画像処理にしています。寄りのシーンでは、 一点にしか焦点が合わないシュートレンズを使っています。ヌケのよい映像でなく、独特の映像にしたかったんです。

――予算が限られているとのことでしたが、撮影日数はどれぐらいだったのでしょうか?

柿本 16日か17日でした。 箱の8人が出てくるシーンはテイクを重ねました。事故のシーンは大変そうに見えるかもしれないですが、絵コンテを用意して、 その通りに撮ったのでスムーズでした。バンタン映画映像学院の卒業制作の10本の短編集『Straw Very』は、 1日で1本の短編を撮る取り決めがあったので、そこで鍛えられた面はあります。今作では撮ったものはほとんど使いました。 出ていただいた人への感謝もあります。実は『スリーピングフラワー』の前に撮っていたのですが、公開は 『スリーピングフラワー』が先になりました。

――この映画で伝えたかったことは何でしょうか?

colors2柿本 誰もが高校生のときに授業中に考えるような哲学的なことですね。 『何で人は生きているのか?』などですが、観る側に自由に解釈してほしいです。タイトルの通りに、 さまざまな色がある映画になっています。いろんな人がいて、いろんな人生がある。それは観る側も一緒で、 観る人の数だけ解釈がある。映画の中の『あそこはどうなっているの?』、『なんでこうなるの?』という疑問は、 観る側自身の色で、自由に埋めていただければと思っています。

――最近でも『雪に願うこと』(06)でも場をさらっていた、 山本浩司さんが今作でも印象的でしたが、現場ではどうだったのでしょうか?

柿本 彼は天然ですね(笑)。 やればやるほど面白くなるので最高でした。次作で現在、ポストプロダクション中の『BAUMKUCHEN(バウムクーヘン) 』は山本浩司さん、マメ山田さん、 本多章一が兄弟だったら面白いんじゃないかというところから発想したファンタジードラマです。

――好きな監督などはいますか?

柿本 ポール・トーマス・アンダーソンですね。 『マグノリア』と『パンチドランク・ラブ』は特に好きです。また、ある日本の監督さんが言っていた言葉で 『9.11で世界は変わってしまった。映画も変わるべきで、ビルに飛行機が突っ込むような映画ではなく、 今なら突っ込まないで引き返すことを描くべきだろう』と話していたのと、師匠でもある中野裕之監督が『映画なんだから、 描かれる人間の生活レベルは普通でいいけど、ハッピーな感じがあってほしい』と話していたのは印象に残っています。

――これからどのような映画を撮っていきたいですか?

柿本 新しい世代特有のものは自然と出てくると思いますが、 自分が影響を受けたカルチャーや時代特有のものを作品に出していきたいです。 自分の中から出てくるものを大事にしていきたいです。原作ものには、あまり興味ないですが、亡くなってしまいましたが、 好きな作家の中島らもさんの『牢屋で痩せるダイエット』は映画化してみたい題材です。

取材/文:わたなべりんたろう

映画「colors」 関連イベント情報

■初日舞台挨拶 7/15(土)11:20の回上映後/13: 50の回上映前
ゲスト(予定):柿本ケンサク監督、村上淳、光石研、高野八誠、川村亜紀、目黒真希、山本浩司、渡辺真起子、 マメ山田
当日朝9:00より整理番号受付を開始(お一人様2枚まで)

■cine la sept × colors スペシャルトークショー開催決定!7/19(水)21: 00の回上映前
ゲスト(予定):高野八誠、川村亜紀、山本浩司、マメ山田

7/19(水)で3周年を迎える渋谷シネ・ラ・セット。『colors』出演者で、劇場と縁のあるゲストを迎えて、 トークショーを行います。作品の見どころの他、劇場での思い出話も盛り沢山!!
当日朝10時より整理番号受付を開始(お一人様2枚まで)

■"オーラソーマ"劇場出張鑑定!! 7/22(土) 13:50の回上映後
ゲスト(予定):木村ふさ美(オーラソーマ公認テイーチャー、プラクティショナー)

"オーラソーマ"を知っていますか?オーラソーマはイギリスで生まれました。106本の中からあなたが選んだボトルは、 自分を映し出す鏡となります。色を通して自分の中の美しさや可能性に気づいていくセラピーです。 通常はお店に行って鑑定してもらわないと出来ないオーラソーマが劇場で体験できる!しかも選んだ色にあったポマンダー (エネルギーを浄化してくれるエッセンス)をプレゼント!
※当日ご来場のお客さまから抽選で2名を選ばせて頂き、その場で鑑定いたします。

提供:オーラウェーブ銀座 www.aurawave.com/

■ミニライブ&トークショー 7/29(土)13:50の回上映前
ゲスト(予定):柿本ケンサク監督、山本浩司、大橋好規(音楽)

『colors』の音楽を担当した大橋好規と、カルトGSバンドを結成している山本浩司が
劇場でアコースティックライブを決行!監督も交えてトークショーも行います。
2006/07/13/16:59 | トラックバック (0)
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