――すごく端正な、ホラー映画の正統のような音楽ですよね。そういう方が作られているとは知らずに観ていたんですが、あとですぐに調べてさすがだなあと。

朝倉　ホラー要素もさることながら、女の子たちの映画であるということをゲイリーさんの音楽がすごく持ち上げてくれたと思います。私たちは「ちーぼうのテーマ」と呼んでいたんですけど、ちーぼうが動くときに流れる曲があって、そういうのをすごく抒情あふるる曲に作っていただきましたし、それが劇伴としては最後となる10分以上の壮大な曲に繋がっていくんですけど、そういうのもいわゆる映画音楽然として、テーマが何回かリフレインしていろんな要素が重なってきて、最後にひとつの集大成の音楽になるのだ、っていう非常に美しい作り方をしてくださいました。

――本格的ですよね。あと映像もとてもきれいでした。

朝倉　撮影は岩永洋さんっていう方にお願いしました。

――インディーズ系の作品で活躍されている方ですよね。

朝倉　そうですね。今泉（力哉）さんの作品をいっぱい撮っていらして、あとアイドルものでいうと、ってくくるのもあれですけど（笑）、『アイドル・イズ・デッド』（12）も撮られている方です。私も昔1回仕事をしたことがあって「またやりたいなあ」って思っていて。非常に透明感のある映像を撮る人で、女の子をきれいに女の子然として撮れる人だなあと思っていたので、今回ゆるめるモ！の映画を撮ることになって、結構わちゃわちゃした映画なので、彼女たちをきれいに撮る担保は岩永さんに任せようと思って結構早くから相談していましたね。この映画は「映像がきれい」っていう感想もいただくんですが、それは岩永氏のおかげです。

――撮影はいつごろされていたんですか？

朝倉　今年の3月末から始めていました。

――お天気が合っていたというか、森のシーンですごく霧が濃いようなときがあって、雰囲気が出ているなと思いました。

朝倉　天気に関してはいいんだか悪いんだか……（苦笑）。でも鉄塔のある町に彼女たちがいるっていう設定にしたくて、タイトルを結構何もない畑の真ん中にドーンと鉄塔が立っている画で始めているんですけど、あそこの場所は晴れているとものすごい勢いで富士山が見えちゃうんです。「鉄塔」というより「富士山」みたいな画になっちゃって。ロケハンに2回行って、1回は曇りで1回は晴れていて、「晴れちゃうとこれは使えないね」って言っていて。晴れたら場所を変えて、別の角度からチマチマとした画でやるしかないなあと思っていたんですけど、本番は見事にドン曇りになりまして（笑）。「あっ、こっちの広い場所で撮れる！　撮ろう撮ろう」って言って急いで撮りに行ったりしましたね。天気が悪いのに助けられるっていう（苦笑）。まあ大体においてつらいことのほうが多かったんですけど。