朝倉 加葉子監督 映画『女の子よ死体と踊れ』について【3/6】
2015年10月31日(土)よりシネマート新宿、11月14日(土)よりシネマート心斎橋、名古屋シネマスコーレ、12月5日(土)より仙台・桜井薬局セントラルホール、12月12日(土)より広島・横川シネマ、12月19日(土)より福岡・中洲大洋映画劇場ほか全国順次公開!
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――こういう世代の女の子たちが主人公の映画というと、やっぱり学校とかが舞台になると思うんですが、ここには保護者も出てこないし先生も出てこないし、なんか自由に生きているなあっていう感じですよね。
朝倉 ああ、そうですね。それでいうと、彼女たちの面白いなあと思ったことのひとつとして、私はよくは知らないんですけど他のアイドルグループって20代を越えても学校とか制服とかの形を借りたりするじゃないですか。それってやっぱりすごく強力なアイテムだし。ゆるめるモ!は最近1回制服を着てPVを撮ったりもしたんですけど、基本的にそういう押し方じゃないんですよ。その野良っぽい感じがなんかいいなと思ってて(笑)。で、まあ学校ものにしたほうが楽は楽なんですよね、映画の話を考える際に。場所もいい意味でも悪い意味でも限定されるし。でも彼女たちが持っている雰囲気と全然違うなあっていう感じがあって。私はやっぱりアナーキストが好きなんですよ(笑)。アナーキーな位置に主人公たちを置いておきたいというのがあって。「親とか知らねーし」っていう感じ(笑)。
――(笑)。そういうのがすごく出ているなと思いました。みんな自由気ままで、ちゃんとそれぞれお洒落が好きとかオタクだとかの趣味を持っていて。ただやっぱり導く人がいないからみんなバラバラで孤独も抱えていたと思うんですけど、共通の目的を持つことで自分たちだけで成長していくというストーリーになっているのが面白いなと。学校が舞台だと現実的になってしまって、こういうファンタジーな感じにはならないですよね。
朝倉 うーん、そうですね。本当に彼女たちってカラーがおのおの違うので、それを学校っていうものの中に入れちゃうのはもったいないというか。学校とか、具体的にはクラスとかって集合体の輪郭がすごく見えちゃうじゃないですか。その中に6人入れちゃうと、誰がどのポジションかっていう振り分けの仕方になると思うんです。教室のスクエアの中で、例えば彼女は窓際の席の子、彼女は中心にいる子、みたいな振り分けの仕方になっちゃうと思うんですよね、映画的には。そういう日陰だとか日なただとかで彼女たちを線引きしたくなくて、だから全員アナーキストにするという手法を取ったという感じでしょうか。
――すごく彼女たちの持つ雰囲気を大事にしていますよね。劇伴も素晴らしいなと思いました。ゆるめるモ!が自然体で演技をして、それがちょっと平坦なものであっても、音楽でドラマティックになっていて。ゲイリー芦屋さんが手掛けていらっしゃいますが。
朝倉 そうですね。話としても、ゆるめるモ!が主演するっていうことでも、普通の映画のフォーマットじゃない部分がいっぱいあるので、何か非常に映画らしい要素をしっかり柱として立てたいなと思って。で、ゲイリーさんみたいなちゃんとした映画音楽の方に音楽をお願いしたいなと思って、面識はなかったんですけど知人から連絡先を聞いてダメもとでメールをしまして。そしたらすぐに快諾してくださって。
――すごいですよね。黒沢清監督の作品だとかホラー映画の音楽をいろいろされている方なので、ゲイリーさんのほうでもこの作品を面白そうだと思われたのでしょうね。
朝倉 この作品は厳密にはホラーではないかもしれないんですが、ホラー要素の多い作品だということをそのメールで説明しまして、やっぱりゲイリーさんはご自分でもホラーだったり映画というものになるべく携わりたいという意思を持っていらっしゃるので、「ぜひやらせてください」というようなありがたいお返事をいただきました。
監督・脚本:朝倉加葉子
主演:ゆるめるモ!〈もね、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あの、ちーぼう〉
出演:松田優、原扶貴子、尾本卓也、国分崇、川連廣明、信國輝彦、古内啓子 音楽:ゲイリー芦屋
企画・制作:TRASH-UP!! 配給:日本出版販売 ©2015 YOU’LL MELT MORE ! Film Partners
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