インタビュー
朝倉加葉子監督/『羊とオオカミの恋と殺人』

朝倉 加葉子 (監督)
映画『羊とオオカミの恋と殺人』について【1/3】

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2019年11月29日(金) TOHOシネマズ日比谷他 全国ロードショー

漫画家・裸村(らーそん)による人気コミック『穴殺人』を映画化した『羊とオオカミの恋と殺人』が、11月29日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開される。大学受験に失敗して引きこもる青年・黒須と、殺人鬼である隣人の美少女・宮市。かけ離れた価値観を持つ二人の恋愛模様を血飛沫もたっぷりに描き、人を愛することの楽しさ、苦しさ、素敵さを鮮烈に味わわせてくれる、珠玉のラブコメディだ。スリリングな展開にハラハラと翻弄させられ、観終わった後にはじっくりと考えさせてくれる深いテーマも持っている。『クソすばらしいこの世界』や『女の子よ死体と踊れ』などを手がけた青春ホラー映画の名手、朝倉加葉子監督がメガホンを取り、映像ユニット“群青いろ”での活動で知られ、白石和彌監督作ほかで脚本家としても活躍する高橋泉が脚本を担当。強烈な主演を務めた杉野遥亮と福原遥が、それぞれ新境地というべき思い切った演技を見せてくれる。そんな本作の公開を控える朝倉加葉子監督に、作品について語っていただいた。 (取材:深谷直子)
朝倉 加葉子 東京造形大学卒業後、映画美学校フィクションコースを修了。2013年、スラッシャーホラー「クソすばらしいこの世界」で長編デビュー。以後「女の子よ死体と踊れ」「ドクムシ」、音楽ドキュメンタリー「RADWIMPSのHESONOO」など。
STORY 大学受験に失敗し予備校もやめ引きこもり、ライフラインを絶たれ絶望した黒須は、 壁につけたフックで首吊り自殺を図るもあえなく失敗。その弾みで偶然にも、壁に穴が空いてしまう。穴を覗くと、美人で清楚な隣人・宮市さんの生活が丸見えで……。その日から穴を覗くことが生き甲斐になり、どんどん宮市の虜になっていく黒須。しかし、ある日彼女が部屋で行っている凄惨な殺人行為を目撃してしまい、声をあげてしまう。目撃行為が見つかってしまった黒須はつい宮市に愛を告白。殺されるかと思いきや、結果彼女と付き合うことに!アルバイトも始め、デートをし、部屋では宮市の手料理を食べ、幸せ絶頂の黒須。しかし宮市は、黒須とのデート中も構わず殺人を犯し……。次は自分が殺されるのか?黒須の運命はいかに!?
朝倉加葉子監督画像1
――『羊とオオカミの恋と殺人』、とても面白く拝見しました。朝倉監督が得意とするホラーであり青春ものであり、さらに今回はキラキラしたラブストーリーでもありますね。

朝倉 そうなんですよ! キラキラです。

――『穴殺人』というコミックの映画化になりますが、この原作を読んだときはどんなことを思いましたか?

朝倉 ラブストーリーもあるし、いわゆるジャンルもの、殺人ものの面白さもあるし、いろんな要素があるお話だなあと思い、その中でも人間関係の面白さと主人公二人のキャラクターに惹かれました。お話をくださったプロデューサー陣からの要望は「若いお客さんに向けた作品にしたい」ということだったので、どういう形で映画化しようか?と考えて、二人の恋愛にフォーカスしようと思いました。

――自殺志願の男の子と殺人鬼の女の子が主人公というのは、やっぱり漫画ならではの突飛な設定ですよね。また、とても深い世界観を持つ作品だと感じましたが、そういう原作の面白さを活かしつつ、ごく身近な物語としてドキドキしながら観られる恋愛映画になったと思います。恋愛にフォーカスするためにどんなことをしましたか?

朝倉 原作は全8巻あって、その中で長い時間が流れ、人物も多くキャラの立った敵役が何人も出てくるんですが、主人公二人が出会い、悩んだり葛藤したりして、最後にどういう選択をするのか?という物語をしっかり描くために、まわりの要素を削ぎ落とし、あらたにどういう事件を起こせばいいか?という考え方をしましたね。

――脚本は“群青いろ”の高橋泉さんが書かれていますが、高橋さんは「人とわかり合えない苦しさ」をテーマに自分の作品を作り続けているので、この物語は高橋さんにもピッタリだなと思いました。脚本を高橋さんにお願いしたのはなぜですか?

朝倉 プロデューサーが前に高橋さんとお仕事をしたことがあったんです。今回は恋愛もので、高橋さんは生き生きとした素敵な台詞を書かれる方なのでお願いしたらどうか?と提案を受けました。

――朝倉監督もご自分で脚本を書かれますが、今回も高橋さんと相談し合うようなことをされたのでしょうか?

朝倉 原作をどういう形で脚本に落とし込もうか?というのを私のほうである程度試行錯誤していて、高橋さんには、人物の関係性やこういう展開にしたいという構成の話をしてお願いしました。企画のかなり早い段階から「今回の話の核は“多様性”と“受容”だな」と思って作っていたので、その話を高橋さんにしようとしたら、高橋さんのほうから「これって多様性と受容の話ですよね」と(笑)。一字一句そのとおりだったかどうかは覚えていないですけど、まさにそういうことを言われて、「あ、本当にそうなんですよ」って。すぐにわかってくださっているなという感じがありました。

『羊とオオカミの恋と殺人』画像 『羊とオオカミの恋と殺人』場面画像1 ――おお、さすがですね。「多様性と受容」については映画を観てやっぱりすごく考えさせられ、エンターテインメント作品にこういう深いテーマが込められているのが素晴らしいなと思いました。黒須は宮市に殺人をやめてほしいけど、その常識は宮市にとっては常識ではないんですよね。好きな人とわかり合えないのはつらいけど、それは往々にしてあることで、相手の世界を尊重することが大事だということが伝わりました。

朝倉 相手が正しい方向に進む手助けをするのが愛かと思ってしまったりするけれど、それはそれで相手が苦しむことなんですよね。その行為が殺人であったりすると「それは違うでしょ」というのが正義だと思うんですけど……、現実問題として絶対に殺人はやめたほうがいいんですけど(苦笑)、ただ、何かでいろいろ象徴できて、人が自由に想像できる映画の中では、相手の極端な行為を尊重する、それは結局愛だよね……というふうになるのがいいかなと私は思っているので、相手の殺人行為を尊重するという話をちゃんと描けたのは、作り手として幸せだと思いました。

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羊とオオカミの恋と殺人
出演:杉野遥亮,福原遥,江野沢愛美,笠松将,清水尚弥,一ノ瀬ワタル,江口のりこ
監督:朝倉加葉子『クソすばらしいこの世界』 脚本:髙橋泉 音楽:渡邊崇
原作:裸村「穴殺人」(講談社週刊少年マガジンKC刊)
主題歌:ロイ-RöE-『癒えないキスをして *』(ワーナーミュージック・ジャパン/unBORDE)
製作: 岡本東郎 花田康隆 プロデューサー:行実良 村山えりか 齋藤寛朗
スーパーバイジング・プロデューサー:久保田修 アソシエイトプロデューサー:上原大也 撮影:早坂伸
照明:大庭郭基 録音:浦田和治 美術:小竹森智子 装飾:中村三五 編集:武田晃 スタイリスト:山﨑忍
ヘアメイク:望月志穂美 振付:青木尚哉 製作幹事:VAP 制作プロダクション:C&Iエンタテインメント カズモ
配給:プレシディオ 宣伝:ウフル © 2019『羊とオオカミの恋と殺人』製作委員会 © 裸村/講談社
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2019年11月29日(金) TOHOシネマズ日比谷他 全国ロードショー

2019/11/27/18:31 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー

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