Blu-ray/DVDハイブリッド版発売決定！

2008年2月に92歳で逝去された名匠・市川崑監督の『幸福』は、主演の水谷豊が幼い子供を抱えた刑事役に挑戦し、当時人気を博していたテレビドラマ（「熱中時代」ほか）とは一味違う、無為な日常を送る平凡な人間像を好演、市川作品の中でも後期名作として知られる一本だ。同時期の作品には『古都』(80年 主演：山口百恵)や『細雪』(83年 主演：岸恵子、吉永小百合)があり、『犬神家の一族』(76年)から続いた「第２期黄金時代」の正に絶頂時の作品である。
その高い完成度から市川崑作品の上位に選ぶファンは多く、2009年の全国映画館スタッフが選ぶ『第１回映画館大賞』「甦る名画」部門で堂々の第１位に選出されるなど、ソフト化を望む声が非常に多かった。
今回、長らく再上映およびソフト化がされていなかったこの幻の傑作ミステリーが、ついにBlu-ray/DVDハイブリッド版として発売される運びとなった。当時、市川崑監督がこだわったといわれる特殊現像技法「銀残し」も再現されており、新たにフィルム原版を復刻、市川作品としてもおそらく最後のビデオグラム化となる貴重な作品をこの機会に是非入手してみてはいかがだろうか。

日本映画専門チャンネルにてハイビジョン放送！

（C）FLME Blu-ray/DVDハイブリッド版の発売に合わせて、日本映画専門チャンネルでもハイビジョン放送される。東京国立近代美術館フィルムセンター監修の元、『シルバー・カラー(＝「銀残し」)』をネガから再現、作成したハイビジョン素材で放送され、『シルバー・カラー』完全再現ハイビジョンとしてはTV初放送となる。日本映画専門チャンネルでの2年に渡る総力特集「監督 市川崑の映画たち」でも叶わなかった<幻の名作>の放送が遂に実現することとなった。

また、本編終了後には主演の水谷豊氏をはじめ、製作当時フォース助監督であった手塚昌明監督や現像所スタッフ鈴木美康氏（現フィルムセンター技術職員）など、製作当時を知る方々に今回の「幸福」復元についてそれぞれの想いを聞いた特別番組も放送される。同特別番組では、他にもフィルムセンター主幹であり、国際フィルム・アーカイブ連盟（ＦＩＡＦ）の会長でもある岡島尚志氏から、「世界視聴覚遺産の日」にあわせた「幸福」上映によって訴えたフィルム保存の大切さについて話してもらう他、「銀残し」復元作業の裏側に密着した貴重な映像も放送される。

「幸福」ハイビジョン放送記念特別番組（15分） 出演者
（C）FLME
• 鈴木美康 1981年の「幸福」製作当時、東洋現像所（現・イマジカ）スタッフとして本作品に関ったことから、今回の復元で監修にあたった東京国立近代美術館フィルムセンター技術職員。 復元作業の苦労話や「銀残し」とはそもそも何なのかなど技術的なことから製作当時の市川崑監督との想い出を聞いた。
• 岡島尚志 フィルムセンター主幹で、国際フィルム・アーカイブ連盟（ＦＩＡＦ）の会長。「銀残し」という特殊な現像手法を復元しておく意義、「世界視聴覚遺産の日」にあわせた「幸福」の上映について聞く。
• 手塚昌明監督 当時、フォース助監督。「幸福」での市川組の製作秘話や市川監督は「シルバー・カラー」で何を描こうとしていたのかその演出効果や意図などについて聞いた。
• 水谷豊 製作当時の市川監督との想い出や学んだこと。本作品への思い入れや、復元されたことについての気持ちなどを聞いた。