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(うち)をさがそう

さがしていたのは、とびっきりのしあわせ。

http://ddp-movie.jp/ouchi/

2011年3月19日(土)より、
ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

INTRODUCTION

『アメリカン・ビューティー』の名監督が
自由に、軽やかに、そして心を込めて
紡ぎ上げた珠玉のロードムービー

『お家(うち)をさがそう』1舞台演出家としての輝かしいキャリアを引っさげて映画界に進出し、デビュー作『アメリカン・ビューティー』でいきなり作品賞、監督賞を含むアカデミー賞5部門を制したサム・メンデス監督。その後もトム・ハンクス主演のギャング映画『ロード・トゥ・パーディション』、湾岸戦争帰還兵の手記を映画化した『ジャーヘッド』という快作を連打したこの名匠は、レオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレットの豪華共演による壮絶な夫婦の葛藤劇『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』でも絶賛を博し、今やハリウッドで最も次なる動向が注目される監督のひとりとなった。

待望の長編第5作『お(うち)をさがそう』は、そんな映画ファンの期待をポジティブな意味でするりと裏切ってみせるロードムービーだ。どこにでもいるごく普通の30代カップルを主人公にしたこの映画は、決してテーマも映像スタイルも斬新ではない。そればかりか、あらゆるディテールが緻密かつシャープに研ぎ澄まされていた過去4作品のどれともまったく趣の異なる、優しくて温かな一作に仕上がっている。
『かいじゅうたちのいるところ』の脚本家デイヴ・エガーズが、ヴェンデラ・ヴィーダとともに執筆したオリジナル・ストーリーに感銘を受けたメンデス監督は、真新しい顔ぶれのスタッフ&キャストとの共同作業を志向。ハリウッドの制約を逃れるかのようにスタジオを飛び出して地方ロケを実施し、驚くほどみずみずしく軽やかで、親密な空気感に満ちた映画を撮り上げた。現在のアメリカの映画界では、ポール・トーマス・アンダーソン、コーエン兄弟、スティーヴン・ソダーバーグ、ジョナサン・デミ、ガス・ヴァン・サント、アン・リー、ダーレン・アロノフスキーといったトップクラスの著名監督たちがハリウッド・メジャーに執着せず、インディペンデント的な形態でオリジナリティあふれる映画作りを実践しているが、まさに『お(うち)をさがそう』も彼らと同じ地平に立った作品と言える。その意味において、メンデス監督の“新たなデビュー作”と見なしても差し支えのない必見の1本なのだ。

出産という一大事を控える若きカップルが
“おうち家さがし”の迷走の果てに見つけた
大切な“幸せのありか”とは?

コロラド州在住のバートとヴェローナの平穏な同棲生活に、予期せぬ転機が訪れた。それはヴェローナが子供を宿したというよくある話だったが、彼女が妊娠6ヵ月を迎えた頃、ふたりは重大な事実に気づく。もう30代半ばに差し掛かったというのに、自分たちの生活基盤が何ひとつ固まっていないことに!幸いにも心から愛し合っているバートとヴェローナは、とりあえず“どこに我が家を構えるか”という最も基本的な問題の解決に取り組むことにした。かくしてコロラドを旅立ったふたりは、家庭作りの先輩であり、未来の隣人候補でもある友人&知人たちを訪ねて北米各地を転々とするのだが……。
『お家(うち)をさがそう』2人生のパートナーと一緒に“我が家をさがす”という設定は、誰もが実際に経験しうるシチュエーション。しかしプラン通りに事が運ばないのが人生というわけで、バートとヴェローナの旅も迷走に次ぐ迷走を重ねてしまう。アリゾナ、ウィスコンシン、モントリオールなどの訪問先で彼らが目のあたりにするのは、個性が強烈すぎたり、ちょっと屈折した家族の多種多様なありよう。“理想の新天地”を発見するはずの旅の目的は、いつしか“幸せって何だろう?”という大問題へと発展し、バートとヴェローナは哀れなくらい滑稽に、真剣に悩み始める。絶妙なまでにコミカルなエピソードの連続なのに、笑うに笑えないとはまさしくこのこと。なぜならこの若きカップルを困らせる不安や畏れは、私たち観客がいともたやすく共有できる切実な感情なのだから!
まるでバート&ヴェローナを演じるために生まれてきたかのように相性抜群の新進俳優ジョン・クラシンスキー&マーヤ・ルドルフを得たメンデス監督は、悪戦苦闘を繰り返す男女にとびきり素敵なエンディングを用意した。理想を高く掲げてあまりにも広い北米大陸に飛び出し、周りの出来事ばかりに気を取られていたふたりは、何よりも優先すべき大切なことを忘れていたのだ。この世でたったひとりのパートナーと寄り添い合う若き恋人たちが、ようやく真実に気づく旅の終着点の情景は、その澄みきった美しさともども観る者の心に染み渡るに違いない。
また『お(うち)をさがそう』に柔らかで清々しい風のような詩情を吹き込んだのは、音楽を手がけたアレクシ・マードックのアコースティック・ナンバーの数々である。映画監督とシンガー・ソングライターのコラボレーションという点では、『イントゥ・ザ・ワイルド』のショーン・ペン監督&エディ・ヴェダーに勝るとも劣らない成果をあげた珠玉作として、多くの観客に記憶されることだろう。

2011年3月19日(土)より、
ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

Production Note

サム・メンデス監督を魅了したユーモラスで優れたオリジナル脚本

『お (うち)をさがそう』は、サム・メンデス監督がアカデミー賞を受賞した『アメリカン・ビューティー』以来となるオリジナル脚本の作品だ。メンデスは言う。「脚本家主導の作品をやらなきゃいけないという気持ちになったんだ。デイヴ・エガーズとヴェンデラ・ヴィーダの脚本がすばらしくて、シリアスな題材を扱っているのに気持ちが軽くなったんだ。それに何より笑わせてくれた」
メンデスは『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』のポスプロ中に『お(うち)をさがそう』のプリプロに入った。『お家(うち)をさがそう』3これは彼にとって初めてのことだ。「いつもより早くこの映画をやるって決めたんだ。『レボリューショナリー・ロード~』の撮影と編集の後の緊張感から離れることができたっていう感じだね」と、メンデスは物思いに耽るように言う。「どちらも現状から逃れて自分たちを見つめ直すカップルの話だから、ある意味姉妹編みたいな2本なんだ。ちゃんと見つめ直せるのは『お(うち)をさがそう』だけなんだけど」。そして今回、心引かれたテーマについて語る。「デイヴとヴェンデラの脚本は、人生の第二ステージに差し掛かろうとしているカップルに起こること、つまり子供が生まれ、希望と不安と興奮に満ちた中で起こる出来事を描いている。僕自身もひとりの親としてどれも経験してきたことだ」
デイヴ・エガーズとヴェンデラ・ヴィーダの脚本をサム・メンデスが映画化するという魅力的な機会に、多くの俳優たちが興味を示した。ヴェローナ役を射止めたのはTV番組「サタデー・ナイト・ライブ」に長らく出演してきたマーヤ・ルドルフだ。「この役は実際の自分にとても近いんです。運命を感じたくらい。こんなキャラクターは、映画でも脚本でもお目にかかったことはないわ。デイヴとヴェンデラが書いたヴェローナが大好きだし、バートのキャラクターも大好き。それにヴェローナに起きた出来事の幾つかは、私も妊娠中に経験したことなの。カッコいいなと思ったのは、ヴェローナが混血で、彼女のパートナーが彼女に似ていないこと。ここだけが実際の私と違うところね」
一方、バート役にはメンデス監督の『ジャーヘッド』に小さな役で出演していたジョン・クラシンスキーが抜擢された。ふたりをチョイスしたメンデス監督は大いに満足げだ。「ジョンとマーヤの相性が本作の成功のカギなんだ。ふたりはとても独創性にあふれている。この映画のスピリットは彼らの手の中にあったんだけど、決してがっかりさせられることはなかったよ。ふたりとも俳優として積極的に新たな境地に臨んでくれたから」

スタジオから屋外に飛び出したメンデス監督の“新鮮な試み”を支えたスタッフの仕事ぶり

メンデス監督は『お (うち)をさがそう』の撮影にあたり、新たなスタッフと仕事をした。「これまでのスタッフももちろんすばらしかったけど、今回は新しい顔との仕事に挑戦してみたかったんだ。自分の物の見方を変え、習慣になってしまったものから抜け出さそうと思ったんだよ。いつもと違ったスピードやリズムで仕事することで、この作品で試してみたかった新鮮味や今までなかった緩みみたいなものを生み出すことができたんだ」
それを受けてスタッフは、3つの州にまたがる撮影と、セットでの撮影はたった2シーンという挑戦を受けて立つことになった。バートとヴェローナの旅はアメリカ各地に及ぶため、スタッフも全国をロケハンして回ることになった。そして主要ロケ地としてコネチカット州の街々やヒルズ、ヴァレーが選定された。「脚本を読んでからサムのオフィスに行って“この場所全部に行くことになるのか……”と考えたときに、ほとんどのシーンをコネチカットで撮るということを思いついたんだ! さまざまな風景を見せるという意味で、これまでで一番大変な作品になったよ」。プロダクション・デザイナーのジェス・ゴンコールがそう振り返る。「コネチカットはとても融通の利く土地なんだ。スタンフォード、ニューヘイブン、ブリッジポートは都会的で、リッチフィールド・カウンティ周辺にはまだ田舎の風景が広がっている」。そう解説するのはロケーション・マネージャーのタイソン・バインダーだ。「デンバー、フェニックス、モントリオール、ウィスコンシンの一部、そしてマイアミの一部さえもここでロケ地を見つけることができたんだ」
『お家(うち)をさがそう』4監督や他のスタッフと連携し、映画のトーンを創造したのは撮影監督のエレン・クラスだ。「当初はシネスコで撮影していたけど、ポストカードのような平らな雰囲気が出るように特殊なレンズを使いました。映像を平らにすることで、登場人物たちをより背景に溶け込ませることができたの」。次にゴンコールが自らの仕事を語る。「5色のカラーパレットを作り、物語が展開する各州それぞれに1色ずつ割り当てていったんだ。コロラドはどんよりした色。アリゾナは明るい太陽の色。ウィスコンシンは固い感じで、モントリオールはレンガの大学っぽい雰囲気。そしてマイアミはパステル・カラー。サムにこの色調について承諾してもらうと、衣装、小道具などすべてのものはこの色分けに従って作られることになったんだ。サムとの仕事は最高だったよ。とんでもないアイデアを思いついても、“やってみよう”って言ってくれたから」

俳優たちとの密接なコラボレーションと、音楽について

サム・メンデス監督は、自らの俳優たちとの仕事の進め方について次のように語る。「僕はいつもリハーサルをするんだ。出演時間が2、3日という俳優がいるこういう作品では、リハーサルの有無はとても大きな違いを生む。彼らは物語が展開する前に、彼らが演じるキャラクターを確立させ、彼らがたどってきた人生をすべて見せなければならないから。すでに確立している関係を見せるために、最初からフルスピードで動くことがとても重要なんだ」
「『アメリカン・ビューティー』の時もそうだった」と打ち明けるのは、本作と『アメリカン・ビューティー』の両作品に出演している唯一の俳優でリリー役のアリソン・ジャネイだ。「彼は俳優とどう話したらいいかわかっているの。リハーサルで私たちが表現したニュアンスを採用して、キャラクターやシーンを豊かにしてくれるのよ」。次にバート役のジョン・クラシンスキーが証言する。「サムのリハーサルは、俳優が演じるシーンをきちんと理解しているかを確認するためにあるんだ。その過程で彼が微調整をしていく。もしうまくいかない部分があったら、うまくいき、なおかつ映画全体にもうまく影響するような方法を見つけてくれるんだ。だからいざ本番になると、全員が共通の理解の上に立っているという状況になれるんだ」
撮影中に即興演技を試したというメンデス監督が語る。「脚本がすばらしかったので、そこからあまり逸れることはしたくなかったから、最終的に完成版に入れた即興は3、4シーンくらいだったかな。ちょっとしたサプライズや楽しいアクシデントは加わったけど。みんな互いに仲がよかったから、ジョンとマーヤに“昨日カメラのないところでやっていたアレ、カメラの前でやってみてよ”なんて言っていたくらいなんだ」
またメンデス監督は、本作のためにシンガー・ソングライターに曲を書いてもらいたいと思っていた。監督が語る。「プリプロの段階でアレクシ・マードックのことを知って、彼のアルバムから曲をたくさん提供してもらおうと考えた。彼は選曲に積極的に関わってくれたし、新曲も書き下ろしてくれたんだ」。メンデスとマードックは『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』や『マグノリア』のような、やはりシンガー・ソングライターが音楽を手がけた作品にインスピレーションを求めた。編集室で監督は「音楽が入ると、編集したシーンが少し違って見えた。音楽のおかげでこの映画のリズムが変化した」と感じたという。

C R E D I T

CAST
バート/ジョン・クラシンスキー ヴェローナ/マーヤ・ルドルフ
グレイス/カルメン・イジョゴ グロリア/キャサリン・オハラ ジェリー/ジェフ・ダニエルズ リリー/アリソン・ジャネイ
ローウェル/ジム・ガフィガン LN/マギー・ギレンホール ロデリック/ジョシュ・ハミルトン
トム/クリス・メッシーナ マンチ/メラニー・リンスキー コートニー/ポール・シュナイダー

STAFF
監督:サム・メンデス 脚本:デイヴ・エガーズ&ヴェンデラ・ヴィーダ
プロデューサー:エドワード・サクソン,マーク・タートルトーブ,ピーター・サラフ
エグゼクティブ・プロデューサー:マリ・ジョー・ウィンクラー=イヨフレダ,ピッパ・ハリス
撮影監督:エレン・クラス、ASC プロダクション・デザイナー:ジェス・ゴンコール 編集:サラ・フラック A.C.E.
衣装:ジョン・ダン 音楽:アレクシ・マードック キャスティング:エレン・ルイス&デブラ・ゼイン C.S.A.
(c) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
原題:Away We Go/2009年/アメリカ/98分/カラー/ドルビーデジタル/ビスタ/
提供:Focus Features International 配給:フェイス・トゥ・フェイス 宣伝:メゾン
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2011年3月19日(土)より、
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レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
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かいじゅうたちのいるところ Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)
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2011/03/04/19:09 | トラックバック (0)
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