天願 大介( 映画監督・脚本家 )
映画『デンデラ』について
2011年6月25日(土)より、全国ロードショー中
映画「デンデラ」は個人的な今年上半期のベストである。いい意味で予想を裏切られたが、その吹っ切れかたが尋常でなく気持ちよかった。天願大介監督にインタビューをおこなったので紹介する。 ( 取材:わたなべりんたろう )
1959年生まれ。父の今村昌平が設立した日本映画学校は日本映画大学になったが、その学科学長を務める。主な監督作「妹と油揚」「アジアン・ビート(日本編)アイ・ラブ・ニッポン」「無敵のハンディキャップ」 「AIKI」「暗いところで待ち合わせ」「世界で一番美しい夜」、主な脚本/脚色作「我が人生最悪の時」「うなぎ」「カンゾー先生」「オーディション」「赤い橋の下のぬるい水」「インプリント 〜ぼっけえ、きょうてえ〜」「11'09''01/セプテンバー11 日本編」「泥の惑星」「十三人の刺客」
――映画「デンデラ」、素晴らしかったです。雪山のシーンの外景が実際のロケ撮影で、しかも言葉が適当か分からないですがお年を召した女優さんばかりで並々ならぬ熱意をスクリーンから感じました。
天願 ありがとうございます。『日本には、こんなに素晴らしい女優さんたちが多くいるのにうまく使われていない』と思ったのも今作を作った動機のひとつなんです。確かに、女優さんたちを実際に雪山で撮るのは冒険でしたが、姥捨て山で生き残った女性を描く今作では欠かせないものですから。「十三人の刺客」も使っていた庄内映画村で撮影しました。
――ラストのセリフは主演の浅丘ルリ子さんからの提案もあってかなり話し合ったそうですね。
天願 納得の形で演技していただきたかったので、そこはきっちり話し合いました。幾分変わりましたが、良いセリフになったと思います。
――終盤での横異動のアクションシークエンスの撮影は素晴らしかったです。日本映画にあまり観られないダイナミックさでした。
天願 大変な撮影でしたけど、観た人にそう言ってもらえると撮った甲斐があります。
――草笛光子さんは、今作のミニチュアモデルを家に持ち帰って玄関に飾っているそうですね。「いつも目につくところに置いておいて忘れたくないから」との旨で。
天願 美術スタッフも喜んでいました。草笛さんもあの過酷な撮影に耐えてくれましたからね。
――撮影の古谷巧さんはどういう起用でしょうか?
天願 「暗いところで待ち合わせ」「世界で一番美しい夜」も古谷さんです。その前に新潮社のムック型写真集の「月刊」シリーズでDVDを撮るときに初めて組みました。ちなみに「月刊」シリーズのインタビューはほとんどぼくがやっています。
――そういえば確かにそうでした。あのインタビューはいつも読み応えがありまくりでした。
天願 古谷さんはアクション映画が多いけど、独特のセンスがあって、いいカメラマンですよ。
――話は「十三人の刺客」になりますが、先日、アメリカやイギリスで公開され、大絶賛されています( http://www.imdb.com/title/tt1436045/ )。多くは『「七人の侍」以来のアクション時代劇の傑作!』の内容です。「十三人の刺客」は去年の個人的なベストなので嬉しいですが、どうも日本ではオリジナルと比べたりして、奥歯に何か挟まったような評価なのが残念でした。あれだけのアクション映画を作り上げたことは素直に素晴らしいと思います。
天願 脚本は菊島隆三賞をいただきました。海外での評価の高さは嬉しい限りです。本格的なアクションのある時代劇がずっと無かったので、日本でも海外でも求められていたのだと思います。
――三池監督と天願さんは海外でカルト化されている「オーディション」で組んでいます。プロデューサーのジェレミー・トーマスと組んだ手応えはあったのでしょうか? 彼はまた「一命」で三池監督と組んでいますし、スコリモフスキの「エッセンシャル・キリング」やクローネンバーグの「A Dangerous Method」(ユングとフロイトの関係性を描く)と意欲作をどんどん手掛けています。
天願 ジェレミーは、いいプロデューサーですね。でも僕は監督に向けて脚本を書くだけですから。日本にだって勇気あるプロデューサーはいますよ。だって「デンデラ」を撮らせてくれるんですから。撮影所システムが崩壊して以降、日本映画は多種多様な作品が出てきていて、本当に面白い。ここ何十年か日本映画はずっと面白いと思います。
――井土紀州監督の「泥の惑星」の脚本を井土さんと書いてもいますね。
天願 面白い人、面白い題材があったら、いつでも組めばいい。一番大切なのは、みんなが勝手に撮りたい作品を撮ること。そうすれば日本映画の面白い状況は続いていくはずです。
( 取材:わたなべりんたろう )
- 監督:三池崇史
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