第4回 マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル
http://www.myfrenchfilmfestival.com/
2014年1月17日(土)~2月17日(月)まで公式サイト、iTunesで配信・開催
ユニフランス・フィルムズが世界中で展開するオンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」が今年も開催される。
コンペティション部門では、フレッシュな才能を選定基準に監督第1作目~3作目の作品から厳選し、高い評価を得つつも海外での公開予定が未定の長編および短編映画各10作品(日本では長編作品の配信は全9作品)を配信する。また、コンペティション部門以外にもクラシック作品1本(『シェルブールの雨傘』)、長編・短編各1作品づつのケベック映画が併せて配信される。
会期後には、視聴者の投票で決まる観客賞のほか、大ヒット作『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督(『エイリアン4』)、イタリアを代表する巨匠マルコ・ベロッキオ監督(『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』)、『少年は残酷な弓を射る』で高い評価を受けた女性監督リン・ラムジー(『モーヴァン』)ら、国際的に著名な映画監督が審査員をつとめる審査員賞なども発表される。
今年は自閉症の妹サビーヌを主題としたドキュメンタリー『彼女の名はサビーヌ』で高い評価(2007年カンヌ映画祭批評家/監督週間部門 国際批評家連盟賞受賞)を受けたフランスを代表する女優、サンドリーヌ・ボネールの監督第2作目となる『ウェイ・ホーム〜息子への想い〜』など、話題作がラインナップされている。
なお、iTunesでの配信は長編作品のみとなるのでご注意いただきたい。
料金
長編作品1本:1,99€ 短編作品1本:0,99€ 長編作品パック:11,99€
短編全作品パック:5,99€ 全作品フルパック:15,99€
コンペティション部門:長編
『ギャロップ』
( Au Galop/93分 2012年カンヌ映画祭批評家週間出品 )
監督・主演:ルイ=ドー・ド・ランクザン 出演:マルト・ケレール、ヴァレンティナ・セルヴィ
あらすじ : 順調な人生を歩んできたアダ。パートナーとの間には子供が生まれ、まもなく籍も入れることになっている。誰が見ても幸せな人生だし、自分でもそう思っていた。ポールに出会うまでは……。ミア・ハンセン=ラブ監督の『あの夏の子供たち』で主演を務めたルイ=ドー・ド・ランクザンの初長編監督作品。
『リトル・ライオン~明日へのゴール~』
( Comme un lion/101分 2012年ローマ映画祭、2013年シアトル映画祭出品 )
監督:サミュエル・コラルデイ 出演:ミトリ・アタル、マルク・バルベ
あらすじ:ミトリはセネガルの小さな村に住む15歳の少年で、バルサやチェルシーといった一流クラブを夢見ながらサッカーをしていた。ある日、一人のエージェントが現れ、ヨーロッパ行きを誘うが、大きなチームに入るにはお金が必要だという。借金までしてくれた家族の援助を受け、ついにパリへやって来たミトリ。しかしそこで自分が騙されたことを知る……。アフリカの少年が、詐欺師に騙されて多額の借金を抱えフランスへ連れてこられる社会問題を扱った作品。監督のサミュエル・コラルデイは2008年に『L’Apprenti』でルイ・デリュック賞新人賞受賞。出演陣にトリュフォー、リヴェットなどの作品への出演で知られる「名脇役」 ジャン=フランソワ・ステヴナン。
『7月14日の娘』( La Fille du 14 juillet/88分 2013年カンヌ映画祭監督週間出品 )
監督:アントナン・ペレジャトコ 出演 : ヴィマラ・ポンス、ヴァンサン・マケーニュ
© Shellacあらすじ : 7月14日、勤務先のルーブル美術館でトリュケットという娘に出会ってからというもの、エクトルの頭は彼女の事でいっぱい。友人のパトールも巻き込んでトリュケットとその友達シャルロットを海に誘う。シャルロットの弟ベルティエも仲間に加わり、いざ出発!海をめざしてフランスの田舎道を進むが、彼らのほかに車はない……。というのも、世の中は経済危機のただ中にいるから。そんな夏、政府はバカンスを1か月短縮することを決定し、国民に早々に仕事を再開するよう要請。何やらしっちゃかめっちゃか、札束も飛び出して、グループは離ればなれに。まるでバカンス7月派とバカンス短縮のせいで休みに出られず嫉妬にかられる8月派とで二分化してしまったフランスそのもの。残されたエクトルたち3人組は、仕事がなんだ!とばかりに、「7月14日の娘」を取り戻し、楽しくダラけた夏休みを満喫することを決め込んでいるが……。「カイエ・デュ・シネマ」で、ギヨーム・ブラックらと共に注目すべきフランス映画の若い監督の1人として紹介されたアントナン・プレチャコの長編デビュー作。出演に、今、フランスでひっぱりだこの若手俳優ヴァンサン・マケーニュ。なお、本作品はアンスティチュ・フランセ日本が開催する「第17回カイエ・デュ・シネマ週間」でも上映されます。
『ウェイ・ホーム ~息子への想い~』
( J'enrage de son absence/98分 2012年カンヌ映画祭批評家週間出品 )
監督:サンドリーヌ・ボネール 出演:ウィリアム・ハート、アレクサンドラ・ラミー
© R Vaz Palmaあらすじ : マドとジャックが別れてから10年が経とうとしていた。今では再婚し、ポールという7歳の息子の母親となったマド。そんな彼女の前に突然またジャックが姿を現す。二人の間には、子供の死という、どうしても忘れ去ることのできないつらい過去があった。マドが新たな人生へと足を踏み出した一方で、ジャックは今も過去を受け入れることができないままでいた。ポールとの出会いは、そんなジャックの心に大きなショックを与える。次第にジャックに心を許してゆくポール。親密な二人の様子に動揺したマドは、ポールがジャックと会うことを禁じる。しかしジャックの思いは止まらず……。自閉症の妹サビーヌを主題としたドキュメンタリー『彼女の名はサビーヌ』で高い評価(2007年カンヌ映画祭批評家/監督週間部門 国際批評家連盟賞受賞)を受けた女優、サンドリーヌ・ボネールの監督第2作。主演にアメリカ映画のみならず、多くのフランス映画への出演でも知られるウィリアム・ハート(『蜘蛛女のキス』『最高の人生をあなたと』)
『森に生きる少年 ~カラスの日~』( Le Jour des Corneilles/96分/アニメーション
2012年サンセバスチャン国際映画祭、2012年シカゴ映画祭出品 )
監督:ジャン=クリストフ・デッサン 声の出演:ジャン・レノ、ローラン・ドゥーチェ、イザベル・カレ
あらすじ : 主人公は、人間界との交わりを絶って森の奥深くで暮らす父親に育てられた少年。動物と人間が融合した不思議な精霊たちに見守られ、少年は森の中で自由な生活を送っていた。だがある日大きな転機が訪れる。怪我をした父親を病院に運ぶため山の麓の村を訪れた少年は、見知らぬ文明社会に戸惑う。そこで彼の心を救ってくれたのはマノンという少女だった……。数々の人気アニメーション映画に参加してきたジャン=クリストフ・デッサンの初長編監督作品。声の出演にジャン・レノ、イザベル・カレといった著名な俳優に加え、故クロード・シャブロル監督も。
『ハッピー・ウエディング・イン・メンドーサ』( Mariage a Mendoza/96分
2012年ナミュール国際フランス語圏映画祭、2013年シティ・オブ・ライツ・シティ・オブ・エンジェルス映画祭出品 )
監督:エドゥアール・デリュック 出演:ニコラ・デュヴォシェル、フィリップ・リボー
あらすじ:マルキュスとアントワーヌの兄弟は、いとこの結婚式に出席するため、アルゼンチンへとやって来た。結婚式が行われるのは国の西部に位置するメンドーサという街。その街をめざし、まずは首都ブエノスアイレスから旅を始める。いつかこんな風に「でっかい旅」に出るのは、二人の長年の夢だった……。しかし空港に降りついたアントワーヌは、出発直前に妻に捨てられたことでボロボロな状態。マルキュスは、いとこの結婚式に出れば弟もきっと気を持ち直すに違いないと考え、旅を続けることにするのだが……。ヴァネッサ・パラディの新アルバムのプロデュースや、カーラ・ブルーニのアルバムで編曲を担当したことで知られるフランスで人気のミュージシャン、バンジャマン・ビオレも出演。監督のデリュックは、この長編デビュー作で、2010年のフランス映画祭で上映した短編『ドンデ エスタ キム・ベイシンガー?』を新しく生まれ変わらせました。
『モバイル・ホーム』( Mobile Home/95分 2012年ロカルノ国際映画祭出品 )
監督:フランソワ・ピロ 出演:アルチュール・デュポン、ギヨーム・グイ
あらすじ : 仕事を辞め、恋人とも別れたシモンは、両親の暮らす故郷の小さな街に戻ることに。そこで病み上がりの父親と一緒に暮らす幼なじみのジュリアンと再会する。共に30代となった二人は、思いつきから青春時代の夢をかなえるため、車で放浪の旅に出かけようと意気投合。計画実現に向け熱中するが、キャンピングカーが故障し身動きがとれなくなり、とりあえず「その場」で旅を始めることに。一時的なはずの状況がいつまでも長引く……。生活費を稼ぐために仕事も探さなきゃならないし、いろいろな出会いに触発され、これからのことをそれぞれ考え始める二人。自分たちが夢見た将来、そして現実……。ベルギー出身のフランソワ・ピロによる初の長編作品。主演のアルチュール・デュポンは『我が至上の愛 アストレとセラドン』や2010年のフランス映画祭に出品された『バス・パラディウム』に、ギヨーム・グイはDVD 発売されている『美しき棘』(2011年フランス映画祭)や『突然、みんなが恋しくて』に出演。
『探偵ポーリーヌ』( Pauline Detective/101分
2012年ナミュールフランス語圏映画祭、2012年フィレンツェ映画祭出品 )
監督:マルク・フィトゥシ 出演:サンドリーヌ・キベルラン、オドレイ・ラミー
あらすじ : 恋人にふられたポーリーヌは、姉に押し切られてイタリアの地中海リゾートへとやって来る。高級ホテルでイタリア流の“ファルニエンテ”、何もせずに過ごす贅沢を満喫するどころか、殺人事件が起きたと確信し、探偵に早変わり。捜査に魅力的な水泳コーチを巻き込み……。マルク・フィトゥシによる長編第3作目。前作『La vie d’artiste (アーティストの人生)』に引き続き『海の上のバルコニー』や、『プレイヤー』、『屋根裏部屋のマリアたち』などへの出演で日本でもファンの多いサンドリーヌ・キベルラン主演。
クラシック部門(コンペティション外)
『シェルブールの雨傘』
( Les parapluies de Cherbourg/90分 1964年カンヌ国際映画祭 パルム・ドール受賞 )
監督:ジャック・ドゥミ 出演 :カトリーヌ・ドヌーヴ
あらすじ : シェルブール、1957年11月。エメリ夫人と娘のジュヌヴィエーヴは、「シェルブール雨傘店」というブティックを経営していた。ジュヌヴィエーヴには自動車整備工の恋人ギィがいる。しかしエメリ夫人は若すぎる二人の関係に反対だ。一方、身寄りのないギィを育ててくれたおばは、病の床に伏していた。やがてギィに兵役がきて、若い恋人たちは別れを余儀なくされるが、ジュヌヴィエーヴの妊娠が発覚する。ギィと連絡がとれず、途方に暮れたジュヌヴィエーヴは、母のすすめに応じ、宝石の仲買をしているロラン・カサールという男と婚約をしてしまう。そして母と共にシェルブールを離れることに……。(本作はiTunes のみでの配信になります。公式サイトではご覧いただけません。)
ケベック招待作品 長編(コンペティション外)
『ビフォー・マイ・ハート・フォールズ』
( Avant que mon coeur bascule/100分 2013年ロッテルダム国際映画祭出品 )
監督:セバスチャン・ローズ 出演:ソフィー・ロラン、セバスチャン・リカール
あらすじ : サラ、16歳。普通なら未来に向かって希望に満ちた毎日を過ごす年齢。しかしサラは日々盗みや怪しげな取引など、反社会的な行為に手を染めていた。友達のルイと一緒になって、ヒッチハイクをして、乗せてくれた車を次々と襲っては盗みを繰り返していたが、ある日、争いがこじれ、男をひとり死なせてしまう。被害者の妻、フランソワーズへの接近を試みるサラだったが……。
コンペティション部門:短編
『7番目の天国』( 7eme Ciel/39分 2013年パンタン短編映画祭出品 )
監督:ギヨーム・フォワレ 出演:レドゥアンヌ・ベアシュ、ラルフ・アムースゥ、ジェナ・シンバ
あらすじ : パリ郊外の低所得層住宅が立ち並ぶ地域で暮らす青年ソフィアン。グループの若者たちと同じように振るまい、乱暴者として通っていた。一方、彼はひそかに同性にひかれていた。ソフィアンの抱える矛盾は、閉塞的な世界に生きる若者たちの、自分を持て余し、目的を見つけられずにいる現状を浮き彫りにする。
『ア・ラ・フランセーズ』( A la Francaise/7分/アニメーション
2013年シティ・オブ・ライツ・シティ・オブ・エンジェルス映画祭観客賞 )
監督:モリガヌ・ボワイエ、ジュリアン・アズブルック、レン=シェン・スー、エマニュエル・ルルー、ウィリアム・ロルトン
あらすじ:時はルイ14世の統治時代。ある日の午後、ヴェルサイユ宮殿での出来事……。
『粘土』( Argile/18分 Larissa Mediterranean Festival of New Directors – 2013 : Silver Horse )
監督:ミカエル・ゲラズ 出演:エディット・スコブ、ローラン・デルベック
あらすじ : アレックスがポーズをとり、年老いた女性が彫刻のための塑像を作る。なんということはない制作の風景だ。ただひとつ異なるのは、この女性は目が見えないこと。彼女はその両手を使うほかには「見る」手段を持たないのだ。皺だらけの手がモデルの裸体に触れる。アレックスは、今までに経験したことのない、特別な制作現場を経験する……。レオス・カラックス監督『ホーリー・モーターズ』でのミステリアスな存在感も記憶に新しい、エディット・スコブ主演。
『全てを失う前に』( Avant que de tout perdre/30分
2013年クレルモンフェラン国際短編映画祭 国内コンペティション部門 最優秀作品賞ほか4部門受賞 )
監督:グザヴィエ・ルグラン 出演:レア・ドリュケール、アンヌ・ブノワ、ミリヤン・シャトラン
あらすじ : 学校をさぼって橋の下に隠れている少年。恋人との別れを惜しみ、バス停で涙にくれている少年の姉。彼らを順番に車に乗せていく母親。3人はスーパーマーケットの駐車場に到着し、急いで店内に入っていく。夫の暴力から逃げるため、子供をつれて他の土地へ逃げることを決めた彼女は、勤務先に給料の精算を頼みに来たのだ。ようやく未払い分の一部を手にしたものの、店内やその周辺で彼女を待ち伏せる夫を避けて店から出ていかなくてはならないが……。グザヴィエ・ルグランはこの家庭内暴力についての作品を通し、時間との闘い、社会的スリラーを描く。クレルモンフェラン国際短編映画祭で4部門を受賞した話題作。