映画祭情報&レポート

山形国際ドキュメンタリー映画祭 東京上映

ドキュメンタリー・ドリーム・ショー
――山形 in 東京 2024

隔年に開催されるドキュメンタリー映画の祭典、山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)。
昨年は4年ぶりのリアル開催となり、待ちわびた約 2 万人の観客で大きな盛り上がりを見せた。
その上映作品を東京で見ることができる恒例のイベント『ドキュメンタリー・ドリーム・ショー』を
今年も開催。今回はパレスティナの土地と記憶に迫る特集「パレスティナ――その土地と歩む」
など独自のプログラムを加え、約 50 本を上映!!

公式サイト

2024年10月19日(土)~11月8日(金)、新宿 K’s cinema
11月9日(土)~20 日(水)アテネ・フランセ文化センターにて開催

パレスティナ――その土地と歩む

「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー――山形 in 東京 2024」画像昨年 10 月 7 日ハマスによるイスラエルへの襲撃が起きて以降、”報復”としてイスラエル軍によるガザへの大規模侵攻が続いている。今年2月の時点ですでにパレスティナ人の死者は 3 万人以上、死傷者は約 7 万人に達したと報道され、現在ガザ地区の大部分が廃墟と化し人々が飢餓に陥る事態と伝わる。山形国際ドキュメンタリー映画祭 2023 では会期中に起こった事件とその直後に開始された大規模侵攻の報せに動揺が広がり、隣国レバノンから来日していた監督たちは家族や友人の安否確認に追われた。本特集では、10・7 以前に遡ってパレスティナの土地をめぐる記憶に焦点を当て、新旧作合わせた 7 本を上映する。

ともにイスラエル出身であるユダヤ系監督エイアル・シヴァンとパレスティナ系監督ミシェル・クレフィが、分離壁の建設が進むふたつの土地と人々の分断を描いた『ルート 181 』( 2003 年)。また、クレフィが単独で監督した『石の讃美歌』( 1990 年)では、当時のガザの状況が浮かび上がる。そして、現在ヨルダンに暮らすパレスティナ人映画作家・研究者のアッザ・エル・ハサンの短編と中編作品も上映。入植地が拡大する占領の実情を描いた『モーゼからの権利証書』( 1998 年)とニュース素材と化したパレスティナの日常を捉えた『ニュースタイム』( 2001 年)の 2 作品。さらに、アメリカ在住のパレスティナ人映画作家ジュマーナ・マンナーアが生活に必要な野草採集がイスラエルに禁止されている現状を描く『採集する人々』( 2022 年)。監督のマンナーアは、今年イメージ・フォーラム・フェスティバルでも 2 作品が紹介される注目の作家である。(フェスティバルではジュマナ・マナと表記。)この作品は、大阪を拠点に上映活動を行う「本庄からパレスチナへの会」が 10 月に大阪で初上映。東京では 11 月 2 日(金)の K’s Cinema での上映が初となる。

一部の作品では上映後にトークイベントも開催。 11 月 2 日(土)は、『モーゼからの権利証書』『ニュースタイム』の監督アッザ・エル・ハサンがオンラインで Q&A を実施する。11 月 16 日(土)は、『ルート 181 』上映後に、イスラエル・パレスティナに関する著書や訳書で知られる早尾貴紀(東京経済大学教員)がトークを行う。同日に上映されるミシェル・クレフィが監督した劇映画『ガリレアの婚礼』(1987 年)についても解説する予定。

2024年10月19日(土)~11月8日(金)、新宿 K’s cinema
11月9日(土)~20 日(水)アテネ・フランセ文化センターにて開催

上映作品一覧

ミシェル・クレフィ、エイアル・シヴァン監督ルート 181
2024年11月16日(土)15:20@アテネ・フランセ文化センター 公式ページ
トーク 早尾貴紀(東京経済大学教員)
監督:ミシェル・クレフィ、エイアル・シヴァン
ベルギー、フランス、イギリス、ドイツ/2003/アラビア語、ヘブライ語/Blu-ray/270分

「ルート 181」画像1947 年に採択されたパレスティナ分割案・国連総会決議 181 号。故郷へ戻った二人の監督が、現存しないこの境界線を「ルート 181」と名づけて辿る。人々との偶然の出会いによって照射される、土地と人々の分断、暴力と収奪、記憶の改ざん、抑圧と差別。山形国際ドキュメンタリー映画祭 2005 山形市長賞(最優秀賞)受賞

ミシェル・クレフィ監督石の賛美歌
「石の賛美歌」画像2024年10月24日(木)12:15@新宿K’s cinema 公式ページ
監督:ミシェル・クレフィ ベルギー/1990/アラビア語/35mm/105分
男女の再会を描くフィクションとパレスティナの現状を捉えたドキュメンタリー。二つの映画的手法を並置することで浮か上がる占領下パレスティナに生きる人々の痛みと苦悩。山形国際ドキュメンタリー映画祭 91 特別賞受賞

「ガリレアの婚礼」画像ミシェル・クレフィ監督ガリレアの婚礼
2024年10月24日(木)10:00@新宿K’s cinema 公式ページ
2024年11月16日(土)13:00@アテネ・フランセ文化センター
公式ページ
監督:ミシェル・クレフィ
ベルギー・フランス/1987/アラビア語、ヘブライ語、トルコ語/35mm/116分

イスラエル軍によりパレスティナの土地の接収が続くナザレの村。夜間外出禁止令が敷かれるなか村長は息子の結婚式を行うため軍政官とある取引をするが、そのことが思わぬ事態を招く。のちに山形の常連となる監督による初長編劇映画。’87 カンヌ映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞

アッザ・エル・ハサン監督モーゼからの権利証書
「モーゼからの権利証書」画像2024年11月02日(土)14:30@新宿K’s cinema 公式ページ
監督:アッザ・エル・ハサン パレスティナ/1998/アラビア語、英語/Blu-ray/30分
イスラエル占領下、エルサレムへ向けて拡大し続ける入植地マアレ・アドミム。監督はビデオ日記の体裁で、いとも簡単に住居を破壊され土地を奪われる人々の姿を記録する。

「ニュースタイム」画像アッザ・エル・ハサン監督ニュースタイム
2024年11月02日(土)14:30@新宿K’s cinema 公式ページ
トーク アッザ・エル・ハサン監督(『モーゼからの権利証書』『ニュースタイム』監督)※オンライン
監督:アッザ・エル・ハサン パレスティナ/2001/アラビア語/Blu-ray/52分
「戦争・紛争時は、ドキュメンタリー映画の制作が唯一の娯楽の手段となってしまう。」パレスティナ人がニュース素材とみなされる現状に抗い身の回りの人々にカメラを向けた監督が捉えた、”ありきたりの”日常。

バスマ・アルシャリーフ監督私たちは距離を測ることから始めた
2024年11月01日(金)10:00@新宿K’s cinema 公式ページ
「私たちは距離を測ることから始めた」画像監督:バスマ・アルシャリーフ パレスティナ、エジプト/2009/アラビア語/Blu-ray/19分
マドリッド=オスロ、ガザ=エルサレム……。都市間の距離を提示することで喚起されるその土地のイメージ。気鋭のアーティストによる、個人の主観的経験に基づき歴史、政治を表象する映画的試みは、同時に特定の文脈における意味づけから言葉を解放する実験でもある。

ジュマーナ・マンナーア監督採集する人々※東京初上映
2024年11月01日(金)10:00@新宿K’s cinema 公式ページ
監督:ジュマーナ・マンナーア
パレスティナ/2022/アラビア語・ヘブライ語/DCP/64分/提供:本庄からパレスチナへの会

「採集する人々」画像パレスチナの人々の生活に根付いた野草採集は、イスラエル政府により違法化された。自然とともに育まれた食文化のみならず、尊厳ある暮らしをも奪おうとする占領を生き抜く人々を独自の映画的表現で描く。注目のパレスチナ人映画作家、ジュマーナ・マンナーア監督作品。

CREDIT

ドキュメンタリー・ドリーム・ショー――山形 in 東京 2024
主催:シネマトリックス
共催:山形国際ドキュメンタリー映画祭/K’s cinema/アテネ・フランセ文化センター
協力:アカリノ映画舎

※主な上映作品
パヤル・カパーリヤー監督『何も知らない夜』★ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)
イレーネ・M・ボレゴ監督『訪問、秘密の庭』★山形市長賞(最優秀賞)
イグナシオ・アグエロ監督『ある映画のための覚書』(優秀賞)
匿名監督『負け戦でも』(アジア千波万波 小川紳介賞)
マーヤ・アブドゥル=マラク監督『ベイルートの失われた心と夢』(アジア千波万波 奨励賞)
沈蕊蘭(シェン・ルイラン)監督『列車が消えた日』(アジア千波万波 奨励賞)
蕭美玲(シャオ・メイリン)監督『平行世界』(日本映画監督協会賞)
小田香監督『GAMA』※東京初上映

公式サイト 公式 𝕏  公式Facebook

2024年10月19日(土)~11月8日(金)、新宿 K’s cinema
11月9日(土)~20 日(水)アテネ・フランセ文化センターにて開催

2024/10/16/14:00 | トラックバック (0)
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    山形国際ドキュメンタリー映画祭 東京上映

    ドキュメンタリー・ドリーム・ショー
    ――山形 in 東京 2024

    隔年に開催されるドキュメンタリー映画の祭典、山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)。
    昨年は4年ぶりのリアル開催となり、待ちわびた約 2 万人の観客で大きな盛り上がりを見せた。
    その上映作品を東京で見ることができる恒例のイベント『ドキュメンタリー・ドリーム・ショー』を
    今年も開催。今回はパレスティナの土地と記憶に迫る特集「パレスティナ――その土地と歩む」
    など独自のプログラムを加え、約 50 本を上映!!

    公式サイト

    2024年10月19日(土)~11月8日(金)、新宿 K’s cinema
    11月9日(土)~20 日(水)アテネ・フランセ文化センターにて開催

    パレスティナ――その土地と歩む

    「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー――山形 in 東京 2024」画像昨年 10 月 7 日ハマスによるイスラエルへの襲撃が起きて以降、”報復”としてイスラエル軍によるガザへの大規模侵攻が続いている。今年2月の時点ですでにパレスティナ人の死者は 3 万人以上、死傷者は約 7 万人に達したと報道され、現在ガザ地区の大部分が廃墟と化し人々が飢餓に陥る事態と伝わる。山形国際ドキュメンタリー映画祭 2023 では会期中に起こった事件とその直後に開始された大規模侵攻の報せに動揺が広がり、隣国レバノンから来日していた監督たちは家族や友人の安否確認に追われた。本特集では、10・7 以前に遡ってパレスティナの土地をめぐる記憶に焦点を当て、新旧作合わせた 7 本を上映する。

    ともにイスラエル出身であるユダヤ系監督エイアル・シヴァンとパレスティナ系監督ミシェル・クレフィが、分離壁の建設が進むふたつの土地と人々の分断を描いた『ルート 181 』( 2003 年)。また、クレフィが単独で監督した『石の讃美歌』( 1990 年)では、当時のガザの状況が浮かび上がる。そして、現在ヨルダンに暮らすパレスティナ人映画作家・研究者のアッザ・エル・ハサンの短編と中編作品も上映。入植地が拡大する占領の実情を描いた『モーゼからの権利証書』( 1998 年)とニュース素材と化したパレスティナの日常を捉えた『ニュースタイム』( 2001 年)の 2 作品。さらに、アメリカ在住のパレスティナ人映画作家ジュマーナ・マンナーアが生活に必要な野草採集がイスラエルに禁止されている現状を描く『採集する人々』( 2022 年)。監督のマンナーアは、今年イメージ・フォーラム・フェスティバルでも 2 作品が紹介される注目の作家である。(フェスティバルではジュマナ・マナと表記。)この作品は、大阪を拠点に上映活動を行う「本庄からパレスチナへの会」が 10 月に大阪で初上映。東京では 11 月 2 日(金)の K’s Cinema での上映が初となる。

    一部の作品では上映後にトークイベントも開催。 11 月 2 日(土)は、『モーゼからの権利証書』『ニュースタイム』の監督アッザ・エル・ハサンがオンラインで Q&A を実施する。11 月 16 日(土)は、『ルート 181 』上映後に、イスラエル・パレスティナに関する著書や訳書で知られる早尾貴紀(東京経済大学教員)がトークを行う。同日に上映されるミシェル・クレフィが監督した劇映画『ガリレアの婚礼』(1987 年)についても解説する予定。

    2024年10月19日(土)~11月8日(金)、新宿 K’s cinema
    11月9日(土)~20 日(水)アテネ・フランセ文化センターにて開催

    上映作品一覧

    ミシェル・クレフィ、エイアル・シヴァン監督ルート 181
    ベルギー、フランス、イギリス、ドイツ/2003/アラビア語、ヘブライ語/Blu-ray/270分
    2024年11月16日(土)15:20@アテネ・フランセ文化センター 劇場ページ
    トーク 早尾貴紀(東京経済大学教員)

    「ルート 181」画像1947 年に採択されたパレスティナ分割案・国連総会決議 181 号。故郷へ戻った二人の監督が、現存しないこの境界線を「ルート 181」と名づけて辿る。人々との偶然の出会いによって照射される、土地と人々の分断、暴力と収奪、記憶の改ざん、抑圧と差別。山形国際ドキュメンタリー映画祭 2005 山形市長賞(最優秀賞)受賞

    ミシェル・クレフィ監督石の賛美歌ベルギー/1990/アラビア語/35mm/105分
    「石の賛美歌」画像2024年10月24日(木)12:15@新宿K’s cinema 劇場ページ 男女の再会を描くフィクションとパレスティナの現状を捉えたドキュメンタリー。二つの映画的手法を並置することで浮か上がる占領下パレスティナに生きる人々の痛みと苦悩。山形国際ドキュメンタリー映画祭 91 特別賞受賞

    「ガリレアの婚礼」画像ミシェル・クレフィ監督ガリレアの婚礼
    ベルギー・フランス/1987/アラビア語、ヘブライ語、トルコ語/35mm/116分
    2024年10月24日(木)10:00@新宿K’s cinema 劇場ページ
    2024年11月16日(土)13:00@アテネ・フランセ文化センター
    劇場ページ
    イスラエル軍によりパレスティナの土地の接収が続くナザレの村。夜間外出禁止令が敷かれるなか村長は息子の結婚式を行うため軍政官とある取引をするが、そのことが思わぬ事態を招く。のちに山形の常連となる監督による初長編劇映画。’87 カンヌ映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞

    アッザ・エル・ハサン監督モーゼからの権利証書
    「モーゼからの権利証書」画像パレスティナ/1998/アラビア語、英語/Blu-ray/30分
    2024年11月02日(土)14:30@新宿K’s cinema 劇場ページ
    イスラエル占領下、エルサレムへ向けて拡大し続ける入植地マアレ・アドミム。監督はビデオ日記の体裁で、いとも簡単に住居を破壊され土地を奪われる人々の姿を記録する。

    「ニュースタイム」画像アッザ・エル・ハサン監督ニュースタイム
    パレスティナ/2001/アラビア語/Blu-ray/52分
    2024年11月02日(土)14:30@新宿K’s cinema 劇場ページ
    トーク アッザ・エル・ハサン監督(『モーゼからの権利証書』『ニュースタイム』監督)※オンライン

    「戦争・紛争時は、ドキュメンタリー映画の制作が唯一の娯楽の手段となってしまう。」パレスティナ人がニュース素材とみなされる現状に抗い身の回りの人々にカメラを向けた監督が捉えた、”ありきたりの”日常。

    バスマ・アルシャリーフ監督私たちは距離を測ることから始めた
    「私たちは距離を測ることから始めた」画像パレスティナ、エジプト/2009/アラビア語/Blu-ray/19分
    2024年11月01日(金)10:00@新宿K’s cinema 劇場ページ
    マドリッド=オスロ、ガザ=エルサレム……。都市間の距離を提示することで喚起されるその土地のイメージ。気鋭のアーティストによる、個人の主観的経験に基づき歴史、政治を表象する映画的試みは、同時に特定の文脈における意味づけから言葉を解放する実験でもある。

    ジュマーナ・マンナーア監督採集する人々※東京初上映
    パレスティナ/2022/アラビア語・ヘブライ語/DCP/64分/提供:本庄からパレスチナへの会
    2024年11月01日(金)10:00@新宿K’s cinema 劇場ページ
    「採集する人々」画像パレスチナの人々の生活に根付いた野草採集は、イスラエル政府により違法化された。自然とともに育まれた食文化のみならず、尊厳ある暮らしをも奪おうとする占領を生き抜く人々を独自の映画的表現で描く。注目のパレスチナ人映画作家、ジュマーナ・マンナーア監督作品。

    CREDIT

    ドキュメンタリー・ドリーム・ショー――山形 in 東京 2024
    主催:シネマトリックス
    共催:山形国際ドキュメンタリー映画祭/K’s cinema/アテネ・フランセ文化センター
    協力:アカリノ映画舎

    ※主な上映作品
    パヤル・カパーリヤー監督『何も知らない夜』★ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)
    イレーネ・M・ボレゴ監督『訪問、秘密の庭』★山形市長賞(最優秀賞)
    イグナシオ・アグエロ監督『ある映画のための覚書』(優秀賞)
    匿名監督『負け戦でも』(アジア千波万波 小川紳介賞)
    マーヤ・アブドゥル=マラク監督『ベイルートの失われた心と夢』(アジア千波万波 奨励賞)
    沈蕊蘭(シェン・ルイラン)監督『列車が消えた日』(アジア千波万波 奨励賞)
    蕭美玲(シャオ・メイリン)監督『平行世界』(日本映画監督協会賞)
    小田香監督『GAMA』※東京初上映

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    11月9日(土)~20 日(水)アテネ・フランセ文化センターにて開催

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