深田 晃司 (監督)
二階堂 ふみ (女優)
杉野 希妃 (女優・プロデューサー)
映画「ほとりの朔子」について
2014年1月18日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
深田晃司監督の「ほとりの朔子」は東京国際映画祭の試写が初見だった。観ている間中、とても楽しんだし深田さんが次にこういう作品を撮るとは思わず嬉しい驚きでもあった。映画に脱原発の集まりが出てくるが首相官邸前の脱原発抗議に初めて行ったのは深田さんとだった(2011年初夏に観に行った映画の後の集まりで一緒になり帰る方向も同じで、その日おこなわれた首相官邸前の脱原発抗議に共に行こうと思っていたので一緒に行った)。宣伝も作り手自らがやっていて、その心意気も含めて公開時には是非インタビューしたいと思った。インタビューは深田さんに加えて主演の二階堂ふみさんとプロデューサー&出演の杉野希妃さんも交えて外国人記者クラブの記者会見前に行った。(取材:わたなべりんたろう)
――主人公の朔子は等身大の女の子で浪人中で何か揺れている。太賀くんの役もそうだけど自分を規定できていなくて照れちゃって脱原発のスピーチとか走って逃げちゃうんだけど、深田監督はこういう若者をどう思っているのかな?と思いました。今の若い人って自己肯定感が低い人が多いのもあって、そこも含めて描いているのかなと。
深田 それはあまり意識していなくて僕はなるべく脚本を書く時に一番意識するのは完成されていない人間を描きたいと。それは僕の単純な考え方なんですけど、映画の被写体で何が面白いっていうと人間の関係性にしてもどっちに転がるかわからない方が面白い。ラブラブの新婚の夫婦は撮っても面白くなくて、七年目の浮気の時にどう崩れてくるんだろうって時が面白いわけです。それと同じで思想や考え方が完成されていたりする人の考え方を伝えるというよりは、この人どっちに転がってしまうんだろう?という状態のか面白いと思うので浪人生が出てきたりする。
――その点は『歓待』もそうでしたね。中間地点というか。二階堂さんは等身大と思ってやっていたんでしょうか?
二階堂 全然そういう風に思わないでやってました。すごい忙しい時期で『地獄でなぜ悪い』と大河ドラマ『平清盛』を同時期に撮っていて。
――同時に三本!? 『ほとりの朔子』を集中して撮ったわけじゃないんですね。
二階堂 全然違いました。これを午前中に撮って午後から『地獄でなぜ悪い』をやってみたいな。だから正反対の役を同じ時期にやったからこそリラックスして出来た役と言うか、午前中は朔子でぼけっとして午後に刀振り回して、次の日おっとりしにいくというサイクルができてたと言うか。
杉野 メイク中に、ふみちゃんが『あー癒される。この現場』って言ってましたね(笑)。
――園さんの現場はテンション高いですからね。
――(この質問のみ撮影のgirl_akichiが同年代として質問)二階堂さんはこの映画で浪人生の女の子を演じています。この役は自分の進むべき道が決まってなくて宙ぶらりんの状態で実は世の中はこういう人が多いと思います。そういう中で二階堂さんは今現在、女優として活躍してるけれど、そういう人々から”活躍してる”という風に見られるのはどうですか?
二階堂 この仕事は活躍してようがしていなかろうが、例えるなら毎日が就活のようなものなんです。だから変な話、親が死んでも現場入ったら現場に行かなきゃいけないし、、このことはとても良く聞かれるんですね。今回、朔子をやって、今まで自分がやってきたことが評価されることあったりして。でも『じゃあそれで良かったんですか?』って聞かれた時に、わたしは中学校のころにほとんど学校の行事にでられなくて学校を多分、年の半分も行っていない時があったんです。だから『挫折とかしたことないでしょう?』って聞かれた時にわたしは中学校のとき挫折とかそういう経験をしているし、ある程度捨てるものは捨ててきたし...だから何だろう、逆に可能性が広いのは私の仕事じゃないかもしれないって考え方もあるし、わたしはその人次第なんじゃないかなって考えです。
( 2014年1月9日 外国人記者クラブ控え室にて
取材:わたなべりんたろう 撮影/girl_akichi )
監督・脚本・編集・コプロデューサー:深田晃司 プロデューサー:杉野希妃
脚本:深田晃司 撮影:根岸憲一 音楽:Jo Keita
出演:二階堂ふみ,鶴田真由,太賀,古舘寛治,大竹直,小篠恵奈,杉野希妃
エグゼクティブプロデューサー:小野光輔,足立誠,宮田三清,奥山和由
コエグゼクティブプロデューサー:依田康,田中友梨奈,深澤研,深田洋功,疋田賢司,平野昭宏
アソシエイトプロデューサー:四宮隆史
製作:Sakuko Film Partners 製作・配給・ワールドセールス:和エンタテインメント © sakuko film partners