コンプリシティ/優しい共犯
2020年1月17日(金)より新宿武蔵野館にてロードショー
世界の映画祭を席捲した 近浦啓 長編映画デビュー作!
ルー・ユーライ(『孔雀 ―我が家の風景―』) × 藤竜也
技能実習生として来日するも、劣悪な職場環境から逃げ出し、不法滞在者となってしまった中国人青年チェン・リャン。彼は他人になりすまし、蕎麦屋で働き口を見つける。口数が少なく不器用な蕎麦屋の主人・弘は、実の息子との関係も悪くどこか心に孤独を抱えていた。厳しくも温かい弘の背中に父を重ねるチェン・リャンと、彼の嘘をつゆ知らず情を深めていく弘――2 人はまるで親子のような関係を築いていく。しかしはかない嘘の上に築いた幸せは長く続かず、チェン・リャンを追う警察の手が迫り、すべてを清算する日がやってくる。その時、二人はお互いのためにある決断をする――。
メガホンをとったのは、本作が長編映画デビューとなる近浦啓監督。短編映画『SIGNATURE』が第 70 回ロカルノ国際映画祭ほかで高い評価を受け、米アカデミー賞公認映画祭であるエンカウンター短編&アニメーション映画祭でグランプリを受賞した。本作は北米最大の映画祭・トロント国際映画祭でワールド・プレミア上映され、続いて釜山、ベルリンと世界の名だたる映画祭へ入選し正式出品、そして厳しい目を持つ映画ファンが集まる東京フィルメックスで観客賞を受賞する世界の映画祭で話題を集めている。
主演は、第 55 回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞受賞の『孔雀 ―我が家の風景―』でデビューした中国人俳優・ルー・ユーライ。常にどこか寂しさを感じさせる瞳と危うげな存在感で、どこにいても自分の存在を確立できない主人公の青年チェン・リャンの哀しみを観客に訴えかける。そしてチャン・リャンの、時に厳しい上司であり時に優しい父のような存在である厳格な蕎麦屋の主人・弘を、日本を代表する名優・藤竜也が見事に演じている。
- 暮らしの下に広がる、名前を奪われた彼らの世界。
私は知らなかったのか、見て見ぬふりをしていたのか。
戸惑いながらも見つめ続けると、残酷さのなかに希望が見えた。
――今日マチ子(漫画家) - 「法を背いてまで、あなたには守るべき絆がありますか?」
そう問いかけられているような作品。
この作品は正に中国映画「紅いコーリャン」「故郷の香り」に次ぐ、心に残る名作。
――矢野浩二(俳優) - 本当のことが描かれている。
今の日本における外国人労働者のリアルな実態を映し出している、のだけれどそれだけではない。
主人公の青年は「技能実習生」「不法滞在者」というだけの存在ではない。
その人にしかない「祖母との記憶」「それまでの何気ない日常」「自覚すらされない思い」そういった無数のもの。
本当の時間が流れている。その後どうなったんだろう、と思いをはせずにはいられない。 ――アランジアロンゾ(雑貨屋) - あえて言わない優しさ、何も言えない苦しさ。
言葉だけでは決して表現しきれない 2 人の脆くも深い関係が、チェンの大きな嘘をあっさりと超えていく。
人は出会うべくして出会う。例え嘘の上に築かれたものだとしても、いつでも自分という存在はここにあるのだ。 ――あたそ(ライター)
赤坂沙世,松本紀保,バオ・リンユ シェ・リ ヨン・ジョン,塚原大助,浜谷康幸,石田佳央,堺小春,占部房子
監督・脚本・編集:近浦啓
主題歌:テレサ・テン「我只在乎ニィ(時の流れに身をまかせ)」(ユニバーサル ミュージック/USMジャパン)
製作:クレイテプス Mystigri Pictures 制作プロダクション:クレイテプス 配給: クロックワークス
2018/カラー/日本=中国/5.1ch/アメリカン・ビスタ/116分 © 2018 CREATPS / Mystigri Pictures
2020年1月17日(金)より新宿武蔵野館にてロードショー
- 監督:クー・チャンウェイ
- 出演:チャン・チンチュー, ファン・リー,
ルゥ・ユウライ - 発売日:2007/07/27
- おすすめ度:
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