新人映画監督特集 vol.5
佐藤睦美監督特集上映
「ロマンス/生活」
2020年1月18日(土)~24日(金)まで、池袋シネマ・ ロサにて開催
池袋シネマ・ロサが行っている新人映画監督特集の第5弾にして、初の女性監督として佐藤睦美監督が取り上げられる。
今回上映されるのは、同棲している恋人同士の日常とすれ違っていく関係性を描く『ゴミのような』と、夢だった仕事に就くも挫折し、再挑戦を試みる女性の葛藤を描く『ラウンドアバウト』の2作品。いずれも等身大の恋愛、ありふれた生活を見つめながら、その中でもがく人々のリアルを鮮やかに切り出してみせる、佐藤睦美監督の持ち味・魅力がつまった作品になっている。今回の特集を機に、今後の活躍にも注目して欲しい。
著名人からのコメント(敬称略 / あいうえお順)
- 「働く」ことにまとわりつく呪いは確かに存在すると思った。時には優越感、時には罪悪感。 いつでも理由はシンプルでありたい。うまくいかない日々の中で、シンプルな気持ちが顔を出す瞬間が、とてもかわいらしく、愛おしく感じました。 ――手島実優(俳優「赤色彗星倶楽部」「カランコエの花」)
- 日々を暮らしているだけのふつうの女が、何故こうも迫力をもってスクリーンに立ち現れるのか。いや、ふつうの女は、それほどの気迫で毎日生きてるんだ。これまでドラマから削ぎ落とされてきたわたしたちの〈生活〉。それは鞄の中で迷子になる家の鍵であり、プラスチック容器の味噌汁であり、夜勤の母であり、彼を突き放せないわたしである。
佐藤睦美はそれらにライトを当て、復権させる。わたしたちの生活はそれほどまでに、世界にとって重要だ。
――ドルショック竹下(漫画家「挿れるモノ拒まず」「ヤリマン引退!」) - 睦美さんが描く人間は「粘土のような」印象がある。柔らかくてあぶらっぽくて、一度混ざると簡単には取り除けない。
なんでこんなに愛おしいのだろう。とにかく吐き出される台詞が生感があって気持ちよくて、「やられた!」と思ってばかりだけど、これからも私は睦美さんにやられ続けたいです。
――野本梢(映画監督「私は渦の底から」「次は何に生まれましょうか」) - 佐藤睦美の描く恋愛は、私の記憶ではだいたい、下り坂の途中か、その恋愛の終わりという苦しい時期から物語がはじまる。生活にまみれ、楽しいとこもなく、殺伐としていて、それでいても関係は続く。華やかなシーンも なければ、感動に涙するシーンもないし、恋愛なんて、自分にとっても他人事でも辛いことしかないんじゃないのか? と思えてくる。しかし、たぶん佐藤睦美は恋愛自体が好きなんだと思う。幸も不幸も残酷でも、恋愛自体を肯定している。そして佐藤睦美はそんな恋愛観なのに「わりと幸せだ」と言い張る。佐藤睦美の恋愛観を見ろ。不誠実でも、悲惨でも、お金がなくて苦しくても、恋愛は恋愛だ。それらは佐藤睦美の映画に対する“恋愛”として作品に結実する。そんな不器用な人間の、不器用な恋愛の、不器用な映画を肯定してあげてほしい。もともと器用な恋愛なんて、私たちには関係がなかったのだから。 ――蜂鳥スグル(シャンソン歌手)
- 現代の日本を器用に生きられる人なんて、ほんのひと握りだと思う。誰もがさまざまな悩みを抱えているに決まっているのに、社会のシステムがさらなるダメージを与えてくる。今回公開される「ゴミのような」「ラウンドアバウト」 の 2 本は、どちらも、そんな日本に生きる誰かの日常をリアルに切り取りすぎて、見ていて胸が痛くなるような作品だ。 が、最後まで希望が描かれないわけではない。「ラウンドアバウト」のワンシーンに、思わず吹きだしてしまった。 主人公であるみちるの元彼。登場から最低すぎて、思わずぶん殴ってやりたくなるような、だけどどうしても憎めないような、何がなんだかわからない男。そいつが河原の土手に座るみちるの横にふらりとあらわれ、片手に持ったペットボトルの水をちょっと飲む。その空いたスペースにポケット瓶からウイスキーを注ぎこんで水割りを作る。ははは! 自分とまったく同じことしてる!それを疎ましそうに、しかしうらやましそうに見つめるみちるの鋭い目もいい。陽光を浴びてキラキラと輝くペットボトル。急にただの日常までもが、いっときファンタジーのように輝きだす。高い安いでも、うまいまずいでもない。人生の何気ない瞬間のこういう酒に、僕たちは救われるのだ。それを希望の象徴のひとつとして描くなんて、佐藤睦美監督は信頼できる酒飲みであるに違いない。 佐藤さん、こんどぜひ、飲みにいきましょう。 ――パリッコ(酒場ライター「酒場っ子」「つつまし酒」)
- 食べて飲んで眠って、お仕事して。時にはだらしなく酔っぱらってみたり、ダメ男と H したり…。
どうしようもない、どうにもならない、ゴミのような日常が続いても、それでも少しずつ前向きになれたら、それはきっとかけがえのない日々となる。回り道をしながらも、一生懸命に生きていくこと、そしてその意味を、佐藤睦美監督はユーモラス且つ真摯に描き出す。
――松崎まこと(映画活動家/放送作家)
当日料金:一般1500円、大学生1300円、高校生以下1000円(シニア・水曜女性割引あり)
リピーター割引:「佐藤睦美監督特集上映」の半券ご提示で一般1000円 前売鑑賞券(1300円)絶賛発売中!
2020年1月18日(土)~24日(金)まで、池袋シネマ・ ロサにて開催
ゴミのような ( 2017年|日本|28分|カラー|DCP )
監督/脚本:佐藤睦美 出演:小畑みなみ,西留翼,賀津塔,櫻井保幸,鳥羽優好,柳原光貴
プロデューサー:高橋正樹 撮影:岩本真 録音:宍戸絹代 助監督:長谷川雄規 美術:宍戸絹代,チルカサトシ 制作:青山孝 主題歌「ごみのような」作曲/演奏:高橋正樹 製作:ニューシネマワークショップ
美乃は、優しく尊敬できる存在だが無職の恋人・一恵と同棲中。仕事をしながら家事もこなし、一恵を支えようとする美乃。しかし一恵は日々卑屈になっていった。日常の中で小さく傷つけ合い、すれ違っていく2人。
ラウンドアバウト ( 2019年|日本|39分|カラー|DCP )
監督/脚本:佐藤睦美 出演:田口夏帆,櫻井保幸,岩松れい子,小畑みなみ,松岡真吾
プロデューサー:高橋正樹 撮影:川崎誠 録音:芦澤麻有子、藤本匠 助監督:松隆祐也 制作:坂入亞津然 撮影助手:岩本真 録音助手:森健一 テーマソング「fraction」作詞/作曲/演奏:タカハシナミ タイトルデザイン:広谷紗野夏 製作:ニューシネマワークショップ
夢だった飲食店に就職したが、過酷な環境だったため退職したみちる。母親から安定した仕事を探すよう言われているが、内緒で再び飲食店で働いていた。葛藤するみちるのもとに、元恋人の壮介が現れて――。
2020年1月18日(土)~24日(金)まで、池袋シネマ・ ロサにて開催
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