河井 青葉 (女優)
映画『私の男』について
▶公式サイト ▶公式twitter ▶公式Facebook
2014年6月14日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開!
(取材:深谷直子)
――リハーサルなどはされずにやっているんですか?
河井 そうですね、リハーサルはなしで。ふみちゃんとは紋別に行ってから「はじめまして」の挨拶をしました。撮影に入る前に熊切監督とちょっと飲みながらお話をしていて「二階堂さんとは初めてだし、どんな感じにしたらよいでしょう?」と何気なく訊いたところ、「大丈夫です、河井さんはきっと二階堂さんのことは好きじゃないと思います」って(笑)。撮影に入る前からそんなふうに仕掛けられてて、私もそんなふうに言われちゃったものだから「ああ、きっと苦手なタイプなんだな」と思い込まされたところがあって。
――もうそういうところから熊切監督は役者さんをコントロールしていたというか。
河井 始まっていたんですね、今思うと。ふみちゃんとも、お葬式のシーンの前にはじめましての挨拶をしたときに、監督から何か言われていたのかどうか分からないんですけど、ものすごく素っ気なかったんですよ。「ああ、そうきたか!」って(苦笑)。なので、私の中で誤解が解けるまでは、リアルに花と小町のように好きになれないなという思いのままで撮影をしていきましたね。
――二階堂さんがこのシーンでの中学生から25歳までを演じ切っているのもすごいことですよね。
河井 撮影のときは18歳だったんですが、とても18歳とは思えない考えを持っていて、大人っぽい一面があるなあと。もちろん18歳らしい一面もありますが、やっぱり普通の18歳とは違う大人の部分も持っていて、しっかりしているなあという印象だったんですね。見た目も整った顔立ちで大人っぽく見えるので、中学生に見えるのかなと思っていたんですが、カメラの前に立つともうただの中学生にしか見えないというか(苦笑)。中学生のときの膨れているような表情はやっぱり子供なんですよ。高校生ぐらいになるとしたたかさが加わって女を感じさせて、その微妙な加減がすごいなと。一緒にやっていてこちらの想像を超えてくるものを目の前で体験させられるので、すごく刺激になりましたね。
――浅野さんの演じた淳悟も何を考えているのか分からない役で、どう向かっていくかということもまた難しかったと思いますが。
河井 寂しかったです(苦笑)。
――浅野さんとは激しいラブシーンがあって、これも挑戦だったのではないかと思いましたが。
河井 そうですね。ただ、相手が浅野さんで、監督が熊切さんなら怖いものなしというか、あまり不安はなかったです。映画自体が問題視されることを臆せず描いていこうというものでしたから、そのシーンもあんまり気にせずに飛び込んでいけるという感じでした。
――すごく表情が切なかったです。どこか疑いながらしがみ付くような必死さがあって。
河井 淳悟の気持ちがどういう形であれ、小町に向かってくるというのがあのシーンだけなんですよね。あとは会話をしていても心ここにあらずというのがものすごく分かるし。肌を合わせていても淳悟の気持ちがどこにあるのかは分からないんですけど、でも小町としては自分に向かってきているというか独占しているというか、それが感じられる瞬間だったのだと思います。だから終わったあとがより切ないですよね、女性としてはなんだかまあ……(苦笑)。
――小町はそんなにも淳悟を愛していたと。
河井 そうですね、愛していたというのもありますし、あとは何というか……、何とかして繋ぎ止めたいっていう思いもあったのだと思います。
――ああ、そうですね。小町は田舎町から出ていかずにそこにとどまってしまって、もうすがり付くものが淳悟しかないというのがあるのでしょうね。
河井 この町で幸せになるにはこの人と結婚するしかないというのがあって。あと、田舎で生活するというのはまわりの目がとても気になるものだと思うんですよね。
――映画にもありますよね、大塩家での飲みの集まりで「小町ちゃん、そろそろ結婚じゃないの?」とはやされるようなシーンが。
河井 みんなが私のことを知っている、噂もすぐに伝わってしまう、そういうところで「私はすごく幸せなんです」というアピールをすることがすごくしんどいというか。私自身は東京でそういうしがらみみたいなものがない環境でずっと育っているのですが、友人の田舎についていってしばらく過ごしたときにそう感じました。そこが田舎のいいところでもあり窮屈な部分でもあるんでしょうけれど。
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、モロ師岡、河井青葉、山田望叶、高良健吾、藤 竜也
監督:熊切和嘉 脚本:宇治田隆史 音楽:ジム・オルーク 撮影:近藤龍人
原作:「私の男」(桜庭一樹/文春文庫刊) 製作・配給・宣伝:日活 © 2013「私の男」製作委員会
▶公式サイト ▶公式twitter ▶公式Facebook
2014年6月14日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開!
- 映画原作
- (著):桜庭一樹
- 発売日:2012/9/20
- おすすめ度:
- ▶Amazon で詳細を見る