河井 青葉 (女優)
映画『私の男』について
▶公式サイト ▶公式twitter ▶公式Facebook
2014年6月14日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開!
(取材:深谷直子)
――宴会のシーンで一人になった小町が、おつまみの包みを歯で剥いて、指で少しずつ口に運んでいくところは凄みがありました。孤独さも出ていたと思うんですが、そのあと花と淳悟の関係でも指をなめ合うようなことが繰り返されて、小町の行為も対比のようになっていたのかなと思いました。そういう意図があったんでしょうか?
河井 あそこの意図としては、太らないようにと常にダイエットを心掛けているような小町が、ストレスを感じていつもは食べないようなおつまみを人がいないところでこっそり食べてしまうという。小町の壊れはじめです。あのサラミの食べ方は監督からの指示です。「袋ごといってください」って(笑)。
――細かい(笑)。見た目を気にしてストレスがたまるというのは分かりますね。仕事も銀行の窓口で、そこでもいつも人に見られていて。
河井 そうですね、人前に立つときの小町とひとりになったときの小町のギャップを出したいというのがありました。
――その銀行のシーンでモロ師岡さんが演じる警官の田岡が登場しますが、あそこは唯一コミカルでちょっと和みますよね。
河井 ええ、あのシーンはすごく好きですね。
――でもモロさんもものすごく不幸になってしまって……。熊切監督の「鬼畜」魂が爆発しているなと思いました(笑)。
河井 監督のモロさんに対する愛情があるからこそ、ああいう描き方ができるんだろうなと思いましたね(笑)。
――祖父の大塩を演じた藤竜也さんは大俳優ですが、共演はいかがでしたか?
河井 ワンシーンぐらいの共演だったんですけど、受け止めてもらえる包容力がある方で、ものすごく楽しかったですね。相手のことを考えてお芝居してくださって、「やりやすい」と私が言うのは失礼かもしれないんですが、動きたいように動かせてもらえるというか。ああしようこうしようという話はせずにいきなりテストしてという感じだったんですが、そこですごく見ていてくださって、あらためて、芝居は相手をちゃんと見てやるものだと気付かされました。
――現場での存在感はやっぱりものすごいんでしょうね。藤さんご自身も流氷の上で大変なお芝居をされますが、河井さんは流氷は見られました?
河井 見られなかったんですよね。泊まっているホテルの窓からうっすらと見えたんですが、撮影したのは別の場所だったので。あの撮影風景は近くで見たかったですね。
――あの流氷シーンは圧巻でしたね。撮影のときにはもう河井さんはいらっしゃらなかったんですか。
河井 はい。私が紋別での撮影を終えて東京に帰るという日にみなさんは移動して流氷を撮るというスケジュールになっていたんです。でも前の晩まで流氷が来ていなくて、「一応明日から行くけど撮れないかもしれない」という話をしていて。
――こればっかりは計画どおりにはいかないですよね。
河井 ちょっとやばいかもな、って言ってたんですけど、次の日の朝になったらちゃんと来ていて、夜中の間に流氷が来たーっ!と大興奮で。
――すごいですよね、映画の神様がついている感じで……。でも無事に流氷が来てもやっぱり思いどおりにはなかなか定まってくれなくて、毎日監督たちが動線の確保をしていたそうですね。
河井 ええ、そのようです。流氷って来たばかりだと流氷同士固まっていないからまたすぐに戻っていったりするんです。1回戻ってしまって流氷待ちをしたり、撮影場所だけ固めていったり、大変だったみたいです。
――執念ですよね。
河井 ええ、自然相手に格闘していらっしゃいましたね。
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、モロ師岡、河井青葉、山田望叶、高良健吾、藤 竜也
監督:熊切和嘉 脚本:宇治田隆史 音楽:ジム・オルーク 撮影:近藤龍人
原作:「私の男」(桜庭一樹/文春文庫刊) 製作・配給・宣伝:日活 © 2013「私の男」製作委員会
▶公式サイト ▶公式twitter ▶公式Facebook
2014年6月14日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開!
- 映画原作
- (著):桜庭一樹
- 発売日:2012/9/20
- おすすめ度:
- ▶Amazon で詳細を見る