映画『鬼灯さん家のアネキ』インタビュー特集PART2
今泉力哉(監督) × 佐藤かよ(女優)対談
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2014年9月6日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
(取材:深谷直子)
佐藤 かよ 1988年生まれ、愛知県出身。男性としてこの世に生を受けるが幼少期より自身の性別に違和感を感じ始める。2008年より名古屋を中心に雑誌、広告などで女性モデルとして活動をしていたが、2010年に番組内で男性である事をカミングアウト。現在では、テレビ、ファッションショーなど、モデル・タレントとして幅広く活躍中。
――『鬼灯さん家のアネキ』はキャスティングにも作品にも意外性があってすごく面白く拝見しました。今泉監督の作品としてという以前に、こういうエッチでドタバタなコメディ映画って今あんまりないですよね。
今泉 キワキワでしたね。難しいですよ。ベタなやつって自分で逃げてたりしてたし、ドタバタを否定していたりもしたので。原作のテンションは漫画だから成り立っているところもあるだろうし、難しかったです。だから途中からテンションが急激に低くなっていつもの自分の映画のようにしゃべる映画になっていきましたけどね。
――原作は4コマ漫画で、脚本化は難しかったと思うのですが。
今泉 今回脚本は自分じゃなかったんですよ。
――ああ、脚本に2名のお名前がありましたが。
今泉 脚本は片岡翔さんという方で、自分は台詞を少し変えたりしたぐらいですね。片岡さんは映画祭とかでもよく一緒になる人で元々友達だったんです。オファーの経緯としては自分が推薦したわけではなく、「この人はどうですか?」という連絡が来てそれが片岡さんだったという感じですが。
――それで今泉監督らしさも出る作品になったんですね。佐藤さんは映画を観てどうでしたか?
佐藤 私は自分の演技を映画館で観るという行動がまず初めてなので、なかなか自分に対してどう思うかというのはちょっと分からないんですけど、でも監督が撮影しながら言おうとしていたことが伝わって、「あ、こういう映画に監督はしたかったんだな」ということが私なりにですけど感じられて、一観客として楽しめたし、感情が動かされて面白かったです。
――監督が言おうとしていたことというのは?
佐藤 撮影期間中本当に全然話してくれなかったので……(笑)。
今泉 いや、逆ですって(苦笑)。怖かったんですよなんか。基本的に自分はミーハーでテレビっ子みたいな感覚で田舎から出てきたんで、演出するとか仕事中はいいんですけど、そうじゃないときは「芸能人だ!」みたいな感じになっちゃって、緊張するんすよ(笑)。
佐藤 「どうすればいいのかな?」って監督に訊こうと思うと次の撮影に入っちゃったりしてて忙しかったんですけど、私が間違った方向に行きそうになると、そこは「こうしたほうがいいよ」とか言って直してくださるので、私はそれにある種お任せする気持ちでやってたんです。でも出来上がった映画を観ると「あ、そういうことだったんだ」って納得できて、本当に観客として楽しめましたね。
――佐藤さんが初めての大役にがんばったお話は先ほどたくさん伺ったんですが、今泉監督が水野役に佐藤さんをキャスティングしたのはどうしてですか?
今泉 芝居に関してはほとんど見たことがなかったのでどうなるのか分からなかったんですが、テレビで見ていたりして、この役を佐藤さんがやるっていうことに意味は出るだろうし、それはもう面白いよね、ということをプロデューサーの大森(氏勝)さんと話してて、それが最初のきっかけですね。
――じゃあ佐藤さんのお人柄ありきで選ばれたという。
今泉 そうでしたね。
出演:谷桃子 前野朋哉 佐藤かよ 川村ゆきえ 古崎瞳 岡山天音 葉山レイコ 水澤紳吾/モト冬樹
原作:五十嵐藍(株式会社KADOKAWA 角川書店刊) 監督・編集:今泉力哉 脚本:片岡翔 今泉力哉
音楽:曽我淳一(トルネード竜巻) 主題歌:浜崎貴司「家族」(スピードスターレコーズ)
製作プロダクション:角川大映スタジオ 制作プロダクション:ダブ 製作:KADOKAWA ポニーキャニオン
©2014『鬼灯さん家のアネキ』製作委員会
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