清野菜名、押井守監督、金子ノブアキ
映画『東京無国籍少女』 トークショーレポート
2015年7月25日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
(取材:岸 豊)
清野菜名本作の見所であるアクションシーンについては、出番がほとんどなかった金子が「この映画、俺が出てないところが超面白いんですよ!」と自虐的に語って笑いを取ったあと、「(清野は)殺気というかね、ずっと纏ってましたよね。集中しっぱなしで。現場の中でも、撮影を経ていくごとに、彼女へのリスペクトもすごく感じたし、すごいのを撮ってたんだなって思いました。仕上がりを見てびっくりしました」と熱く語った。
本作の脚本はとてもページ数が薄かったらしく、これについて押井監督は、「セリフは絞ってくれという話は、山邑圭(脚本)にしたんですよ。セリフの部分よりも、セリフがない部分、一人でいるような場面が大事になると。セリフは大して重要なことを言ってないし、言ってみれば全部仮のセリフだから。要するに、セリフには何の根拠もないんだよね。実は。ほとんどダブルミーニングのセリフばっかりで、その辺が多分、役者さんとしてはきつかったんじゃないかな。あとはとにかく尺が足りなくなるんじゃないかっていう恐怖があったんだよね(笑) 僕はなかったんだけど、周りにあって。助監督とか記録がギャーギャー言ってきて、『監督、これ絶対20分足りなくなります』ってさ。『いや、大丈夫だと思うよ』って言ったんだけど、前科があったからね。『アサルトガールズ』(09)を撮った時に、『絶対大丈夫だよ。80分になるから』って言っていたのに、編集したら60分くらいになっちゃって、信用を失った(笑)」と過去のエピソードを交えて振り返った。
劇中で藍が製作するオブジェに代表される特徴的な美術に関して尋ねられた押井監督は、「オブジェに布がかかっているじゃない。あれを全部取った時に(オブジェの)正体が分かる。それをどこで見せることができるのかを色々と考えたんだけど、とりあえず全部見せるんじゃなくて、ちょっと隠しておこうかって。実はちょっと仕掛けがあって、ここにあってはいけないものがあったりするんだよね。美術的な仕掛けっていうのが、こういう映画だからこそね、あちこちに仕掛けられている。美術の黒川通利と相談して、そこにあるべきじゃないものが、あるんだけど気が付かないように置いてねって言った」「なぜ今それを撮るんだというものが一瞬横切ったり、机の上のものだったりね。それは随分事前準備して、いつも(自分の作品では)やっているんだけど、今回は特に多かった」と本作における画面設計への拘りについて語り、「あとになって効いてくるというだけではなくて、見終わっても実はよく分からないと思うんですよ。ただそういった意味では、くり返し観るのに向いている作品」と付け加えた。また撮影で使用された文化遺産、「栃木高校講堂」には三人とも感激したらしく、撮影でクレーンを使用した際には、床が抜け落ちないかとヒヤヒヤしたと楽しげに振り返っていた。
監督:押井守 出演:清野菜名 金子ノブアキ/田中日奈子 吉永アユリ 花影香音/りりィ 本田博太郎
配給:東映ビデオ © 2015東映ビデオ
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