清野菜名、押井守監督、金子ノブアキ
映画『東京無国籍少女』 トークショーレポート
2015年7月25日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
『攻殻機動隊』(95)や『イノセンス』(04)で世界的に知られる押井守監督の実写作品『東京無国籍少女』(15)が、7月25日に全国公開を迎える。同作は芸術系の学校を舞台に、かつて天才と称されたものの、事故の後遺症で他人と関わることに問題を抱えている主人公が、周囲の人間からの嫉妬やイジメに曝される日々を描くと同時に、終盤における意外な展開によって、激しいアクションも見せてくれる注目作だ。主演は『TOKYO TRIBE』(15)で若手NO.1アクション女優の地位を確立した清野菜名。共演は、『新宿スワン』(15)など話題作への出演が相次ぐ金子ノブアキ。今回は、同作の公開を前に新宿TSUTAYAで行われた、清野菜名、押井監督、金子ノブアキによるトークショーの模様をお届けする。 (取材:岸 豊)
清野菜名 2007年、雑誌「ピチレモン」の専属モデルとしてデビュー。園子温監督作品「TOKYO TRIBE」(14)でヒロインに抜擢され注目を集める。押井守監督最新作の本作で初主演を飾るなど、世界的な映画監督に立て続けに起用される。主な出演作に、ドラマ「素敵な選TAXI」(14)、ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」(15)など。
金子ノブアキ 97年にRIZEを結成、00年にメジャーデビューを果たす。ドラマーとして活躍するほか、数多くのアーティストの作品やツアーに参加。俳優としては、映画「クローズZEROⅡ」(09/三池崇史)で注目を集める。主な出演作に、NHK連続テレビ小説「おひさま」(11)、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(14)、映画「白ゆき姫殺人事件」(14)、映画「新宿スワン」(15)などがある。
押井守監督トークショーは、以前から解禁されているバージョンの予告編の上映からスタート。予告編が終わると、興奮する観客たちの後ろから、金子、清野、押井監督が順番に入場。清野と金子が一言ずつ挨拶を済ませると、押井監督が「朝まで飲んじゃって調子悪いんですけど」と告白し、会場が大きな笑いに包まれた。
まず最初に、本作への出演オファーを受けた際に抱いた印象について問われた清野は、「すごく嬉しかったんですけど、まだ自分は経験が少なかったので、こんなに早く主演ができるんだという驚きもありました。でもアクションもあると聞いていて、自分の得意分野なので、本気でやりたいなって思いました」と答えたものの、押井監督や監督の作品については全く知らなかったようで、照れ笑いを見せた。一方、金子は古くからの押井監督のファンで、「僕はもうどっぷり通ってますから。本当に嬉しかったです」「『アヴァロン』(01)がすごく好きで、僕はポーランド系の血が混じっているんですけど、ポーランドに行ったことはなくて、初めてポーランドの景色を見たのが『アヴァロン』だったんです。白黒だったんですけど、里帰りさせてもらいました」と監督の作品への強い思い入れを語り、本作への出演にも感激している様子。
二人をキャスティングした経緯について尋ねられた押井監督は、清野について、「若い女の子を撮ったことがないから、自分の中に選ぶ基準はなかった。ただ単に、区別がつかない。みんな同じに見えるから(笑)」と自虐的に語ったものの、「ただ、一人だけ明らかに今風じゃない子がいた。それが清野だったんだけど、なんか明らかにちょっと違うなっていう。でも写真だけじゃわからないから、とりあえず会わせてくれって言った」と説明。
清野の「今時じゃない」ところについて具体的に訊かれた押井監督は、「可愛いとか美人だとかいうこと以外に……基本的には人を殺しても不思議じゃない顔をしている(笑)」と回答。若干のショックを見せる清野を横目に押井監督は、「そういう風な、可能性を感じる(笑)」と付け加え、会場を沸かせた。しかし、「(アサルトライフルの)AKを持たせた時に画になるかどうかとか、拳銃だったら何が似合うかとか、ちょっと違う基準で見てるから」「キャスティングするときは、演技力がどうのこうのとか、セリフを読んでもらったりはしないんですよ。何を着せたいかとか、何を持たせたいかとか、それで大体は考えますね」と清野の持つ独特な雰囲気を賞賛した。
一方で金子については、「金子さんの方はね、本人は知らなかったらしいんだけど、実は『パトレイバー』で一回キャスティングしかけたことがある」と意外な過去を明かした。これを受けて金子は、「それを直接聞いて、それ以来事務所への不信感が半端じゃないんですよ」と語って会場の笑いを誘った。押井監督によれば、金子は「テロリストっぽい雰囲気があったから」との理由でテロリスト役にキャスティングされかけていたらしく、金子にも「今の日本人とちょっと違う雰囲気があった」「(キャスティングをする際は)典型というか、ちょっとズレた人がいい」と語り、「自分が思った通りというよりは、違った答えが出てきそうだなと思ったから、二人に関しては直ぐに決めた」と自身のキャスティング論を解説した。
監督:押井守 出演:清野菜名 金子ノブアキ/田中日奈子 吉永アユリ 花影香音/りりィ 本田博太郎
配給:東映ビデオ © 2015東映ビデオ
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