アダム・トレル (プロデューサー)
映画『下衆の愛』について【3/6】
2016年4月2日(土)より テアトル新宿ほか全国順次公開
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――いい映画を日本で作るにはどうしたらいいとアダムは考えますか。
アダム 製作委員会に頼らない映画にするのがまず大事。俳優の宣伝や使う主題曲の音楽の宣伝になっちゃう。それは映画じゃない。テレビのバラエティや音楽番組を映画館でやっているようなもの。日本の映画界の問題はすぐリターンのお金を見ないと頑張らない。例えば、J-POPとK-POPは何が違うか?K-POPは海外でも受け入れられることを前提に作っている。だから、K-POPは海外で今すごく人気がある。
――日本は映画も音楽も同じだと。
アダム 全く同じ。プロモーションの大事さを分かっていない。国内ばかりにフォーカスしていて海外のことを考えていない。それはおかしい。何で?と思う。今頑張らないと未来のほうがやりにくくなる。
――日本でそう思っていて映画界を変えたいと思っている人は、自分の知る限りは80年代から実はたくさんいます。でも変わっていないのが現状です。
アダム みんなギブアップした?
――ギブアップはしていないですけど各人だったり、その周りの方々がありえないぐらい力の限りを頑張っても、その映画の公開時のみであまり伝わらないうえに継続できていない現状があります。
アダム ぼくは日本に来て日本の映画界の文化や伝統は分からなかったから、こうやってやっているのかも。でも日本に来て映画やるの本当に大変。一緒にやろうとすると日本の映画界の人はあまり頑張りたがらない。『もう少しこうしよう、もう少し頑張ろう』となれば海外のプロモーションももっとやれるんだけど。製作委員会の映画で『こうやったらもっと面白く海外にプロモーションできるよ。やってみよう』と言っても『そこまでやりたくない』と言われる。何で? だから1人でやろうかと思って『では1人でやります』と言うと『どうぞどうぞ』となる。何それ?でしょう。
――組んでもそこまでやりたがらない。
アダム ぼくも製作に入った『福福荘の福ちゃん』の時は最初から製作に入っていたドイツ、イタリア、台湾のプロデューサーはすごく面白いプロモーション案を出した。でも、日本の製作委員会の人たちが『そんなお金ないよ。そのプロモーション案にどれだけお金かかるの?』となった。『そんなにお金かからない。それに『福福荘の福ちゃん』が海外でうまくいったら次の日本映画も海外に行きやすくなる』と言ったのにやらない。だから好きにやることにした。酷いこともたくさん言われたよ。『それはユダヤ人のやり方だ』とか『日本の映画界のやり方が分かっていない』とか。
――日本映画界の従来のダメさです。
アダム だから自分で全部やらないとダメだと思った。本気でやる気が無いと分かった。
――だから若松孝二さんとか新藤兼人さんのように独立プロダクションを作って映画を作って自分たちで配給もするようになります。
アダム うん、そうなる。韓国映画もいろいろと海外配給したけど、韓国の映画会社は海外プロモーションも積極的に協力してくれるし国が強くバックアップしている。
――日本の文化庁の若い監督への製作助成もよく分からないです。映画を作らせてくれるのはいいけど、短編や中編を作らせてお台場で2日ぐらい上映して終わりで多くの人が観る機会がない。長編でないのであまり上映の機会もない。
アダム そうそう、あれよく分からない。100年ぐらいそんなことやってる(笑)。
――だからアダムみたいな人が黒船みたいに変えないと変わらないかもしれない。
アダム でも、ぼくはすごく疲れているよ(笑)。
監督・脚本:内田英治 プロデューサー:アダム・トレル 音楽:T字路s
出演:渋川清彦,でんでん,忍成修吾,岡野真也,内田慈,津田寛治,木下ほうか,古舘寛治,細田善彦,山崎祥江,
川上奈々美,マツモトクラブ,新井雅人,後藤ユウミ,桜まゆみ,平岡亜紀,谷手人,伊東紅,卯水咲流,松井薫平,
松井理子,小林麻祐子,牛丸亮,森本のぶ,山田ジェームス武
製作会社:サードウィンドウフィルムズ © Third window films
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