佐藤 寿保 (監督) 映画『華魂 幻影』について【5/5】
2016年4月30日(土)より、新宿K’s Cinemaにて公開
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――その川上さんが毛を剃るシーンに使っている屋上、沢村が自宅に帰るときにはその屋上を通って帰るわけなんですが、これが不思議な感じがしたんですよね。
佐藤 あの屋上もニュー八王子シネマという映画館が入っているビルの屋上なんですよね。屋上に事務所として昔使われていたところがあって、そこを沢村の住居として使っているんだけど、風呂がないから、だったら屋上がいいんじゃない?って話で(笑)。
――え、そういう実際的な事情からですか(苦笑)。
佐藤 や~、なかなか撮ろうと思ってもあんなのは撮れないから。あれも嵐になっちゃったんだよね。本当は燦々とした太陽の光の下でやろうと思っていたのに、嵐を呼んじゃって。不思議なんだよなあ。わははは。
――(笑)。すごくインパクトのある画になっていました。前作も学校が舞台だったから屋上のシーンが多く、そういうところで何となく繋がる感じはするのですが。
佐藤 屋上って割と好きなんですよ。ピンク映画のときから。学園の不良のたまり場じゃないけど、自由空間というか、そこだけ異空間というか。人さまの目線を気にしなくてもよくて、空間的に広いけど密室みたいなさ。だから今回も、ユニットバスみたいな狭いところよりもボーンと来るでしょう?って(笑)。映画館も密室だけれど非日常の世界観を持っている場所であり、そういうバランスに惹かれますね。
――やっぱり佐藤監督は感性が豊かですね。私もまだまだ脳みそが固いなと思い知らされました。「何だこれは!」っていう驚きを多くの人に味わってほしいですね。
佐藤 まさしく固くなった脳みそを揉みほぐすマッサージのような映画だ。「臭いものには蓋をしろ」という行儀いい映画が多いから、あえてこういう内容の映画を観てもらいたいんですよ。でも若い連中はそこらへんをどう感じるのかな? 本来このテのやつを観たがるんじゃないの?っていうさ。
――そうですよね。多分強烈な映画体験をしてきていないと思うんですよね。映画にしても他のメディアにしてもそこそこ楽しいものが最初からまわりにたくさんあるので。
佐藤 俺なんかにしてもそうだけど、思わぬところで「え、こんな面白い映画だったの?」っていう出会いがあるじゃない? 想像したとおりの映画が多い中で、そういう体験をしてもらいたいですね。若い連中だけではなく、いろんな年代の人それぞれ生きてきた世界観が違うわけで、いろんな捉えられ方をしていいかなと。「いい意味でだまされた」という感想が聞きたいです。
――本当に多くの方に観てもらいたいと思います。続編も楽しみですが、4部作が完結するのはいつごろになるのでしょうか?
佐藤 元々は春夏秋冬で4本撮ろうと思っていたけど、テーマとしてこれは4部作じゃ終わらないんじゃないかな?と思っちゃってね。第3弾、第4弾の題材はもうあるんだけど、どっちが先か、あるいはまた新たな舞台を描くのかは、そのときに頭に浮かぶことでね。だから自分の脳みそを柔らかくしてアンテナをピンピン張り巡らせているところです。
――4部作ではとどまらず、ライフワークのように続いていくかもしれないと。
佐藤 そうですね、続けられるんではないかな?という気がしているんですけど、みんなついてこれるかな~(笑)?
――(笑)。華魂隊の人たちにも待機してもらって。
佐藤 ははは。華魂隊も人数が増えてきてね。今回の作品を作ったことで新たに参加したい人たちもいるだろうし。
――まさに華魂が生きて大きくなっていくのをこれからも見せていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
( 2016年4月21日 新宿ケイズシネマで 取材:深谷直子 )
出演:大西信満 イオリ 川瀬陽太 愛奏 吉澤健 真理アンヌ 三上寛 他
監督・原案:佐藤寿保 プロデューサー:小林良二 脚本:いまおかしんじ 音楽:大友良英
共同研究:東京工芸大学 制作・配給・宣伝:渋谷プロダクション 製作:華魂プロジェクト
© 華魂プロジェクト
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