上田 慎一郎(監督)
映画『カメラを止めるな!』について【4/5】
2018年6月23日(土)より新宿K's cinema、池袋シネマ・ロサにて公開!
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――ロケ地もいいところですね。廃墟の工場のようなところも雰囲気がありますし、外は植物が鬱蒼と生い茂って。
上田 これは水戸市の浄水場跡です。今は廃工場になっているところで、制作の人が見つけてきてくれました。最初に見に行ったロケハン場所なんですけど、一発で決まりました。動物の死骸とかも転がっていたりして、「ここしかないだろう」という感じで。ロケ地もキャストも、本当にツイていたなあと思います。
――音楽も印象的ですね。最初は劇伴もホラー調なんですが、エンディングで流れるのはジャクソン5みたいな。
上田 よくわかりましたね(笑)。まさに「"I Want You Back(邦題:帰ってほしいの)"みたいな曲を作ってくれ」って言って作ってもらいました。「ここまで似てて大丈夫?」って何回も確認されながら(笑)。最初のメインテーマも「『ミッション:インポッシブル』(96)みたいなのを作ってくれ」って。
――全部オマージュになっているんですね。
上田 そうですね、ザ・ハリウッド的な。「あの映画のああいうふうにやろう」というところは結構いっぱいあると思います。
――エンディングを"I Want You Back"ふうの曲で締めた狙いは?
上田 映画を一切湿っぽくしたくなかったんです。泣ける場面みたいなのを絶対入れないぞと思っていて。結構「泣けた」とか「感動した」とか言ってくれる人がいっぱいいてビックリしているんですけど。感動はしてほしいと思っていたけど、笑いながら胸が熱くなる感じを目指していたので、エンディングも陽気でゴキゲンなナンバーにしたかったですね。あと、この主題歌は"Keep Rolling"という曲名なんですが、アメリカで監督が役者に「何があっても芝居を止めるな」というときに言う言葉らしいんです。そういう意味を込めました。
――ゾンビ映画にはこだわりがあるんでしょうか?
上田 もちろん好きですけど、ゾンビ映画が死ぬほど好きでやったわけではなくて、もの作りをする人たちを描きたかったんです。手作りの映画感、アナログ感といったものと、映画的な躍動ができるからゾンビ映画にしました。でもこの映画の編集中にジョージ・A・ロメロとトビー・フーパーが亡くなって、勝手に「背中を押されているな」って思いました。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)と『悪魔のいけにえ』(74)は撮影前に結構観直したんですよ。ヒロイン役の秋山ゆずきさんにも『悪魔のいけにえ』は観ておいてくれって言って。
――秋山さんの悲鳴、耳に残りました。女性が大活躍する映画ですよね。登場人物みんな成長するんですけど、秋山さん演じるヒロインや、しゅはまはるみさん演じるメイクさんが本当に強くカッコよくなっていって。
上田 それは僕の女性観が無意識のうちに出ているんでしょうね。短編でも”ダメな男と強い女性”みたいな映画が多かったんです。
監督・脚本・編集:上田慎一郎
出演:濱津隆之,真魚,しゅはまはるみ,長屋和彰,細井学,市原洋,山﨑俊太郎,
大沢真一郎,竹原芳子,浅森咲希奈,吉田美紀,合田純奈,秋山ゆずき
撮影:曽根剛 録音:古茂田耕吉 助監督:中泉裕矢 特殊造形・メイク:下畑和秀 ヘアメイク:平林純子
制作:吉田幸之助 主題歌・メインテーマ:鈴木伸宏&伊藤翔磨 音楽:永井カイル
アソシエイトプロデューサー:児玉健太郎 牟田浩二 プロデューサー:市橋浩治
製作・配給:ENBUゼミナール © ENBUゼミナール
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