上田 慎一郎(監督)
映画『カメラを止めるな!』について【2/5】
2018年6月23日(土)より新宿K's cinema、池袋シネマ・ロサにて公開!
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――『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな』(初演1991年/東京サンシャインボーイズ)など、三谷幸喜さんの作品にもインスパイアされているということですよね。
上田 そうですね、ノリはそれに近いです。『ショウ・マスト・ゴー・オン』とか『ラヂオの時間』(97)とかをタランティーノが作ったらどうなるかな?ということがやりたかったんですよね(笑)。今までの短編はヒューマンドラマが多かったんですけど、今回はテーマとかメッセージとか人間ドラマとかを入れずに、とにかく面白さを追求しようと思って作りました。映画の面白さが真ん中にあって、メッセージを伝えるためのものになっていない映画にしたいと。
――今までの短編も伏線の効いた緻密な脚本に定評がありますね。
上田 短編映画でよく言われたのは「よくできているけどそれだけだね」と、そういうことをお偉方から言われていました(苦笑)。まあでも「何くそ!」と思いながらも思い当たるところはありました。僕にはどうしても整えすぎちゃうくせがあって、隙間なくすべてをつなげたいというのがあるんですけど、今回はほつれる要素がたくさんあったのでそれがよかったのかなと。実際に僕らがワンカット37分撮れるのか?とか、構成上の仕掛けも「これできるのか?」とか、そういうことがいっぱいあって、映画の登場人物と僕らがやっていることがほぼ同じだったので。
――ワークショップで集まった俳優さんたちが37分ノンストップで芝居をやり続けるというのも挑戦ですよね。演出はどんなふうに?
上田 撮影前に会議室とかで練習を重ねたんですが、といっても舞台のように何回も通し稽古をしたわけではないです。あんまり固めすぎると段取りみたいになっちゃうなと思って。ワンカット部分は芝居の安定した人を揃えているんですが、ひとりまったく芝居の安定しない俳優を入れているんですよ。毎テイク全然芝居が違うし間が違うし、でもその人を入れることで現場が常に新鮮で。テイクごとに磨きをかけつつ新鮮なものになるように心がけながら演出しましたね。あとはみんなとコミュニケーションを取ることを大事にしました。
――ワンカットのお芝居を6テイクぐらい撮ったということですが、通しで撮ったのが6回ということですか?
上田 いえ、通しで撮れたのは4回かな? 1日2回しか撮影できなかったんですよ。みんな血だらけになるのでリセットに時間がかかるから2、3回が限界で、通しでやれたのは4回でした。途中で中止したテイクというのはゾンビメイクに時間がかかったりとか、カメラマンがコケたときにRECボタンを押しちゃっていてカメラが止まっていたりとか。それは気づかずに最後まで行ったんですけどね。
――わあ、もったいない……。これは何テイク目なんですか?
上田 ラストテイクです。
――ついに納得のいくものが撮れたと。
上田 そうですね。でも本当のトラブルもいちばん多かったテイクだと思います。
監督・脚本・編集:上田慎一郎
出演:濱津隆之,真魚,しゅはまはるみ,長屋和彰,細井学,市原洋,山﨑俊太郎,
大沢真一郎,竹原芳子,浅森咲希奈,吉田美紀,合田純奈,秋山ゆずき
撮影:曽根剛 録音:古茂田耕吉 助監督:中泉裕矢 特殊造形・メイク:下畑和秀 ヘアメイク:平林純子
制作:吉田幸之助 主題歌・メインテーマ:鈴木伸宏&伊藤翔磨 音楽:永井カイル
アソシエイトプロデューサー:児玉健太郎 牟田浩二 プロデューサー:市橋浩治
製作・配給:ENBUゼミナール © ENBUゼミナール
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