塚本 晋也 (監督)
映画『斬、』について【1/5】
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2018年11月24日(土)よりユーロスペースほか全国公開!
250年にわたる長い泰平の後、開国するか否かで揺れる江戸時代末期、農家の手伝いをしながら剣の腕を磨いてきた若い浪人にも参戦のときが近づいていく……。塚本晋也監督の4年ぶりの新作『斬、』は、初挑戦となる時代劇。農村を舞台に限られた登場人物たちで描く小さな物語だが、現代の日本の状況に重なるばかりか、人間の性までを描く壮大な叙事詩の趣に驚かされる。生業を求めて流れてくるよそ者は恐れられ、大切な人を守りたいという切実な想いは燃えさかる戦意となり、若い感性による柔軟な試みは、経験や常識の力に阻まれる。どうしたら戦争はなくなるのか?という古代からの問いを、池松壮亮、蒼井優らのアンサンブルで、シンプルに鮮烈に突きつける必見作だ。塚本晋也監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
STORY 250年にわたり平和が続いてきた国内が、開国するか否かで大きく揺れ動いていた江戸時代末期。貧窮して藩を離れ、農村で手伝いをしている浪人の杢之進(池松壮亮)は、隣人のゆう(蒼井優)やその弟・市助(前田隆成)たちと、迫り来る時代の変革を感じつつも穏やかに暮らしていた。
ある日、剣の達人である澤村(塚本晋也)が現れ、杢之進の腕を見込んで京都の動乱に参戦しようと誘いをかける。旅立つ日が近づくなか、無頼者(中村達也)たちが村に流れてくる……。
――『斬、』は塚本監督らしい時代劇になっていました。『野火』(14)を作られてから、全国の映画館行脚や俳優業で忙しくしていらっしゃいましたが、去年の夏、また突然撮影に入られて驚きました。
塚本 そうですね。いつもどんなに遅くとも3年に1本は作品を撮っていたんですが、今回は4年空いてしまいました。
――「一本の刀を過剰に見つめる若い浪人」というアイデアはずっとあたためていたものだそうですが、このたび映画化することになったいきさつは?
塚本 『野火』を、お金がないのにどうしても作ろうと思ったのは「戦争が近づいている」という危機感からだったんですけど、公開すると戦後70年ということもあって多くの共感を得られて、一旦は安心したんです。でも、じゃあ世の中が変わったか?というとまったく変わっていなくて、それどころかむしろどんどん悪くなっていたので、とても恐ろしくて、震えの悲鳴が自分の中で起こったんです。その悲鳴と、「一本の刀を過剰に見つめる若い浪人」の話がガチッと合わさって、今、そろそろ作りたいなと思いました。そのときに頭の中で「主人公は池松壮亮さんにお願いしたい」というのは決まっていましたが、ただ思っていただけで何も具体性はないから「どうしよう?」と思っていたときに、池松さんのマネージャーさんから連絡をいただいて、池松さんが僕の映画に興味を持ってくださっているということをお聞きしまして、「これは何かの思し召しだ!」と思って一気に走り出しました。
――池松さんにお願いしたいと思ったのはどうしてなのでしょうか?
塚本 池松さんは子役時代から長く活躍されていて、僕もそれを頭では知っていたのに、最近のお芝居の活躍を見たときに、すごい新人さんが出てきたような新鮮さを感じたんです。ベテランなのにこの新鮮さ、っていうことにまず驚きがあるし、いつでも新鮮なオーラが出ているということなので、今の若者をリアルに演じることができる素晴らしい俳優さんだと思ったんです。そういう人に時代劇の世界にいてもらいたかったですね。僕はいかにも時代劇然とした、見得を切るような様式的な時代劇を作ろうとは考えていなくて、生々しい、”今“に見える江戸時代にしたかったので、池松さんにその時代に行ってもらおうと思ったんです。
監督、脚本、撮影、編集、製作:塚本晋也 出演:池松壮亮、蒼井優、中村達也、前田隆成、塚本晋也
製作:海獣シアター/配給:新日本映画社 © SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
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2018年11月24日(土)よりユーロスペースほか全国公開!
- 監督:塚本晋也
- 出演:塚本晋也, リリー・フランキー, 中村達也, 森優作
- 発売日:2016/05/12
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