瀬川 浩志 (監督) 映画『たまゆらのマリ子』について【5/5】
2018年12月1日(土)~12月14日(金)、池袋シネマロサにて公開終了
公式twitter (取材:深谷直子)
――アメリカのバツ映画祭という日本映画に特化した映画祭では、観客賞で『カメラを止めるな!』(17)に次ぐ3位に入賞したんですよね。
瀬川 信じられないですね。海外って肩書きとか実績とか出演者とかじゃなく、中身で公平に観てくれるから、新人でも面白ければ評価してくれる。日本は日本で面白いんですけど、海外で勝負してみるのも面白そうだなと思いました。あと、向こうはレスポンスが早いですね。僕みたいな新人でも、映画祭やライターの方が「スクリーナー(試写用映像資料)を見せて」とフェイスブックとかに連絡をくれて、もしかしたら海外で配給がついてくれるかも?と、ワクワクするような話もあります。海外映画祭に行けてよかったなあとすごく思います。視野が広がりました。
――それはすごいですね。スカラシップに応募したりするのも面白そうですね。
瀬川 はい、海外には次もぜひ挑戦したいですし、いろんな方に言われるんですけど、戦略的なことももうちょっと考えて作っていかなきゃと思っています。
――もう次回作の準備に入られていたりするんですか?
瀬川 脚本を書き始めてはいないんですが、プロットやネタを色々集めている段階です。形になるかも、というものが二つ三つぐらいあって、どれにしようか考えているような感じです。
――それも内面をむき出しにするような人間ドラマになるんでしょうか?
瀬川 それはベースで入れて、ジャンルとミックスして「こんなジャンルなのにこんな人間模様なの?」というものを考えています。ヤクザものとか宇宙人侵略ものでできたら面白いなと思うんです。でも『散歩する侵略者』(17)でやられたなって思って(苦笑)。ああいうバランスのものがすごく作りたいし面白いなと思うんですけど、先を越されてしまったので、ちょっと違うものを考えないとな、と思っています。
――お好きな監督を教えていただけますか?
瀬川 たくさんいるんですけど、今の作風に直結しているのは高校生の時によく観ていたティム・バートンとスタンリー・キューブリックとジョージ・A・ロメロです。共通しているのは、それぞれ作品にファンタジーの要素があるということですね。ファンタジックで、人間に対して辛辣な目を持っている。ティム・バートンは温かみがあるけど、どちらにしても人間の暗部を描くというのが3監督に共通していて、客観的に自分の作品を観ると、彼らに影響を受けているなと思います。
――日本映画が苦手にしている分野だと思いますが、瀬川監督にもぜひ彼らに負けない傑作を撮ってほしいです。最後に『たまゆらのマリ子』の見どころを教えてください。
瀬川 人間のダメなところや醜いところを、ダメなものとして提示するんじゃなく、そこが面白くて愛すべき部分であると見えたらいいなと思いながら描きました。さらに、ただの人間ドラマではなく、ちょっと奇想天外で、ファンタジックな描写やスリラー要素などの、映画ならではの面白さが詰まっている映画になったと思うので、そこを楽しんでほしいです。
( 2018年12月8日 池袋シネマ・ロサで 取材:深谷直子 )
出演: 牛尾千聖 山科圭太 三浦英 後藤ひかり 加藤智子 福原舞弓 根岸絵美 西尾佳織 高橋瞳天 柳谷一成
監督・脚本・編集:瀬川浩志
撮影・照明:星野洋行 録音: 川口陽一、間野翼 制作:藤岡晋介 助監督:滝野弘仁
ヘアメイク:岡野展英、北野澤なおゆき 音楽: 中川だいじろー 整音:日暮謙 カラリスト:今西正樹
特殊造型: 相蘇敬介(株式会社リンクファクトリー)
© 「たまゆらのマリ子」製作委員会 公式twitter