下向 拓生 (監督) 映画『センターライン』について【4/5】
2019年4月20日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開中
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――前作はワンカットの作品だったとのことですが、今回のカット割りや動きのあるお芝居も無理なく演出できたのでしょうか?
下向 『N.O.A.』の前にも1本作品を撮っていて、それは普通にカット割りして撮った作品だったので、そういうものが今回初めてというわけではなかったんですが、長編としては初めてなので、やはり撮影で苦労することもありました。『N.O.A.』のあとに一人芝居の 一幕ものの戯曲を書いて、途中に暗転が入らないもの(カット割りをしない台本)が続いたので、今回『センターライン』でカット割りのある脚本を書けるのがとても嬉しくて。次のシーンにいきなり移れるので、どう時間を飛ばすか?みたいなことを考えるのがすごく楽しかったです。
――時代設定は今よりほんの少し先の平成39年、2027年ということなので、近未来SFといってもそんなに進化した世界でもないですよね。ロボットのデザインもレトロな感じで可愛いです。
下向 ロボットのデザインが『ショート・サーキット』(86)に似ているってよく言われるんですけど、僕はその作品を観ていないんです。多分それを元にした『ウォーリー』(08)や、ディズニーランドのスター・ツアーズというアトラクションのロボットに影響を受けています。結構ギリギリまで目を単眼にするか?それとも二つ目してより生き物っぽくしようか?と考えていたんですが、無機質な感じを出すために一つ目にしました。どれだけコントロールできるものを少なくして感情表現できるか?というのをやってみたかったんです。僕はディズニーが好きなんですが、『ライオン・キング』(94)は、ライオンのキャラクターに、実際のライオンにはない眉毛を付け加えることで表情を作ったそうなんです。あと、これはピクサーですけど『トイ・ストーリー』(95)は、1作目ではトイの表情が硬いんですけど、3作目は表情豊かになる。それは、CGで動きを制御するポイントが最初は少なかったんですけど、技術が進化して多くなったので、より感情表現しやすくなったというのをインタビューで読んだんですよね。なら逆に考えて、どれだけコントロールできる可動部を少なくして生き物としての演技ができるか?というのをやってみたかったんです。MACO2は左右と上下の2軸しか動きがつけられません。
――あえてそういうチャレンジを。確かに単純な動きしかできませんけど、ドラマが進むにつれだんだん可愛く思えていきますね。続編は考えていますか?
下向 刑事ドラマが好きなので、それでストーリーを続けていこうと思いますし、人工知能が意思を持って犯罪を起こすという世界観でも、色々バリエーションがあるなと思っていています。最近の映画やドラマを観ていると「これ俺がやりたかったことだ!」みたいなのが結構あって、早くしないとなって思っています。
――(笑)。トリックが効いていて、ミステリーとして面白かったですね。ミステリーもお好きなんですか?
下向 ミステリー小説はあんまり読まないんですけど、『名探偵コナン』とか『金田一少年の事件簿』とか大好きです。あと、僕は東野圭吾さんと同じ大学(大阪府立大学工学部)なんですよ。東野さんも科学をミステリーに使う人なので、そういうふうに科学とミステリーを融合させたものを作りたいなっていうのがあります。
出演:吉見茉莉奈,星能豊,倉橋健,望月めいり,上山輝,中嶋政彦,一色秀貴,近藤淳,青木謙樹,松本高士,もりとみ舞,
一髙由佳,青木泰代,いば正人,藤原未砂希
監督・脚本・編集:下向拓生
撮影監督:JUNPEI SUZUKI セカンドカメラ:山川智輝、村瀬裕志 録音:上山輝
モーションアクター:木村翔 音楽:ISAo. 主題歌:「シンギュラリティ・ブルース」小野優樹
ロケーション協力:いちのみやフィルムコミッション協議会/愛知県あま市企画政策課/名古屋大学
配給 © プロダクションMOZU
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