下向 拓生 (監督) 映画『センターライン』について【3/5】
2019年4月20日(土)より池袋シネマ・ロサにて公開中
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――キャスティングもハマっていました。演劇を中心に活動している俳優さんが多いようですが、監督は演劇方面に関わりがあるのですか?
下向 関わりはないですが、商業演劇が好きで、劇団☆新感線や三谷幸喜さんのお芝居を観たりします。あと、自主映画って予算がない分、場面設定が限定されてくるので、そこが演劇とマッチすると思うんですよね。演劇には一幕ものとか舞台が部屋の中だけで展開される作品もよくあって、そういうことを意識して演劇を観ていた部分もあるんです。『N.O.A.』も車の中だけで展開される作品でしたし、この映画も演劇的な部分が多いと思います。
――出演している俳優さんたちと元々お知り合いというわけではなかったのですか?
下向 主演の吉見茉莉奈さんはオーディションで選びました。あとは前作を映画祭で上映したときに、そこで知り合った方ですね。そういう意味では知り合いですが、以前から一緒に活動していたというわけではないです。
――吉見さんが演じた主人公の”米子天々音(よなごあまね)”というのはとても特徴的な名前ですが、監督にとって何か思い入れのあるキャラクターだったりするのでしょうか?
下向 そういうわけではないですね。まず物語のギミックとして「ロボットが人の名字を下の名前だと思ってしまう」というのがあるので、そういう名字には何があるかな?と考えて。やっぱり「○子」と「子」がつくと名前っぽいなと思ったのと、「新米の検察官」ということで「米子」というのが出てきました。まあ地名なので、それをカーナビシステムのMACO2が読めないのはおかしいというのはあるんですけど(苦笑)、でもわかりやすくて馴染みのある「子」のつく名字だとやっぱり米子だな、と決めました。あと、一応ミステリー映画なので、探偵ものには結構珍しい名前が出てくるイメージもあって難しい名前にしました。他のキャラクターの名前は、実は大阪の地名です。大学時代に住んでいた地域の駅名から取って「大鳥」「白鷺」という名前にしました。
――米子とMACO2の名前にまつわる掛け合いがすごく面白くて、声を出して笑ってしまいました。間の取り方など絶妙でしたが、ロボット相手のお芝居は難しかったのではないかなと。実際にMACO2役の声優さんと会話しているんですか?
下向 そうです。MACO2の出演シーンを撮るときは、基本的には声優さんがその場で喋り、モーションアクターがモーションをつけるという二人三脚でやっていました。声優さんがスケジュールの都合でいない時もあったので、それは僕とか別の人が喋ったりしていました。最終的には台詞は全部アフレコで置き換えています。
――ロボット絡み以外にも、法廷ものとしていろんなドラマがありますが、俳優さんへの演出はどんなふうに?
下向 実はみんな居住地がバラバラで、僕自身は長野県に住んでいますし、吉見さんは東京、大鳥役の星能豊さんは金沢、白鷺役の倉橋健さんは名古屋に住んでいるんです。その4人が一緒に集まる機会がなかったので、打ち合わせも本読みもスカイプ上でしていました。顔合わせは撮影初日という。そこが結構難しいところではあったんですが、逆に言うと、そもそも会話劇、みたいなところがあって。会話のやり取りさえしっかりできていれば映像的な部分は後からついてくるだろうと思っていて、掛け合いのタイミングだけはきちんと事前にチェックしようということでスカイプでやっていました。
――それは斬新ですね、この映画に合っているというか。じゃあ実際のお芝居は本番前に少しテストするぐらいで。
下向 そうですね。法廷のシーンはやっぱりなかなか難しかったので、前日に稽古をしたり、当日も最終リハのようなことをしたりしました。
出演:吉見茉莉奈,星能豊,倉橋健,望月めいり,上山輝,中嶋政彦,一色秀貴,近藤淳,青木謙樹,松本高士,もりとみ舞,
一髙由佳,青木泰代,いば正人,藤原未砂希
監督・脚本・編集:下向拓生
撮影監督:JUNPEI SUZUKI セカンドカメラ:山川智輝、村瀬裕志 録音:上山輝
モーションアクター:木村翔 音楽:ISAo. 主題歌:「シンギュラリティ・ブルース」小野優樹
ロケーション協力:いちのみやフィルムコミッション協議会/愛知県あま市企画政策課/名古屋大学
配給 © プロダクションMOZU
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