第68 回ベルリン国際映画祭 国際批評家連盟賞
&最優秀新人監督賞スペシャル・メンション
第55回金馬奨 作品賞&脚色賞&観客賞 他多数受賞
象は静かに座っている
2019年11月2日(土)より、シアター・イメージフォーラム
他にて順次公開
行き場のない悲しみを抱えた孤独な“4人の運命”が交差する――
どん底から希望を目指すある1日の物語
時代の流れとともに炭鉱業が廃れた中国の小さな田舎町。少年ブーは友達をかばい、不良の同級生をあやまって階段から突き落としてしまう。不良の兄は町で幅を利かせているチェンだった。チェン達に追われ町を出ようとするブーは、友達のリン、近所の老人ジンをも巻き込んでいく。親友を自殺に追い込んでしまい自責の念のかられているチェン、家に居場所がなく教師と関係を持つことで拠り所をみつけるリン、娘夫婦に邪険にされながらも老人ホーム行きを拒むジン。それぞれに事情を抱えながらも、遠く2300km先の果て満州里にいる、一日中ただ座り続けているという奇妙な象の存在にわずかな希望を抱き4人は歩き出す――。
変わらない日常に疲れた年齢のバラバラな男女。それぞれが突然の悲しみに直面することで、傷つきながらも暗い日々に終わりを求めて動きはじめる。人はどこへでも行けるはずだ――。利己主義に満ちた現代社会にもまれる、世界の片隅に生きる人々の渇望を描く人間ドラマが誕生した。
デビュー作にして遺作。輝きを放ち続ける、生涯ただ一つの映画。ベルリンを皮切りに世界を圧倒し続ける魂の234分!!
新人監督が、世界を驚愕させた。『象は静かに座っている』のフー・ボー監督だ。ベルリン映画祭でのプレミア上映直後からThe Film Stageは「『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を思い起こす壮大な叙事」と評し、The New York Times、Screen Dailyなどの有力紙がこぞって絶賛。その熱狂は、最優秀新人監督賞のみならず国際批評家連盟賞のW受賞という新人監督としては異例の栄冠に輝いた。
ハンガリーの鬼才タル・ベーラを師と仰ぐフー・ボーは、登場人物たちが発する自然な感情の発露を逃さないために、自然光での撮影、挑戦的な長回し、登場人物の立ち位置、カメラアングルの細部にまでこだわり抜き、234分に及ぶ大作を作り上げた。そして本作の完成直後、29歳の若さでこの世を去ってしまった。
『息もできない』『一瞬の夢』といった新人監督の鮮烈なデビュー作が世界に衝撃を与えた様に、本作もまた世界に新たな興奮を生んだ。その次作を目にすることのできぬ哀しみに、若き才能の死を惜しむ声が絶えない。『象は静かに座っている』はフー・ボーの234分の魂の叫び――彼が亡き後、今なお世界中の人々を虜にし続けている。
世界が絶賛!!
驚異の新人に贈られた映画界の先人達からの賞賛の声!!
- タル・ベーラ(映画監督『ニーチェの馬』ほか)
私の“生徒”であり、私の友、私の家族である君がいないことを残念に思う。何百人もの中国人監督が私と働きたいと出願してきたが、彼に会い、すぐに心が決まった。一切の迷いもなく!
彼は気品に溢れ、共に素晴らしい仕事をすることができた。
彼の目には並々ならぬ、強い個性が表れていた。
クソ!彼をちゃんと守れなかったことに、私は責任を感じている。残念でならない。
彼は、両方の端から彼というろうそくを燃やしていたのだ。今ここにあるすべてを手に入れようとした。
私たちは彼を失ったが、彼の映画は永遠に私たちと共にある。
フー・ボーの映画を迎えてください。そして私と同じように彼を愛してください。 - 坂本龍一(音楽家)
この映画のペースが好きだ。4時間近くと長い映画だが、無駄なショットがあった記憶はない。昨今、目にすることの多い、金満でIT先進国で資本主義的な中国とは全く違った日常が映し出される。その暗いけれど、甘く懐かしいトーンが好きだ。それは音楽からも来ていると思う。歪んだギターを中心に、昔聴いたことのあるチープなシンセのシンプルな絡み。20歳台の若い監督が作ったのに、とてもノスタルジックだ。好きな映画だ。29歳で自殺した監督、胡波の映画を、たくさん観たかった。
- ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(映画監督『午後8時の訪問者』ほか)
フー・ボーはフレーム外でも生きているカメラによって全編を通して驚くべき緊張感を生み出している。助け合いや思いやりによって欲深さや利己心に抗おうとする現代の私たちの人間関係についての美しい映画だ。 - アン・リー(映画監督『ブロークバック・マウンテン』ほか)
私たちはあらゆる方法で映画を撮ろうとしている。私たちは身を燃やし、映画に全身全霊を注いでいる。それは世界を明るくするためではないかもしれないが、観客と心を、魂を、分かち合うのだ。この映画は、どう作り手が人生を映画に捧げるかの良い例だ。非常に感動した。 - イ・チャンドン(映画監督『バーニング 劇場版』ほか)
『象は静かに座っている』は、最後まで的から外れた矢を追いかける。忘れられないエンディング、そして決して終わることのない映画だ。 - ワン・ビン(映画監督 『苦い銭』ほか)
フー・ボーの作品『象は静かに座っている』は、その作家自身と同様に、暗い空を駆け抜け、熱と痛みの中に落下していく彗星のようだ。この映画は、新たな中央集権化制度への変化の中で苦しむ数多くの中国人たちの内なる不安と、人々がお互いを裏切り傷つけ合う現実を映している。たとえ夜が来ようとも、人々は互いを抱きしめ、愛で不安や恐怖に対抗しなくてはならない。
出演:チャン・ユー、ポン・ユーチャン、ワン・ユーウェン、リー・ツォンシー
撮影:ファン・チャオ 録音:バイ・ルイチョウ 音楽:ホァ・ルン
美術:シェ・リージャ サウンドデザイン:ロウ・クン
2018年/中国/原題:大象席地而坐/英題:An Elephant Sitting Still/カラー/234分
配給:ビターズ・エンド
© Ms. CHU Yanhua and Mr. HU Yongzhen
2019年11月2日(土)より、シアター・イメージフォーラム
他にて順次公開
- 監督:ヤン・イクチュン
- 出演:ヤン・イクチュン, キム・コッピ, イ・ファン, チョン・マンシク, ユン・スンフン
- 発売日:2010/12/03
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- 監督:ジャ・ジャンクー
- 出演:ワン・ホンワァイ, ハオ・ホンジャン, ズオ・バイタオ
- 発売日:2003/11/07
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