インタビュー
『ラビット・ホール』

ニコール・キッドマン
公式インタビュー
映画『ラビット・ホール』について

公式

2011年11月5日(土)より、TOHOシネマズシャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

インタビュー
ニコール・キッドマン撮影風景1
――まず、あなたが映画をプロデュースしようと思うのはどのような理由からですか?

ニコール: 私はいつも、極限の題材を扱った映画に興味を抱くんです。私が作る殆どの映画のテーマは、(基本的に)さまざまな形で現れる愛です。私は人々が愛を渇望するとき、人々が愛を失うときに、その人々に興味を覚えるんです。(本作で描かれているように)子どもを失うということは、自分が行きつく中でもっとも恐ろしい場所です。(でも、逆説的ですが)自分をクリエイティブに向かわせる場所とは、自分が恐れを抱く場所でもあるんです。

――今回は、映画化が決して容易ではないデヴィッド・リンゼー=アベアーの舞台劇「Rabbit Hole」を映画化することを、どのように決断したのでしょうか?

ニコール: まず、この作品のテーマを信じていました。それに私は、作るのが難しい作品を支援するのが好きなんです。考えられないような重い悲劇にさらされながら、とても異なるリアクションをするこの夫婦に、本当に心を鷲づかみにされました。ベッカとハウイーの夫婦は、それぞれのやり方で悲しみに暮れながらも、一緒に生活している。それがとても面白いと感じましたし、私自身がベッカを演じてみたいと思いました。(いつしか)このキャラクターを映画ファンに紹介することができればという考えに夢中になってしまったのです。

――あなたを惹きつけたこの原作の具体的な魅力はどんなところですか?

ニコール: 主人公の夫婦が自分たちの子どもである6歳の少年を亡くしてから8ヶ月。そしてそれに向き合いながら、どうやって人は生きていくのだろう――? 生きたいという欲求を奪い去ってしまうような、このような大きなショックを受けたとき、どうやって人は生き続けられるのか?そしてそれは結婚に関することであり、家族に関することであり、そして究極的に、生き続けることと希望に関する問題でもあるのです。それが私がこの物語についてとても素晴らしいと思う点です。
本作は繊細で、とても鋭い台詞を包括した手法が用いられており、でも同時に驚くほど皆の痛みが感じられ、まるで地雷原のような作品です。人々は地雷原の中を歩いているけれど、その中を通じて未来の瞬間が、私たちが共にいる理由が、そして人として、痛みを通じて私たちがひとつになる多くの時間が、この物語を通じて照らし出されるのだと考えました。

ニコール・キッドマン撮影風景2――映画化においては、原作者のデヴィッド・リンゼー=アベアー自らが、脚本を書き上げましたね。そして監督にジョン・キャメロン・ミッチェルを選んだのはなぜでしょうか?理由を教えてください。

ニコール: デヴィッドには天性の才能があると思います。映画的なセリフがどのようなものかを本当に分かっていたし、キャラクターたちのこと、彼らが何を体験してきたかを完全に理解していました。彼と仕事をするのは本当に素晴らしい経験でした。
(監督選びに関しては)私たちがジョンを監督に「選んだ」と言えるのかどうか……。私が思うに、ジョンは自身でこの作品を見出し、私たちはそんな彼を見つけたのです。そう表現する方がずっとしっくり来ます。ジョンは粋な人で、とてもオープンな人です。役者にとって非常にオープンな監督と仕事をすることは素晴らしいことなのです。彼は同時に俳優でもある、だから演技をする上で欠かせないものを理解している。また彼がオープンであるのと同じくらい、それが理にかなったことならば、抑制も持ち合わせていた。というのも、この映画の題材自体がとても円熟した生々しいものだったから、この映画は登場人物の感情の多くを抑える必要がありました。そして良くないものをコントロールし得る監督が必要だったのです。ジョンは芝居がかった映画にならないよう、とても抑制を働かせていました。
結局のところ、動機が純粋ならば、人は「この話を作りたい」と自然に集まってきますから。そこで知り合った者同士で企画を一緒に進める。それだけの話です。

――主人公のベッカが置かれている子供を失って以降の困難な状況をどのようにとらえましたか?

ニコール: ベッカの禁欲主義的なところに身を置くことにしました。ベッカはひどい苦痛の中にいて、もし触れればすべてが壊れてしまうかのよう――そう思いながら、ずっと演じていました。子供を失くした女性なら誰でもそういう感情をもつと思います。息子を失ったことですっかり弱って駄目になってしまった中で、毎朝目を覚まさなければならない。ベッカにとって唯一できるのは、ただ前に向かって進み続けること。彼女は必死になって人生を選ぼうとしている。だから絵画を取り外したり、家を片付けたりしながらこう言うの「ただ悲しみに押しつぶされて死ぬなんて、私にはできない。なら、どうやって生きていけばいい?その方法を見つけなきゃ」ってね。

――実際の役作りについて教えてください。

ニコール・キッドマン撮影風景3ニコール: 自分の内面の奥深くにある、触ってほしくないような恐ろしい場所に触れてしまったわ。精神的には決してたどり着きたくなかったけど、なぜかたどり着いてしまった。これが私の役作りなんだと思います。そこに行き着くまでは大変だけれど、いったんそこに行ってしまうと、完全にそのキャラクターを吸収してしまうのです。それに私はベッカとその家族に対しては、とても深い思いがありますね。

――あなたの演技は、この痛切な物語にユーモアも与えていますね

ニコール: 人生の中で、どんなにひどい苦痛に見舞われてもユーモアを失わない。それこそが人間の魅力だと思います。それがまた、このような物語を分かりやすくしているんだと思うんです。だって、もし誰かが苦しんでいたとしても、その人を笑わすことができれば、多少なりとも心を開かせることができるわけだから……。ユーモアはいつだって存在するのよ。たとえ、それがダークな形をとっていたとしても……。

――この映画は観客に何をもたらすと思いますか?

ニコール: この映画の登場人物に対して、私たちは心を開くことができると思います。それは彼らが皆、正直で本物だからです。家族とはそういうものだし、映画を見た人たちは登場人物たちと一緒に、彼らの体験を分かち合えると思っています。

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ニコール・キッドマン
1967年、アメリカ・ホノルル生まれ。3歳よりオーストラリアで暮らす。本作では初めてプロデューサーと主演を兼務し、アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞主演女優賞のダブル・ノミネートを果たす。1989年のオーストラリア映画でサイコ・スリラーの佳作『デッド・カーム/戦慄の航海』の出演によって、米国で注目される。以来、その役柄の広さと多様性で数々の賞を受賞する名実兼ね備えた女優となった。
ガス・ヴァン・サント監督の『誘う女』で、TVパーソナリティになる夢のため、なりふり構わず振舞う魔性の女を完璧に演じ、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞を初めて受賞する。2001年の革新的なミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』では初めてアカデミー賞主演女優賞候補となり、同年のサイコロジカル・スリラー『アザーズ』も評価を受け、ゴールデン・グローブ賞のミュージカル&コメディとドラマの両部門の主演女優賞にノミネート。結果、『ムーラン・ルージュ』の演技によりミュージカル&コメディ部門でその栄誉を獲得した。2002年にスティーヴン・ダルドリー監督の『めぐりあう時間たち』でヴァージニア・ウルフを演じ、主演女優賞によってオスカー像を初めて手にする。さらにゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞、ベルリン国際映画祭銀熊賞といった主演女優賞を総なめにした。また、アカデミー賞受賞のアニメーション・ミュージカル『ハッピーフィート』では声優として“ノーマ・ジーン”を演じた。さらに、サンダンス映画祭で審査員賞と観客賞を受賞したドキュメンタリー『GOD GREW TIRED OF US』や、サイモン・ウィーゼンタールの伝記映画『I HAVE NEVER FORGOTTEN YOU』ではナレーションを務めている。
その活躍はスクリーンにとどまらず、2006年、アーティスティックなビジョンを持った脚本家やフィルムメーカーの支援、育成に貢献しようと、ブロッサム・フィルムズを立ち上げた。『ラビット・ホール』の他に、20世紀フォックス配給で2011年に公開予定の、トーマス・ベズーチャ監督作『MONTE CARLO』をプロデュースしている。
2006年1月、オーストラリアで最高の栄誉である勲章“コンパニオン”を授与された。また、国連女性機関UN women(前UNIFEM)の親善大使として、女性に対する平等な権利への支援や、世界各地での人権侵害への警鐘、暴力の終結を目指している。オーストラリアのシドニー小児科病院の大使としても活動をし、さらには、女性の癌の原因究明、処置、予防、終末期治療で世界的に知られ、親友でもあるジョナサン・ベレックが率いる癌センターでの女性の癌プログラムに協力を続けている。
C R E D I T
ベッカ・コーベット:ニコール・キッドマン ハウイー・コーベット:アーロン・エッカート ナット:ダイアン・ウィースト
イジー:タミー・ブランチャード ジェイソン:マイルズ・テラー オーギー:ジャンカルロ・エスポジート
リック:ジョン・テニー ペグ:パトリシア・カレンバー デビー:ジュリー・ローレン ギャビー:サンドラ・オー
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 脚本:デヴィッド・リンゼイ=アベアー  (自身の戯曲「Rabbit Hole」より)
プロデューサー:レスリー・アーダング,ディーン・ヴェネック,ニコール・キッドマン,パー・サリ,ジジ・プリッツカー
エグゼクティヴ・プロデューサー:ダン・リーヴァス,ウィリアム・リシャック,リンダ・マクドナフ,ブライアン・オシェイ
コ・プロデューサー:キャロライン・ヤーツコー,ジョフ・リンヴィル 撮影監督:フランク・G・デマルコ
プロダクション・デザイン:カリーナ・イワノフ 編集:ジョー・クロッツ 衣裳:アン・ロス 音楽:アントン・サンコー
音楽スーパーバイザー:ロビン・アーダン キャスティング:シグ・デ・ミゲル&スティーヴン・ヴィンセント
製作:OLYMPUS PICTURES/BLOSSOM FILMS/ODDLOT ENTERTAINMENT
© 2010 OP EVE 2, LLC. All rights reserved.
2010年/アメリカ/英語/1時間32分/35mm/1:1.85/ドルビーデジタル/PG12
原題:RABBIT HOLE/日本語字幕:太田直子 配給:ロングライド 宣伝:メゾン
http://www.rabbit-hole.jp/

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2011/10/29/00:45 | トラックバック (0)
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