特集
(2005 / 日本 / オムニバス)
あんなに最初笑わせておいて、ひどいよーー・゚・(ノД`)・゚・

安倍 まりあ

はじめまして、安倍まりあと申します。
21歳・女子大生。ピチピチです。(21歳・女子大生は嘘ですが、ズボンのケツは常にピチピチですとも!)

実ははじめましてではありませんが、前回寄稿時の痕跡が1ミリも残っておりませぬゆえ、新人ということで参加させていただきます。

真面目なサイトに、私のような薄汚れた人間がお邪魔させていただくのは、ひどく場違いのような気がして、一旦は固辞させていただきましたが、 こちらの主催者の方からの「紹介文を引き受けてくれるなら、カワイイ犬てんこもりの『いぬのえいが』を公開前にタダで観せるよー」 の誘いに負けました。
犬好きだというところでアンテナに引っかかったようですが、私としては「犬」というより「タダ」というところに惹かれたのです。 社内一のケチ管理職には、充分すぎる魅力を湛えていました。タダ…(うっとり)

いや、もちろんそれ以外にも惹かれた要素はたくさんありましたよ。
①プロデューサー名で客を呼べる、かの『呪怨』の一瀬隆重Pの企画であること②『ジョゼと虎と人魚』 である特殊な環境におかれた男女の心の機微を見事に描出した犬童一心監督がメインで参加していること③アンサンブルキャストのなかに、 今の日本映画を支える若手役者の名(中村獅童・小西真奈美・伊東美咲・宮崎あおい、などなど) が連なっていること④試写会終了後のおそらくオゴリであろう酒宴に参加できること

前置き長っげぇーな。
つまり、ぶっちゃけ、最初は映画そのものにはさほど期待してなかったっちゅーことですわ。一瀬Pがはずすわけはないと思うけれど、しょせん、 犬畜生の話。犬のいる生活の豊かさってのを押し出したいようだけども、要は「主人を待たないハチ公」「置き去りにされないタロ・ジロ」 「エージェントでもなければ、世界制覇をたくらむMr.ティンクルズに悩まされることもないルーやブッチ」ってことっしょ? (最後の映画が何かわかった方を私は愛します)

安倍家にもかつて「コロ(漢字は「殺」と書きます)」という名の油揚げ色の柴の雑種がおり、そいつが家犬だったものですから、 犬は毎日身近におりました。が、いっしょにいて思うことは「うわあ、しあわせ~」ではなく「うわあ、くっせ~」でした。ええ、 食べ物が悪かったのでしょうが、なんか吐く息が既にヤバかったのです。また、道でひとり散歩中のコロと偶然出くわすと、 クラスメートが近くにいるときには絶対に他人のフリをしたものです。

だって人の脚にしがみついて腰をヘコヘコ振っている、それはそれはみすぼらしい犬(頭をガンガン叩かれて「いやっ、なに、このバカ犬!」 と罵倒されても離れませんでした。嗚呼、コロよ…)に、「あれ、ウチの犬やで」と言える思春期女子がいますか?

時には、そのへんの木にヘコヘコしているときもございました。また、散歩中のメス犬にさかり、 飼い主に半殺しにされているのを目の当たりにしたこともあります。

『いぬのえいが』の完成披露試写会の舞台挨拶で、犬童監督が「和犬は洋犬と比べると、ほんとバカなんですよ~」とおっしゃっていましたが、 それには何度も何度も深く頷いたものです。

さて、そろそろ『いぬのえいが』に話を移すか。
なんと! この映画に出演した犬の数は、50種90匹だとか。犬フェチにはたまりませんな。柴犬、チワワ、シーズー、パグ、トイ・プードル、 ボーダー、フレンチブル、などなど、家にいたら楽しいだろうなーと思える犬ばかりでした。バター犬をお探しのおネエさま、 犬選びに迷われたときは、この映画をご参考にされてはいかがでしょうか(にっこり)?

映画は全11話のオムニバス形式ではありますが、そのうち4話が「柴犬ポチ」が絡む『ポチは待っていた』シリーズです。犬童監督をして 「バカ」と言わしめた、この和犬のポチですが、いやいや、なかなかいい演技をみせていました。
ただ、このポチ、どうにも気になる容姿をしている…。闘犬マニア(ってか単なる『白い戦士ヤマト』by高橋よしひろ好き)の私が見るに、 この犬の隙間だらけのザクザクした下前歯の覗く、受け口気味の口許は、闘犬でいうところの「牙ぬい」ではないかと思われ。
犬童監督がおっしゃるには「そこにいるだけでいとおしいと思える存在」が決め手で、この犬を抜擢したそうですが、いやいや、 安倍はただひとえにこの犬の「牙ぬい顔」を気に入ったからだと睨んでおります。だって、あんなに毛並みが悪くて薄汚れていて、 動いているわりにはデブで、歩き方はややO脚で、全体の佇まいも猛烈にみっともないのに、 それでもあの牙ぬい顔でじっと見つめられるショットが大写しになると「カワイイ」と思えるもの!!

安倍が個人的に大好きなのが、田中要次主演の『犬語』(監督:永井聡)。犬語翻訳装置「バウリンガル」の制作秘話を描いた一編、 漫画のような脱力系のオチには観客一同大笑いでした。パグ犬の声を荒川良々が担当する、という発想だけで笑えてしまう『恋するコロ』(監督: 佐藤信介)も、なかなかヨシヨシ♪

さ、11作品もありゃ今の安倍のギャグなみに寒いものもないわけではなく、それらについては書きとばすことにしまして、さあ、 この意地悪いオムニバス映画。最後にとんでもない作品を用意しています。

タイトルは『ねえ、マリモ』(監督:真田敦)。かの美少女・宮崎あおいちゃんが主役です。美少女フェチ必見の可愛さです! あ、 それを言ったら『恋するコロ』の乙葉も可愛かったなー。ああいうぽちゃぽちゃっとしたホッペ、あれ、どう思うよ?
どうしたいよ? 全国のロリ顔好きの男子諸君! 俺? 俺はねー、両手で包んで前後にぶるぶるっと……

あ、いっけね、美少女じゃなくて犬の話だったな。戻し、戻しっと。

こちらの『ねえ、マリモ』は一匹の犬の生涯と、一人の少女の青春が交互に描かれます。そして……ああ、 あのラストを思い出しただけで俺の目にも涙が……・゜・(ノД`)・゜・
もしあなたが、「泣ける」という触れ込みに釣られて映画を見に行くおめでたい消費者であるならば、120%の自信をもって断言します。

泣けます!号泣します! 声を上げてわんわん泣いてしまいます!!

「他の作品はいっそのことなくても良かったぐらいですッ(ちょっとおすぎ入れて読むとより効果的)」とまでは言いませんが、 そんな暴言を吐きたくなるほど、涙を搾り取ってくれる感動的な作品です。

死が迫った犬に対して言う、
「うちに来たときは私の妹だったのに…/ねえ、どうして私より先に年をとるの?/どうして私を追い越すの?」
のモノローグあたりで、安倍もコロの最期を思い出し、人目も憚らず号泣してしまいましたとも。コロの死を実感したときに、 これと同じことを思ったので。
犬を飼ったことがあり、そしてその死を迎えたことのある人には、心に染みて染みてしょうがない一編だと思います。


さて、上映が終了し、場内に主題歌「キぃラリぃ~、キぃラぁぁリぃぃ~♪」と流れ始めた頃には、「タダ」 に釣られてホイホイ来たことはすっかり忘れ、「あー、もう一回どっかの劇場で公開されたら観直してもいいなぁー」と思いました。ええ、 この吝嗇の私が金を払ってでも観たいと思ったのですから、たいした吸引力です! 同行した主催者はあくまで「ありがちな話だし、 特に感動はしなかった」なんてほざいていましたが、彼の重たい一重まぶたが四重にも五重にも腫れ上がっているのを、 安倍は見逃しませんでした。

ちなみに私が洟をかみに入ったトイレでは、涙でドロドロになった女子どもが集団で化粧直しをしており、それはそれは壮観でございました。 私もファンデを塗りなおしつつ「一瀬P、やってくれましたね!」と、あらためてその時代の嗅覚に感心したものです。

昼間の太陽の下、化粧がはげてドロドロになった顔で街中を歩く勇気のある方は別ですが、 女子の皆さんにはなるべく遅い回のものをご覧になられることをお薦めします。いや、マジで、ほんとに、 きっれーーに化粧を溶かしてくれるんですわ。っちゅーことで、マスカラ厳禁!!

(2005.3.4)

いぬのえいが 2004年 日本
監督:犬童一心,黒田昌郎,祢津哲久,黒田秀樹,佐藤信介,永井聡,真田敦
脚本:佐藤信介,山田慶太,永井聡 出演:中村獅童,伊東美咲,宮崎あおい,小西真奈美,天海祐希,佐藤隆太,乙葉 他
2005年3月19日、全国ロードショー
公式

2005/04/26/00:29 | トラックバック (0)
安倍まりあ ,特集
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