SRサイタマノラッパー
「ラスト10分、涙がとまらなかった」
――深谷シネマ支配人・埼玉在住
「夢は終わったのか?まだ始まってもいないのか?青春映画としては『キッズ・リターン』以来の衝撃」
――里見真人・ファッション誌「Cool Trans」編集長
「何をやってもうまくいかない、勝ち組から外れてしまったカッコ悪い若者たち。 でも心の奥には熱い熱い想いを秘めている。 重たい灰色の雲間からわずかな太陽の光が射すように。 それを感じ取ることがとても心地良い」――尾崎由香・うえだ城下町映画祭
「人気のラジオ番組で自分が投稿したハガキが初めて採用された次の日、
学校で「お前だろ?あのネタ。つまんなかったなー」って友達みんなに言われて悔し泣きしたことがある。もう10数年前。
そんなあまずっぱい青春時代のことを、今さら思い出させやがる映画です。
ちきしょー!!!!」
――コリ・ハガキ職人
3月14日(土)~3月27日(金)、池袋シネマ・ロサにてレイトショー!
律儀にもゲットーミュージックとしてのヒップホップ
『OBSESSION』(02)、『SEVEN DRIVES』(03)がゆうばりファンタスティック映画祭で2年連続入選、2006年には初の長編映画『JAPONICA VIRUS』が全国公開されて注目を集めた入江悠監督の新作長編映画。
本作は地方都市の青年たちの姿をヒップホップ音楽にのせてシニカルに、そして温かく描いたまったく新しい青春映画である。2008年にロンドンで上映、絶賛された短編をもとに大幅にリライトし北関東の片隅を舞台に、深谷シネマ(深谷フィルムコミッション)の全面協力で長編化された。 全編ほぼ1シーン1カットの撮影、豪華なアーティストによるオリジナルヒップホップトラック、随所にインサートされる斬新なラップなど、映像・音においても監督入江悠の新境地を開拓している。
主演には舞台で活躍する若手俳優・駒木根隆介を抜擢、ヒロインに人気絶好調アイドルのみひろ、共演に杉山彦々(『死神の精度SWEETRAIN』『サッドヴァケイション』)、水澤伸吾、奥野瑛太、益成竜也など今後が期待される若手俳優が顔を揃え、更には謎のラッパーT.K.Dや釣り師ラッパーTECといった大胆なアーティスト陣が脇を固めている。
音楽は、入江悠作品を多く手がける岩崎太整が担当。
近年稀にみるオリジナリティに溢れたヒップホップ音楽が切なく温かい映画の世界を彩り、世界的なスケール感・美しい透明感を実現している。ヒップホップ音楽を支えるリリック(歌詞)にはT.K.DやRTRといったヒップホップアーティストが参加。今までのヒップホップの常識を覆す強烈な批評性を込めた歌詞は、爆笑とともに強烈なインパクトを聴くものに残す。
ナメてもいいよ。
実は見る前はちょっとナメていた。ごめんなさい。
だってタイトルが「埼玉のラッパー」だもの。ほら、あなたもプッって笑った。
けど油断した分だけきっと感動させられると今なら言える。
だって「最近の若者は…」とボヤくおっさんたちの前でSHO-GUNGたちが見せたように、彼らは常に必死だから。高見の僕らを熱いリリックが引きずり下ろす。
「SR」にギャグは一つもない。それが凄い。なぜ彼らが海のない埼玉で「西海岸か東海岸か」にこだわるのか、陸橋からBB 弾を撃ち、トラックに当てるのがなにがそんなに嬉しいのか、ところでブロッコリーってそんなに儲かるのか?ラップなんて結局は「『お前の母ちゃんデベソ』『そんなん言うヤツの方がデベソなんですー』ってレベルでしょ?」と思っていた僕だけど、女神役みひろの立ち位置から見ると「あ、これってオレらじゃん」と気付けた。
彼女に「デブダンサー?」と小馬鹿にされた彼が溜め込んで「…ラッパァーだよぉ」と吐き出す、あの言い回しを全ての男子は経験したことがあるはずだから。女子はいつだって男子のことなんか知ったこっちゃない。「バカだなぁ」と遠巻きに見てるだけ。その内相手にもされなくなって、どっか行っちゃうんだろうけど、そんな時に待ってくれる仲間がいれば、きっと大丈夫。
つまり「SRサイタマノラッパー」はそんな当たり前のことを教えてくれる正しい青春映画なのだ。
松江哲明(ドキュメンタリー監督)
レコード屋もライブハウスもないサイタマ県北部のフクヤ市。
ニートのIKKU(駒木根隆介)は狭い街の中を毎日ぶらぶらしながら、とくにやることもなくなんとなくいつの日か世界的なラッパーになるのを夢みている。
友人のTOM(水澤伸吾)やMIGHTY(奥野瑛太)たちと秘密基地でオリジナルトラックを作って、まずはフクヤ市でライブをやろうと考えている。
しかし現実のところTOMはおっぱいパブの店員だし、MIGHTYは実家のブロッコリー作りで忙しい。
そんなある日、高校の同級生の千夏(みひろ)が東京から帰ってきて……。
偶然、IKKUはスーパーで再会してしまう。
千夏は高校を中退して東京でAV女優として活躍し、また地元に帰ってきたのだった。
些細なすれ違いから、千夏のことを巡って次第にラッパーたちの夢がバラバラになっていく。
夢も希望も無くなったIKKUはヒップホップの服を脱ぎ捨て、焼肉店でバイトを始める。
そこで、かつてのヒップホップ仲間にばったり再会したIKKUは……。
サイタマ県の片田舎で不器用にラッパーを目指す青年たちの、どこか哀しく、やがて可笑しな日々。
まだ誰も観たことのない映画史上初の、まったく新しいヒップホップ青春映画の傑作。
3月14日(土)~3月27日(金)、池袋シネマ・ロサにてレイトショー!
1981年東京都出身。血液型:AB型
日本大学芸術学部映画学科卒業。大学時代から多数の映画に出演。劇団「赤堤ビンケ」に旗揚げから参加。異様な存在感を放つ役者として多数の舞台で活躍中。スリーサイズは100・100・100という空き地に捨てられた土管型。入江悠監督「ジャポニカ・ウイルス」(06)にも出演。観る者の眼に焼き付いて離れない演技とたたずまいで、今後が最も期待される若手俳優の一人である。
1982年、新潟県出身。
写真集『夢』でデビュー後、DVDを25枚以上リリースする日本を代表する人気セクシー女優。『水着スパイ』(07)『 残酷飯店』『桃香クリニックへようこそ』(08)などOVAも多数発売中。『ゴッドタン新春SP』(テレビ東京)では「劇団ひとり」と迫真の演技を見せ、共演者のバナナマンの設楽統に「小屋を押さえて客に見せて、金とっても良い。」と評された。
本作ではかつて超人気セクシー女優として活躍した女の子の設定で、地元に帰ってきた同級生の芝居を迫真の演技で演じ、新境地を見せている。
1976年、宮城県出身。
仙台育英高校で野球部所属。『鍋と友達』(沖田修一監督)で水戸短編映像祭グランプリ受賞。バリエーション豊かな多数の映画・舞台で活躍中。微妙に気持ちの悪い存在感と、憎めない小市民的演技が印象的な俳優。
本作では、「おっぱいパブ」でバイトする「おっぱいパブラッパー」を熱演しているだけでなく、ナヨナヨした気持ちの悪いラップを披露している。
1976年、静岡県生まれ。
『亀虫』(03)で主役を演じるほか、『VICUNAS/ビクーニャ』(02)、『パビリオン山椒魚』(06)など、数多くの冨永昌敬監督作品に出演。他の映画出演作に『サッドヴァケイション』(08/青山真治監督)『死神の精度SWEEETRAIN』(08/筧昌也監督)がある。06年には、「劇団、本谷有希子(アウェー)」の舞台「密室彼女」に演劇初出演し、ファッションブランド「シアタープロダクツ」のコレクションにモデルとして参加。現在、日本映画界で注目の俳優であり、本作では農家で働く不法滞在中国人役を飄々と演じている。
1986年、北海道出身。
日本大学芸術学部映画学科卒業。主に舞台で活躍中の歌って踊れる若手俳優。主演の駒木根隆介と同じ劇団「赤堤ビンケ」に出演をしている。北海道時代に暇を持て余して鍛えたダンスとボイスパーカションは一流アーティストレベル。そのラップとダンスの切れは今回の映画でも光っている。
今回が入江悠作品に初出演とは思えないほど、独特の胡散臭さと軽さを持ち合わせた演技が冴え渡る。
映画「SRサイタマノラッパー」を撮影で協力頂いた埼玉県深谷市で先行上映したときのこと。
どこから駆けつけたのか、仕事帰りのおばちゃんたちが数人集まり会場にやってきて、
「ラッパー始まっちゃうよ、早く行こ!」と言い合っていて、一瞬僕には「ラッパー」というのが何のことか分かりませんでした。でもよく考えたら「ラッパー」は映画「SRサイタマノラッパー」のことだったわけです。
どう考えてもヒップホップに縁がなさそうなおばちゃんたち。そして映画の中に登場するあまりにもサイタマ的なラッパーたち。道路で会ってもたぶんお互いに避けて通るであろう彼らと彼女らが、この映画を通して出会ったとしたら、これはなんと素晴らしいことだろうかと思います。
ヒップホップや音楽をやっている若者たちにももちろん観てもらいたいけど、日々の生活に追われ厄介な息子に手を焼いている主婦の人や、久しぶりの休日にレコードを取り出してジャズなどを聴いている管理職のおじさんなんかにも、やっぱりなんとかして観てもらいたい、と思っています。
1979年、神奈川県生まれ。埼玉県育ち。
03年、日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中より映画や映像作品の制作を始め、短編『OBSESSION』(02)と短編『SEVEN DRIVES』(03)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭のファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門に2年連続入選し、05年には4本の短編を集めた短編集『OBSESSION』が池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開され、注目をあびた。
冨永昌敬監督作品『パビリオン山椒魚』には演出部として参加。2006年に初の長編映画『JAPONICA VIRUS』が全国劇場公開。仙台、埼玉などで入江悠監督特集上映が上映される。他に『くりいむレモン 魔人形』『SPYGIRLS水着スパイ』など。
駒木根隆介 みひろ 水澤紳吾 奥野瑛太 杉山彦々 益成竜也
脚本・監督:入江悠 撮影:三村和弘 音楽:岩崎太整
録音:高田美穂 MA:山本 タカアキ HIPHOPアドバイザー:RTR
協力:深谷シネマ・CLSA・映像義塾学院・ファクチャライズエンターテインメント
製作:ノライヌフィルム 配給:ロサ映画社/ノライヌフィルム
2008/日本/カラー/ステレオ/HD/80分
www.sr-movie.com
3月14日(土)~3月27日(金)、池袋シネマ・ロサにてレイトショー!
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