『牙狼<GARO>~RED REQUIEM~』
完成記者会見/質疑応答編
【STORY】太古より人間の邪心に憑依し、その生命を喰らい続ける魔獣ホラー。
しかし闇に忍び、魔獣を狩る使命を帯びた者達がいた。それが魔戒騎士、魔戒法師である。
ある日、最凶の魔獣・使徒ホラ-7体が復活、人間界へ降臨した。
魔戒騎士を統括する番犬所から指令を受けた冴島鋼牙は、管轄を越え“使徒ホラー”殲滅の旅に出る事となった。数日後、ホラーの気配を追って港町に辿り着いた鋼牙は、そこを管轄する魔戒法師のアカザ、その弟子のシグト、そして烈花と出会う。強大な敵に対し4人の協力が必至と思われたが、何故か烈花は「そのホラーは俺が倒す」と言い残し立ち去ってしまう……。
質疑応答
――原さんに質問なのですが、今回悪役を演じてみて、どういった所が魅力でしたか?
原紗央莉 撮影する時は雨宮監督が絵コンテで「こういう感じ」というのを細かく指示していただきながら演ったのですが、(実際の作品を観て)そういう監督のビジョンみたいなものがそのまま映像になっているなというのを感じましたので、悪役なんですけど凄く格好良かったんですよ。ですので、そういったビジュアルの綺麗なところですね。あ、でも嫌われた方が成功なんですけどね、私的には(笑)。
――みなさんに質問なのですが、一番困難だったシーンはありますでしょうか?
雨宮監督 原さんのラストのシーンで、小西くん扮する牙狼と戦うシーンが一番大変でした。そこはやっぱり一番時間がかかったので……。
小西遼生 ちょっと高い位置で戦うところがあるんですけど、廃屋で撮ったんですね。高い位置というのは、それだけ自分の運動量も増えますし、時間的にも凄い遅い時間まで撮影していたので、そこのアクションシーンは何日間かかけて大変でした。スタッフの皆さんもその時は睡眠時間が足りてなかったりとか、あそこは本当にみんなで頑張って乗り越えた山場だった気がします。
雨宮監督 上からせり出しててね。吹き替えが利かないので、3Dだとインチキできないんですよ。奈落の立体感が出るんで、これはもう小西をせり出してやるしかないと(笑)。安全対策はばっちりやってるんだけど、怖いと言えば怖いよね。ああいった場所で立ち回りするっていうのは……。
小西遼生 そうですね、普通に乗り出すだけではなくて、上から体重かけられましたしね(苦笑)。
原紗央莉 先ほどもちょっと言いましたが、一人でカメラに向かって演技をするとか、私も空中に吊られて撮影するところがあったのですが、アクションの経験も全くないし、ワイヤーで相手のいない相手を想像しながら動くというのがとても大変でした。
迫田憲二 合成という点ではやはり、最後の原さんのシーンですね。グリーンバックの撮影ですので、実際どういう画になるのかと想像しながら撮らなければいけなかったのが大変でした。後は冒頭の「ベビル戦」と言われる部分で、自分的には接地も有りのCGのクリーチャーの実写合成というのが、果たして本当に上手くいくのかというのも、その時はまだちょっと半信半疑でした。ただ撮影の空き時間でとにかく周辺をくまなく計測しまくって、実際のCG上では撮影した空間を計測データ共に3D情報としてCGで全部起こして、その空間を再現したりしなければいけなかったので、冒頭の「ベビル戦」はCG担当としては凄く大変でした。
雨宮監督 ちょっと補足説明すると、何もないところにCGのクリーチャーを合成した場合、クリーチャーはモーションキャプチャーといって別のスタジオで動きだけ撮るんですけど、それがどうやっても合わないんですよね。どうやっても歩いているように見えなくて、何でか全然原因が分からなくて。気がついたら現場で撮った、僕らがフラットだと思っていた場所が実は多少デコボコがあるんですよ。ということは、モーションキャプチャーもそれと同じ凹凸があるところで撮らないとコンポジットできないということがあって。だから一歩一歩、僕らに真っ直ぐに見えても、多分どこかが歪んでるはずなんだよね。真っ直ぐだと思って合成すると、実は歪んでいる。2Dだとそういうのは全然問題にならないんですけど、3Dだとちょっとした凹凸とかで足が浮いているのがすぐ分かってしまうので、そこは結構青くなったよね。
――監督と迫田さんにお聞きします。今回長編の劇映画を3Dで撮ってみて、今後への課題と言いますか、意外とこんなところがこうなるといいのになという部分があれば教えて下さい。
雨宮監督 3Dで今後、ドラマとか新しい映像をお客さんに観せていくというところで、一番大事なのはロケーションかなと思いました。実際、僕らは岩場とか廃屋を一つの空間として撮ってるのですが、本当に非現実的なものをやるのであれば、日本の映画だったら逆に日本ではないロケーションのところが良いと思います。写真だとごまかしが利くんですが、3Dだと実際の風景の奥行きがかなり如実に出るので、ロケーションをきちんとやって、そういうところで仕掛けのあるお芝居が撮れるといいかなと思います。
迫田憲二 今後の課題で撮影に関しては、3Dになるとカメラが2台いるので、ちょっと機動性がなくなってしまうところがあるので、手持ちが出来るとかそういう機動性がかなり上がると、映像の幅というものも広がるのではないかなと。後はCGとかVFXのような仕上げの方に関して言いますと、今回色々やったことで、ちゃんと作っていくと良いものが出来上がるということが分かりました。ただ、映像表現の幅としてはまだまだスタート地点に立ったという感じだと思うんですね、3Dの作品に関しては。そういう所は、立体特有の見せ方というか、2Dの作品だとちょっと間が持たないとか、そういうものが3Dになるとじっくり見えるということで、もうちょっと違った表現が出来るとか、新しい見せ方が出来るとかといった可能性が今後広がっていくのかなと思います。
最後に雨宮監督からメッセージ
雨宮監督 もともと『牙狼』という作品はTVの深夜枠で始まったのですが、もう一度『牙狼』を観たいと言ってくれるファンの人と、『牙狼』をもう一度作ろうと言って下さった方たちのおかげで形になった作品です。仕上げも一年くらい経っているので、僕らが頑張った映画を大きいスクリーンで1回とは言わずに、何回も観てほしいなと思います。よろしくお願いします。
▶会見編1 ▶会見編2 ▶質疑応答編
( 8月20日アキバシアターにて 取材:仙道勇人 )
- 原作・総監督:雨宮慶太
- 出演:小西大樹(現:小西遼生), 藤田 玲, 肘井美佳, 螢 雪次朗
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