実相寺昭雄監督 『おかあさん』139回「あなたを呼ぶ声」©TBS

『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』などの特撮番組の監督し、『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』の庵野秀明監督や樋口真嗣監督といった後の映像作家たちに大きな影響を与えた実相寺昭雄監督は、昨年2016年に没後10年を迎え、今年3月29日には生誕80年を迎える。これを記念して、ホームドラマから特撮、怪奇幻想譚まであらゆるジャンルに常に前衛的に挑んだ実相寺監督の業績を振り返る大回顧展が、渋谷ユーロスペースで4月15日(土)から開催される運びとなった。

現在上映可能な作品を出来るだけ集めたという今回の上映作品の中には、実相寺監督がTBS入社後、弱冠25歳の時に初めて演出をした作品で、1962年の放送以来一般に公開されていないTVドラマ『おかあさん』の実相寺監督演出作品全6話と、1975年放映の歴史教養ドラマ『歴史はここに始まる』の中の2話が含まれており、いずれも今回が初の劇場上映となる。
とりわけ『おかあさん』は、TVドラマとはいえ脚本に大島渚、石堂淑朗、田村孟など、後に大島組と呼ばれる面々や、須川栄三、恩地日出夫といった東宝の監督たちが参加するなど、新人演出家のデビュー作としては異例の陣容で、人間ドラマとしての見応えは十分。また、後に実相寺監督の名を世に知らしめた、いわゆる「実相寺カット・実相寺アングル」の萌芽もすでに見られ、今観ても映像テクニックの斬新さ・奇抜さは色褪せてはいない。

期間中はトークイベントも開催予定とのことなので、特撮ファンの人はもちろん、特撮に興味のない人も、是非この機会に映像の魔術師・実相寺昭雄監督の魅力に触れてみて欲しい。

＜料金＞
一般1400円／大学・専門学校生1200円／会員・シニア1100円／高校生800円／中学生500円
※『おかあさん1』『おかあさん』は500円均一
※『宵闇せまれば』『シルバー仮面』『アリエッタ』『ラ・ヴァルス』は1000円均一
※リピーター割引：半券ご提示で一般1200円、大学・専門学校生1100円

• 4月15日(土)
  12：00『D坂の殺人事件／14：00『歌麿 夢と知りせば』／17：00『宵闇せまれば』／18：00『無常』
• 4月16日(日)
  12：00『おかあさん1(「あなたを呼ぶ声」「生きる」「あつまり」)』／14：00『おかあさん2(「鏡の中の鏡」「さらばルイジアナ」「汗」)』／16：00『ウルトラセブン(「狙われた街」「第4惑星の悪夢」「円盤が来た」)』／19：00『劇場版ウルトラマン』
• 4月17日(月)
  12：00『歴史はここに始まる(「本郷菊富士ホテル」「救世軍廃娼運動」)』／14：00『劇場版ウルトラマン』／17：00『シルバー仮面』／19：00『ウルトラセブン(「狙われた街」「第4惑星の悪夢」「円盤が来た」)』
• 4月18日(火)
  12：00『アリエッタ』／14：00『D坂の殺人事件』／16：00『ラ・ヴァルス』／19：00『青い沼の女』
• 4月19日(水)
  12：00『歌麿 夢と知りせば』／15：00『宵闇せまれば』／16：00『無常』／19：00『アリエッタ』
• 4月20日(木)
  12：00『ウルトラセブン(「狙われた街」「第4惑星の悪夢」「円盤が来た」)』／14：00『シルバー仮面』／16：00『堕落』／19：00『おかあさん1(「あなたを呼ぶ声」「生きる」「あつまり」)』
• 4月21日(金)
  12：00『無常』／15：00『宵闇せまれば』／16：00『歌麿 夢と知りせば』／19：00『おかあさん2(「鏡の中の鏡」「さらばルイジアナ」「汗」)』