椿姫 ( 1983年/イタリア/イタリア語/カラー/スタンダード/105分 )

出演：プラシド・ドミンゴ、テレサ・ストラータス 他
監督：フランコ・ゼッフィレッリ 指揮：ジェームズ・レヴァイン 演奏：メトロポリタン歌劇場管弦楽団

オペラ演出の第一人者として、また「ロミオとジュリエット」や「永遠のマリア・カラス」といった映画の監督として有名なフランコ・ゼッフィレッリが、プラシド・ドミンゴ、テレサ・ストラータスの出演を得て作り上げた至高のオペラ映画。ローマのチネチッタ撮影所に組まれたセットの豪奢さ、美しさは圧倒的で、夢のような場面が次々と続く。
第2幕の夜会のシーンで、ボリショイ・バレエのプリンシパル、ワシーリエフと、プリマのマクシーモワが超絶技巧のダンスを見せるシーンも見逃せない！

リゴレット ( 1982年/イタリア･ドイツ/イタリア語/カラー/スタンダード/116分 )

出演：ルチアーノ・パヴァロッティ、イングヴァール・ヴィクセル、エディタ・グルベローヴァ 他
監督：ジャン=ピエール・ポネル 指揮：リッカルド・シャイー 演奏：ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

物語の舞台であるマントヴァに現存し、実際にマントヴァの支配者たちが使い暮らしていたテ宮殿、 ドゥカーレ宮殿や、パルマのテアトロ・ファルネーゼといった北イタリアに現存する歴史的な建物を実際に使用して撮影は行なわれている。ジュリオ・ロマーノによる有名な壁画「巨人族の没落」が描かれた《巨人の間》や、《馬の間》を颯爽と闊歩するパヴァロッティはまさにマントヴァ公爵そのもの！
タイトル・ロールのリゴレットは、性格的なアクの強い役を歌えば他の追随を許さないヴィクセル。映画ならでは演出で、ヴィクセルが一人二役で演じるモンテローネ伯爵(第1幕でリゴレットに呪いの言葉をかける廷臣)も見どころの一つ。
そして、ジルダ役にはコロラトゥーラの女王、エディタ・グルベローヴァ。若き日の圧倒的で完璧な歌唱は、ジルダの決定版と言える素晴らしさだ。

オテロ ( 1986年/イタリア・アメリカ/イタリア語/カラー/ビスタ/123分 )

出演：プラシド・ドミンゴ、カティア・リッチャレッリ 他
監督：フランコ・ゼッフィレッリ 指揮：ロリン・マゼール 演奏：ミラノ・スカラ座管弦楽団

巨額の製作費をかけて完成した超弩級のオペラ映画で、フランコ・ゼッフィレッリ監督は冒頭の嵐のシーン1カットだけで8万ドルがかかったと回想している。
物語の舞台となるヴェネチア時代のキプロスを再現するため、イタリア南部バルレッタの古城がメインのロケ地に選ばれ、他にヴェネチア・スタイルの建造物が残るクレタ島ヘラクリオンの港、そしてローマのチネチッタ撮影所に組まれた巨大なセットでも撮影が行われた。ゼッフィレッリ・チームによる美術・衣装・撮影は特筆すべき美しさで、何度観ても観あきることのない緊密な画面が構成されている。
プラシド・ドミンゴ、カティア・リッチャレッリ、フスティーノ・ディアスの演技は、いずれもキャリアの頂点と言えるものだ。特に撮影当時、ドミンゴは第二の故郷メキシコ・シティを襲った大地震で身内や知人を多く亡くした直後で、その鬼気迫る演技は、シェイクスピアの時代から二世紀を経ても変わることのない、人間の真実の苦しみと悲しみを私たちに訴えかけてくる。

2013年6月6日(土)～9日(日)まで、
イタリア文化会館アニェッリホールにて開催