千葉 美裸 (女優)
映画『夜だから Night,Because』について
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2014年11月8日(土)より、新宿バルト9ほか全国順次公開
(取材:後河大貴 撮影:牧五百音)
――千葉さんは女優業の傍らで、“SCARLET DIVA”名義で、ミュージシャンとしても活動されており、本作にはエンディングの曲『So Strong』を提供されています。どういった経緯で?
千葉 『So Strong』は、『夜だから』に出演する前、2011年から2012年に跨ぐ瞬間に、10分位でバーッと書きあげた曲なんですね。で、撮影中は音楽から離れる時間が長かったので、「戻れるかしら、私、SCARLET DIVAに……」と不安になってしまって。移動中の車内で、『So Strong』をかけてもらったんです。そしたら、プロデューサーの大原久澄さんが、「これいいじゃん、使おうよ」と言ってくれて。だから、まったくの偶然なんです。
――てっきり、『夜だから』に合わせて作られたのかと思いました。
千葉 個人的に2011年はとても辛い時期で。嘘をつかれることが凄く多くて、傷ついて、「人間ってなんで嘘をつくんだろう?」って悩んでいたんです。だから、『So Strong』の歌詞には、「真実があなたに嘘をつかせたのね」という一節があるんですね。で、私は一瞬、自分を見失ったけれど――でも、傷ついて、悩んだ経験があったからこそ、「私は今、すっごく強いのよ」っていう……そういう曲なんです。
――観客の方にメッセージがあれば、お聞かせください。
千葉 愛に迷ったり、苦しんだりしている人って、きっと大勢いると思うんですけど、そういう方々には絶対、なにかを感じてもらえるんじゃないかと思います。あと……男性は多分、女性の怖さを思い知るんじゃないでしょうか(笑)。でも、それも含めて本当に美しい映画になっていると思うので、この機会に是非、女性の“恐ろしさと美しさ”を思い知っていただきたいですね。 あと、『夜だから』は、私の夢が叶った映画でもあって。私の祖父と母は凄い映画好きで、幼い頃から「女優になれ、女優になれ」と言われて育ったんです。その一方で、家庭は必ずしも平穏無事ではなくて。家で大ゲンカ起きて飛び出したときに、いつも隠れる森があったんです。で、ある日、その森に向かって歩いているときに、ふと「これが映画だったら良かったのにな」って思ったんですよね。「映画だったら、自分がいま抱えている苦しさや悲しみが、意味あるものになるのに」って。その時に、「女優になろう!絶対になる!」って決めたんです。『夜だから』には、そういうシーンがたくさんあると思います。エリカがただ歩いているシーンだったり、ただボーっとしているシーンだったり――一見すると些細なシーンですけど、かつての自分を抱きしめるつもりで演じました。だから、観客の方にメッセージがあるとしたら、「日常のすべてに意味がある」ってことに尽きると思います。
――女優を目指されるようになった頃、影響を受けた女優さんはいますか。
千葉 ヴィヴィアン・リーですね。SCARLET DIVAは、『風と共に去りぬ』で彼女が演じた“スカーレット”から来ているんです。ただ、『風と共に去りぬ』が代表作だと思うんですけど、『欲望という名の電車』では、気が狂った女をこれ以上ないほど演じきっていて。圧倒的に美しいんですけど、その美しささえも簡単に捨てちゃう人なんですよ。彼女ほど、繊細さと激しさを併せ持った女優はいない。だからいつも、「ヴィヴィアン・リーのような女優になりたい」と思っています。我ながら、目標が高いですけど(笑)。
――今後のご予定を教えてください。
千葉 2015年6月公開予定のSABU監督『天の茶助』で、田口浩正さん演じるポンの、幼少期の母親役を演じています。こちらも併せて、劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。
――ご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。
( 取材:後河大貴 撮影:牧五百音 )
監督:佐藤福太郎 プロデューサー:大原久澄 脚本:港岳彦
撮影、共同プロデューサー:早坂伸 音楽:宇波拓
出演:波岡一喜,千葉美裸,小宮一葉,舩木壱輝,Velma,吉田憲章,香住美弥子,森永竜矢,小林美萌,
畑中大空,小林大星,漆原悠日,目黒かなめ,樋口帆波,杉村亮太,中山穂風良,行永理茶
制作:Jill Motion 宣伝・配給:キャンター © MONOCEROS
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