高橋 泉 (映画監督)
映画『ダリー・マルサン』について【5/5】
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第15回東京フィルメックス コンペティション部門出品
(取材:深谷直子)
――次回作はどんな作品になるんですか?
高橋 いちばんやりたいのは歩道橋からお金が降ってくる話です。犯罪が絡み、それをやっているのが女子高生という話ですね。
――またそれは今までと全然違いますね。
高橋 それも企画で書いてくれって言われて書いたんだけど結局通らなくて、面白いのにもったいないなあって思っていたものですね。
――ああ、やっぱりいろいろ書かれる中で、そういう引き出しもたくさんお持ちなんですね。
高橋 でもそれをやるときには多分体制を変えていかなければいけないんで。
――そうですね、役者さんも群青いろの役者さんだけではできないし、そういう作品だと自主ではなくしっかり公開を目指したいですよね。
高橋 大変なんですけどね。実は『ダリー・マルサン』は久々に海外の映画祭が決まったんですけど、そのときに企画書を書いて持っていって、向こうでも売り込んでこようと思っています。おかしな体制ではやりたくないので。
――群青いろのやり方でやらせてくれるところでやりたいと。映画祭含め、楽しみですね。群青いろがステップアップをしてもっと大きな世界に飛び出していく感じがあるということで。
高橋 そうですね、その機会に恵まれればという感じで。ただお金を出してくれるというだけでは多分できないと思うので。僕らのやっていることというのは、映画のセオリー云々というのとはまた別のところにベースがあると思っていて、その根本は変わらないです。
――ええ、伝え方の部分を変えようとしているのが今回の『ダリー・マルサン』でも感じられましたし、方向は変えずにより大きなものへという転換期に来ているようで、本当に楽しみです。去年「『群青いろ』のすべて」をやったことでの発見などはありましたか?
高橋 発見というのではないですけど、作ろうっていう気にはなりましたね。別に全日満席にはなっていないですけど、それでもあれだけの人が来てくれるんだったらやっぱり励みになったというか。他の仕事との両立について、自分の中での矛盾を解決できるようになったのも「『群青いろ』のすべて」をやってからですね。
――『ダリー・マルサン』はこのあと札幌でも上映会をするそうですね。廣末さんの『あした家族』(13)もやったそうなんですが、群青いろが好きで上映してくれるところが現れたという感じなんですか?
高橋 そうです、今回もわざわざフィルメックスのためだけに来てくれて。自分でも自主映画を作っている方なんですけど。
――ああ、そういう方が上映会をしてくださるんですか。
高橋 はい。僕らの作品ってマルC(コピーライト)が完全に僕らなので、やりたいって言ってくれたらいつなんどきでもやります(笑)。
――えっ、じゃあ私もやりたいです(笑)。本当にもっと観たいし観てほしいですよね。廣末さんの『あした家族』も、昨年のPFF一度きりになっているのがもったいない、素晴らしい作品でしたし、『ダリー・マルサン』も1回目はなかなか笑いも起こらないかもしれないですけど、爆笑しながらまた隅々まで堪能したいと思います。
高橋 そうですね、(自主上映の)「群青いろ14」はやりたいなと思っています。
――ぜひともお願いします。独自のやり方で着実に進化している群青いろのこれからの活動をますます楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。
( 2014年12月11日 渋谷で 取材:深谷直子 )
監督:高橋泉 出演:廣末哲万、大下美歩、松本高士、並木愛枝 ほか
製作:群青いろ 製作協力:カズモ
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