日本映画界のゴダール 原 將人監督の火事で焼けた伝説の名作、復活!
『初国知所之天皇復活ロードショー』
上映会&配信 開催
2021年3月13日(土)・14日(日)、京都市ルーメンギャラリーにて開催
両日ストリーミング&リアルライブ配信
『初国知所之天皇』 の魅力
『初国知所之天皇』の大きな魅力は、見終わった後、映画が作りたくなってしまうこと!である。映像や音楽、アートは、誰が作ってもよい!『初国知所之天皇』を見ているうちにそんなパワーがみなぎってきて、クリエイティブなエネルギーが、ふつふつと沸き起こってくる。『初国知所之天皇』は、映画や音楽、アートを志しているクリエーターにとり、創作エネルギーをチャージできる金字塔的な作品として、人気が高い。映画の中では、原監督オリジナルのピュアな映画論や、アートについて、役者として演じること、カメラを回す意味などが語られる。また、原監督が作詞作曲している楽曲群にも注目してほしい。「こんな旅は、無駄だと知って、当てのない旅を続ける~」と歌いながら、映画は進んでいき、いつしか「まるで映画をみているようだ!」と、見るものすべてが映画である!という境地に、原監督が到達する。「カメラを手にして動くだけでカメラが映画に力を与えてくれる。この映画で、映画の力を感じてほしい」と原監督は話す。目的半ばで行き詰まり、くじけそうになった時、何かしらのプレッシャーがのしかかっている時、そうでなくても、ただ、『初国知所之天皇』の透明感あふれる世界に触れてほしい。ピュアな元気を、じわじわと与えてくれる作品である。
『初国知所之天皇』のあらすじ
時代背景は、 1973 年。デニスホッパーとピーターフォンダの『イージーライダー』にインスパイアされ、「ハーレーダビッドソン」ではなく、「馬に乗った男」が北海道から九州まで南下するロードムービーを撮影するはずだった。が、北海道ロケで資金が尽きたため、ストーリー途中の京都から、ひとりの映画監督(原 將人)が、ヒッチハイクをしながら、独自の映画論を展開しつつ、鹿児島まで南下するロードムービー。2台の映写機の映像をシンクロさせた2面マルチという方法、またライブ上映という方法で上映される。
『初国知所之天皇』が伝説の映画となった理由
アートシーンが強烈に活発だった 1973 年。当時 23 才の原監督は、仲間と一緒に『初国知所之天皇』をクランクインさせたが、資金不足により撮影が中断してしまった。しかし、その後も資金が集まらず、ロケ隊はいたしかたなく解散した。しかし、原監督は、どうしても、なんとしてでも、そこであきらめたくなかった。この映画を完成させたかった。バイト代で 8 ミリカメラを買い、心細いながらもひとりでヒッチハイクをしながら、なんとか、京都から鹿児島まで、撮影予定であったロケ地をめぐり、ついに『初国知所之天皇』の撮影を完了。
独自の映画論を展開しながら、映画を巡る旅を日記形式で編集し、曲をつけ、歌詞をつけ、シナリオをつけて、『初国知所之天皇』を完成させた。完成させたが、『初国知所之天皇』は、大手の映画会社が公開して、宣伝をしてくれるような映画ではない。知り合いの喫茶店「ポーリエフォルト」に頼み込んで、2階のフリースペースを上映会場にすると、ガリ版でチラシを作り、映画の常識的な尺を遥かに超えた8時間の長編『初国知所之天皇』の上映を始めた。この独創的な映画活動は、ジワジワと映画界に知れ渡ることになる。上映会場では、バンド活動をしていた仲間と一緒に、自らピアノで伴奏をつけ自作の歌を歌い、ナレーションを朗読するようになる。と、それが好評となり、新しいライブ映画というスタイルに行き着いた。こうして『初国知所之天皇』は、映画を志す同世代にドラスティックなインパクトを与え、多くの映画監督やクリエーター、評論家、研究者を輩出し、コアな映画ファンに支えられながら、伝説の映画と呼ばれるに至ったのである。
『初国知所之天皇復活ロードショー』上映会のみどころ
今回の上映会は、4プログラム。京都の上映会場と、ストリーミング配信で視聴できる。
①『初国知所之天皇』 16 ㎜フィルム2面マルチ
② 燃えた『初国知所之天皇』
③『初国』完成 47 周年記念激生ライブ
④『あなたにゐてほしい』
①『初国知所之天皇』 16 ㎜フィルム2面マルチ 京都市主催のクラウドファウンディング達成により、イマジカラボに保管されている『初国知所之天皇』のネガから新しくリプリントされたフィルムのお披露目上映。 8 ミリフィルムから 16 ミリフィルムにブローアップしたネガからの焼き直しは、現代の技術で、より鮮明にプリントされている。 20 世紀の技術であった、燃えた『初国知所之天皇』のフィルムと比較すると、ぼんやりしていて、よく見えなかった看板の文字や、詳細をクッキリ確認することができる。 16 ミリ 2 面マルチとは、 2 台の 16 ㎜フィルムをシンクロさせながら同時映写する上映スタイル。観客の目の前で、左右同時に同じタイムラインを刻む編集技法は、圧巻としかいいようがなく、左右の映像がピタリとひとつになる瞬間は、鑑賞する方の心拍数もあがってくる。上映会場に心地よく響き渡る、 2 台の映写機が回る音を聴きながら、贅沢なフィルム映画の時間を堪能してほしい。
②燃えた『初国知所之天皇』 火事の中で、奇跡的に燃え残っていた『初国知所之天皇』のフィルムの上映。マテリアルとしてのフィルム変貌は、美しく妖艶であり、デジタルでは不可能な世界を見せてくれる。「フィルムが燃えるとどう変色するのか?」に興味がおありの方は、必見!しかし、一番怖いのが、火事による大きなダメージを受けているフィルムのため、映写機との相性によっては、コマが止まりフレームが燃えてしまう可能性があること。上映には、フィルム映写を知り尽くした技術者の腕とキャリアを必要とするのである。それでも、万が一、映写中にフィルムが燃えてしまうトラブルが発生すると、一旦、映写機を止めて、小休止となる。最後まで、無事に映画が上映されることを祈りつつ鑑賞するレアな映画体験をお望みであれば、ぜひご鑑賞いただきたい。
③『初国』完成 47 周年記念激生ライブ(ライブ映画上映&リアル配信!)
映画の激生ライブ上映とは、一体どのような上映なのか?を、簡単に説明するのは難しく、実際にライブ上映会に参加するのが一番であるとしか言いようがない。イメージしていただきたいのは、映画が産声をあげた頃の映画の時代。そうです。もともと、映画はサイレントで上映されており、映画の上映会場では、弁士が語り、楽士がバイオリンなどを弾きながら、サイレント映像に音をつけていたのであります。同じ映画作品でも、弁士が異なれば、また違った上映会になり、人気弁士にお客が引き寄せられるということも…。さてここで、激生ライブ上映に話を戻すと、その、弁士のような存在が、監督本人であるのが、激生ライブ上映なのである。今回は、 2 人のプロのミュージシャンが、いわば現代版楽士的にセッションに参加する。
今年、70 才になった原監督が、ピアノを弾きながら、楽しそうに熱唱して、ハーモニカを吹き鳴らす。そんな永遠の映画少年(原監督)の姿を見ていると、あー、こんな風にカッコイイ年の重ね方があるんだなー。と勇気が湧いてきます。 20 代の頃とほとんど変わらない声質を維持する原監督の健康の秘密は、公私共に認める健康オタク!もう何十年も玄米、自然食生活を続けていて、ヨガもお得意だとか。
コロナの影響もあり、今回の激生ライブ上映会は、日本国内と世界に向けてリアル配信され、上映会場に足を運ばなくとも、ライブ映画の鑑賞が可能となりました。まだ未開拓な分野と言えるリアル動画配信の世界ですが、配信用の6台のカメラを駆使して、京都の有名映画作家たちがオペレート。さらに、最新鋭の音響・配信チームをスタッフィング。ライブ映画上映の迫力と熱気を期待してほしい。
④『あなたにゐてほしい』 原監督の初めての独立プロ作品。 4 度解散したロケ隊を、そのつど組み直して完成させたという、一筋縄ではいかない原監督の肝入りの作品!撮影前に何度も役者が降りたため、主演は愛くるしい監督夫人。これまで、ほとんど公開されなかった『あなたにゐてほしい』は、 8 ミリフィルムが多用され、フェリーニやゴダールを彷彿とさせる。映画美あふれるヌーベルバーグを愛する映画ファンにとっては、たまらない仕上がりとなっている。
上映会日程・プログラム・料金
【3/13(⼟)】
11:00~: あなたにゐてほしい〜SOAR〜(2015 / 108 分)
13:30~: 初国知所之天皇 16mm Film ニュープリント 2面マルチ(1993 / 108 分)
16:30~: 燃えた 初国知所之天皇(1993 / 108 分)
18:30~: 初国知所之天皇 デジタルリマスター版2面マルチ(1993 / 108 分)
会場⼊場券:1,500 円 ストリーミング配信:1,000 円(3/20(⼟)までアーカイブ視聴可能)
【3/14(⽇)】
14:00~: 初国完成 47 周年記念:原 將人 激生ライブ上映 (2021/240 分)
会場⼊場券:5,000円 リアルライブ配信 14:00~(上)16:30~(下)各1,000円
6台のカメラ、7チャンネルでリアル配信!(3/21(⽇)までアーカイブ視聴可)
京都市下京区麩屋町通五条上ル下鱗形町543 有鱗文化会館2F
チケット販売 ZAIKO 公式サイト