――今後の活動に期待しています。『大和（カリフォルニア）』の公開も楽しみです。海外ではすでに大絶賛されていますよね。

宮崎　この映画の背景にある基地問題云々が驚きだということも言われますが、海外の方がイメージする日本って、やっぱり都心か閑静な住宅街か、もしくは漁村とかのものすごく田舎という、その三択ぐらいしかなかったのに、こういうある種の中間地帯、都市部でも田舎でもない荒んだ郊外が映っている日本の映画を初めて観て驚いたと言ってくださる方が多いです。日本ってきれいでホームレスなんかもいないと思っていたらゴミだらけ、そういうのが多分喜んでいただけた。あとは僕の演出や韓さんのお芝居は身体全体を使うので、言葉が違ってもわかりやすいのかもしれません。映画を観て大和に観光に来てくださる外国の方がわりといたりして、大和の名前を世界に広めたいと思って作ったわけではないんですけど、知らぬ間に広まっていました。「大和」が戦艦大和でもなく、大和市であり日本の旧名であるというのが広まるといいなと思いますね。日本人にとっても「タイトルの『大和』ってナショナリスティックな意味でのヤマト、日本ってことなの？」と戸惑う方もいると思うんですけど、『大和市（カリフォルニア）』も違うし、『大和／厚木／カリフォルニア』も違うし……。

――この『大和（カリフォルニア）』というタイトルのインパクトは素晴らしいと思います。読み方は“大和かっこカリフォルニア”ですか？

「シネマ・レガシー」＠シネマ・ロサ 5月19日～25日

宮崎　“かっこ”は読まずに”大和カリフォルニア”です。（）は柵のイメージです。どっちが内でどっちが外なのかという話でもあって、極端に言うと「これだけ迎合するんだったら、なんで日本はアメリカの州じゃないの？」と思ったりもします。プエルトリコとかの自治領はパスポートなしで行き来できるんですよ。なんで日本はアメリカにパスポートもらえないんだ？っていう気もするんですよね。多分死ぬまでこんな問題が続いていくのかな……と思いつつ。もともと厚木基地も1950年ぐらいには返還される予定だったのに、朝鮮戦争が勃発したからそのまま維持で、と言って今に至るんです。

――そこに暮らす人の身になってこの問題を考えていかなくては……と思います。力のこもった映画をありがとうございました。今年は他にも宮崎監督の作品が公開になりますね。

宮崎　5月にシネマ・ロサで僕が選んだインディーズ映画の名作選を1週間やります（「シネマ・レガシー」／5月19日～25日）。そのあと6月に僕が制作した『5TO9』も公開になって、だから4、5、6月と都内のどこかしらで僕がらみの上映が続く感じです。

――それは楽しみですね。最新作の『TOURISM』もとても好評ですし、これまで海外での評判が先行していた宮崎ワールドが日本で広がっていくのを楽しみにしています。

宮崎　ありがとうございます。一過性の熱病にならないようにがんばります（笑）。