宮崎 大祐 (監督)
映画『大和(カリフォルニア)』について【3/7】
2018年4月7日(土)より新宿K’s cinema ほか全国順次ロードショー
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――サクラとレイの衣装もすごくリアルな感じがしてよかったです。遠藤さんはショートパンツが多く、美脚も披露してくれていましたね(笑)。衣装選びのポイントは?
宮崎 スタイリストの碓井(章訓)さんという方がいろいろと考えてくださって、レイはサンフランシスコから来たからサンフランシスコで流行っている服とか、政治に興味があってヒッピー的な感覚もあるはずだからレインボーカラーの入ったシャツを着せようとか。サクラはサクラで大和に住んでいるから服はどこで買うだろう?というところから始まって、演出家のごとく設計して用意してくださいました。
――青春映画であるとともに、音楽もこの映画の重要な要素になっています。監督は音楽がとてもお好きだとのことですが、その中でもやっぱりヒップホップがいちばんなんですか?
宮崎 実はロックがすごく好きで、ロックから始まった人間なんですけど何でも聴くようになって。音楽が流れていないと不安でしょうがないぐらいの中毒者です。ここ20年ぐらいはラップを聴いていたので今回はラップを取り上げました。でも基本はロックだと自分では思っています。
――そうなんですね。ラップが映画のテーマと密接に結び付きながら、GEZANや割礼の宍戸幸司さんといったロック畑の方たちが重要な役どころで登場しますもんね。
宮崎 カッコイイものをすべて出しちゃおうって。映画って、ジャームッシュとかとは比較できないですけど、そのときにカッコイイと思っていることを全部入れちゃうのがいちばんいいのかなって思っていて、これはまさにそうで「僕はこんなものがカッコイイと思っています」って図鑑みたいになってる。
――確かに(笑)。宍戸さんとGEZANのセッションは夢のようです。
宮崎 割礼は僕のiTunesのプレイリスト常に1位ぐらいの大好きなミュージシャンで。とはいえ宍戸さんは物静かな方なので映画に出てもらうのは難しいだろうなと思っていたんですけど、直接行ってお願いしたら「ああ、ぜひ」みたいな感じで。
――そうなんですか。役柄としては宍戸さんはホームレス役なのですよね? 超越的な雰囲気があって絵になりますね。
宮崎 そうなんです。弾き語りのシーンもサラっと弾くだけなんですけど、駅前に人だかりができちゃって。あの声とゆっくりした動きに誰もが引き寄せられて、オーラが尋常じゃないなと。めちゃくちゃ尊敬しています。
――とてもいい演奏シーンですが、サクラは興味なさそうに通り過ぎてしまいますよね。
宮崎 映画の大きなテーマとして、今まで目には入っていたんだけど気に留めていなかったものが声を上げ始める、というのがありまして。厚木基地に関しても、日本においても東京においてもどんなものか知ってはいても誰も何も言わない。サクラが宍戸さん演じるホームレスの演奏に気付いてそれなりに気になる曲だとか思ったところで、目には入っているけどやっぱり見えていない。基地の南側の森の中に住んでいる人たちが実際にいて、バンドをやったりゴルフをやったりしているんです。そういう住所がない中間地帯に住んでいる人たちがあのホームレスのインスパイア源なんですけど、見えているのに結局何も見ていなかった、そして彼らが声を上げ始めた……というイメージで描きました。
――終盤でサクラはその「中間地帯」に入っていきますが、実際にああいう場所があるんですか。
宮崎 はい、実際のホームレスの人たちが住んでいるのは、もっと小さいちょっとした森なんですが、あのシーンは富士山で撮影しました。現実と地続きの非現実、みたいなことがやりたかったので。
監督・脚本:宮崎大祐(『夜が終わる場所』監督、『孤独な惑星』脚本)
出演:韓英恵,遠藤新菜,片岡礼子,内村遥,西地修哉,加藤真弓,指出瑞貴,
山田帆風,田中里奈,塩野谷正幸,GEZAN,宍戸幸司(割礼),NORIKIYO
撮影:芦澤明子 音響:黄永昌 サウンドデザイン:森永泰弘 プロデューサー:伊達浩太朗
音楽:NORIKIYO Cherry Brown GEZAN 割礼 のっぽのグーニー 配給:boid © DEEP END PICTURES INC.
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