ミシェル・フランコ (監督)
公式インタビュー 映画『母という名の女』について【3/3】
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2018年6月16日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
――邦題『母という名の女』の印象は?
ミシェル・フランコ監督 女性というものが、いかにいろいろなものであり得るかというのを示唆する聡明なタイトルだと思います。女性というのは母であるべきだという思い込みがまだまだ根強いけれど、別に女性は必ずしも全員が母に向いているとは限らないし、なれるものでもない。母になるということは深い理解や努力がないとなれないし、ただ漫然としてなれるわけではないから、そういったことを上手く示唆した良いタイトルだと思いました。
――映画作りはどのように覚えましたか?
ミシェル・フランコ監督 私は映画学校には通っていません。メキシコ映画は質・量・多様性の面でかなりの発展を遂げ、すでに名を成した監督から新人まで、それぞれ思い思いのものを撮るべく名乗りを上げる声が重なり合っている状態ですが、私が高校を卒業した当初は、メキシコで一年に撮られる映画は7本しかなく、映画学校も2つしかありませんでした。そういう状況下だったので、映画ではなくあえて他のものをと思いコミュニケーションを専攻しました。しかし映画に対する愛が消えずNYの映画関係のワークショップに参加して、短編作品を撮り、独学で監督になりました。
――映画作りに対するポリシーは?
ミシェル・フランコ監督 ひとつのテーマがあったとしたら、それに真っ向から対抗するような要素も入れ、同時に複数のものを作品に入れたいとおもっています。単純なストーリーではなく、それ以上のものになるよう目指しています。私は今のところキャラクターの心理を掘り下げていくような映画を作っているので、そういった物語には単純なストーリーは合わないのではないかとも思っています。 私が好きな映画作家は探求心を失わず、失敗を恐れず、そして形式に決して頼ることなく、安全圏で作品作りすることをよしとしない、そんな人たちです。私も常に限界を超えていき、監督という立場からも予測不能な作品を作っていきたいし、誠実でありたいと思っています。多くの映画監督が、例えば一度うまくいった設定を、これだったら観客に響くから、分かりやすいからという理由で繰り返し使うことがあるけれども、それは怠けだと思います。もちろん観客に響く作品にはしたい、繋がりたいとは思っているけれど、すごく誠実なやり方で繋がりたいと思っています。 観客のことをリスペクトしているということがモットーかもしれません。リスペクトしているからこそ挑戦した作品を作りたいとおもえるし、型にはまるような映画作りをしてしまったらもう映画は作らないというくらいの覚悟で作っています。
―― 次回作について教えてください。
ミシェル・フランコ監督 『或る終焉』が完成して以来、ティム・ロスと私はもう1本一緒に撮ろうと話していました。私たちはそれをとても楽しみにしています。今のところ、私たちは一緒に引き籠って執筆にあたっている段階です。ティムともう一度仕事ができるというのは限りない喜びです。まだ執筆中で詳しくは言えないけれど、これまでよりもより多くの視点が描かれ、物語の時間の経過も一律ではなく、あちこちに飛ぶような構造で、私たちの国の社会における格差といったものを描いたようなものにしたいと思っています。野心作なので期待していてください。
原題:Las Hijas de Abril/英題:April’s Daughter)
監督・脚本・製作・編集:ミシェル・フランコ (『父の秘密』(12)、『或る終焉』(15))
撮影:イヴ・カープ(『ホーリー・モーターズ』(12)、『或る終焉』(15))
出演:エマ・スアレス(『ジュリエッタ』(16))、アナ・バレリア・ベセリル、エンリケ・アリソン、ホアナ・ラレキ、エルナン・メンドーサ
© Lucía Films S. de R.L de C.V. 2017 後援:在日メキシコ大使館 配給:彩プロ
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2018年6月16日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
- 監督:マイケル・フランコ
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- 監督:ミシェル・フランコ
- 出演:ティム・ロス, ロビン・バートレット, マイケル・クリストファー, ナイレア・ノルビンド, レイチェル・ピックアップ
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