インタビュー
映画『Cosmetic DNA』大久保健也監督画像

大久保 健也 (監督)
公式インタビュー
映画『Cosmetic DNA』について

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2021年10月9日(土)よりK’s cinemaほか全国順次公開

ナンパ男に暴行を受け、泣き寝入りせざるを得ない状況に追い込まれていた女子美大生が、二人の女性と出会ったことで、復讐と自分たちの未来のための革命に突き進んでいく姿を、痛快で新感覚なタッチで描いた映画『Cosmetic DNA』で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020北海道知事賞、ドイツ・ハンブルク日本映画祭ジャンル作品特別賞を受賞し、次作の『令和対俺』で 2020 年・2021 年とゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2 年連続受賞を達成するなど、新時代を担う異才として今一番見逃せない監督の一人として注目されている大久保健也監督の公式インタビューをお届けする。
大久保 健也 (おおくぼ けんや) 1995 年生まれ、大阪府育ち。 中学校時代に『アバター』を観て衝撃を受け、映画監督を志す。近畿大学文芸学部中退後、フリーランスの映像作家としてインディーズアイドルのミュージックビデオ等を手がける傍ら、ジャンルを問わず自主映画の制作を続ける。 そして 2020 年には初の長編監督作『Cosmetic DNA』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて北海道知事賞を受賞した。 2021 年にはアングラ漫才師の葛藤を描く新作長編『令和対俺』を完成。同作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2021 に出品され、2 年連続ノミネートを果たした。

STORY コスメを愛する美大生・東条アヤカ(藤井愛稀)は、ある時「自分の映画に出演してほしい」とナンパしてきた自称・映画監督の柴島恵介(西面辰孝)に薬物を盛られ、彼から性的暴行を受ける。泣き寝入りせざるを得ない状況に追い込まれ精神的に病んでいくアヤカだったが、大学院生のサトミ(仲野瑠花)、アパレル店員のユミ(川崎瑠奈)と出会ったことで少しずつ自身の心を取り戻していく。しかし、柴島の次なる標的がユミであったと知ったアヤカは突発的に柴島を殺害。やがて死体処理を進める中で、「人間の血液こそが理想の化粧品の材料となる」ということに気づく。

『Cosmetic DNA』画像 『Cosmetic DNA』場面画像1
――現代の日本社会において女性が受ける理不尽なハラスメントを題材にしていますが、この発想はどこから生まれたのでしょうか。

大久保 男でいることにどうしようもなく耐えられなくなった時、ふと「女性に生まれたかった」と思うことがありました。もし自分が女性ならどんな苦しみが待ち受けているのか?そこで受けた傷をどのように癒し、どのように日本社会と対峙していくのか?それが全ての始まりでした。

――影響を受けた映画はあったのでしょうか。

大久保 #MeToo運動が始まった頃から、ハリウッドでもリブート版『ゴーストバスターズ』(2016)のような女性のエンパワーメント映画が公開され、そうしたかっこいい女性が活躍する映画を自分も撮りたいと感じていました。また今の日本社会に目を向けると、解決されていない女性差別の実態があちこちに見受けられます。そんな日本の現状をハリウッドのエンパワーメント映画につなげ、自分流に描けたらという思いがありました。

――タイトルの「cosmetic」にもある通り、本作では「化粧」が重要なモチーフとなっていますね。

大久保 最近は見かけなくなりましたが、僕が中高生だった頃には電車でお化粧をする女性がいて、それを見るのが好きだったんです。そして化粧という行為は、戦争映画などで兵士が戦地に行く前に銃に弾を込める行為に近いんじゃないかと思うようになり、それが本作の「cosmetic」な部分に繋がっています。

――主人公アヤカ役の藤井愛稀さん、サトミ役の仲野瑠花さん、ユミ役の川崎瑠奈さん女性3人の連帯感やその息遣いが生き生きと伝わってきますが、撮影前に何かお話しされましたか。

大久保 3人には「脚本から汲み取ったキャラクターを自由に、間違いなどというものは決してないので大胆に演じてほしい」とお伝えした記憶があります。とはいえ、過酷な現場にも関わらずのびのびとお芝居をされて、休憩時間も仲良くお喋りをする……そんな3人を遠くから眺めて、寂しい気持ちにもなりましたね。そして、作中のみならず撮影裏でも育まれた3人の友情は、僕が体験したくてもできなかった青春だったようにも思えました。

『Cosmetic DNA』場面画像2 『Cosmetic DNA』場面画像3
――大久保監督は本作と次作『令和対俺』で2020年・2021年とゆうばり国際ファンタスティック映画祭での2年連続受賞を達成されました。今後、どのような映画監督になっていきたいとお考えでしょうか?

大久保 2年連続は本当に嬉しいです。自分のやってきたこと・考えていたことは間違っていなかったという喜びがある反面、ここまで自分に力があるのだったらもう逃げられない、映画をやり続けていくしかないという覚悟のようなものができたと思っています。商業映画のお仕事も心待ちにしております。そしてその中でも、作品のジャンルに拘らず、変なプライドも持たず、驕らず、愚直に良い映画を撮りたいです。
映像技術や上映システムは、今度もどんどん飛躍を遂げていくことでしょう。だからこそテクノロジーに支配されないよう肝に銘じながらも、人間の感情の「核」に迫る超エンタメを撮り続けていきたいです。

Cosmetic DNA ( 2020年/日本/109分/DCP/カラー/16:9/ステレオ )
出演:藤井愛稀、西面辰孝、仲野瑠花、川崎瑠奈、吉岡諒、石田健太
監督・脚本:大久保健也 プロデューサー:西面辰孝、大久保健也 製作:穏やカーニバル
ポスタービジュアル:najuco 宣伝デザイン:NORA DESIGN
配給:Cinemago 配給協力:Giggly Box 販売元:オデッサ・エンタテインメント ©穏やカーニバル
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2021年10月9日(土)よりK’s cinemaほか全国順次公開

2021/10/02/18:55 | トラックバック (0)
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