第54回ビジョン・デュ・レールで国際批評家連盟賞 受賞
山形国際ドキュメンタリー映画祭2023審査員特別賞 受賞
台湾国際ドキュメンタリー映画祭審査員特別賞 受賞
ニッツ・アイランド
非人間のレポート
世界の終わりを垣間見る98分!――Screen Daily
2024年11月30日(土)~
シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
私たちは963時間をオンラインゲームの中で過ごし、ドキュメンタリーを作りあげた
仮想世界にフランスの映画クルーが潜入インタビューを敢行!
仮想世界(オンライン)に存在する、ある“島”。そこを舞台に繰り広げられるサバイバル・ゲーム〈DayZ〉。その島にフランスの映画クルーが潜入し、963時間を過ごした──破壊と殺戮、快楽と友情。遭遇したプレイヤーや蔓延るゾンビを殺さなければ生き残ることができないモラルが崩壊した世界。カオスの世界で暴虐の限りを尽くす集団や“誰も殺さない”を信条とするグループ、自ら牧師と名乗りプレイヤーたちに信仰を施す人物……オンライン・ゲームの世界で愉悦にひたる人間(アバター)たちとの出会いを通して、クルーは人間の二面性に直面する。オフラインにいる生身の人間の存在をいやがおうにも感じながら、やがてクルーは、現実と仮想世界の境界を探索する旅へ向かう。その終着は果たしてどこなのか?
ほぼ全編オンラインゲーム内で撮影という新しい手法――
“リアル”とは何か?
物実在するオンライン・ゲーム〈DayZ〉(デイジー)内に963時間潜入し撮影された本作は、ほぼ全編がVRゲームというドキュメンタリーとしてはまったく新しい手法がとられている。時に現実かと思うほど精巧に作り込まれた架空の “島”は、現実世界では不可能な殺人が許された奇妙な世界だ。クルーは自らも生き延びるためにあらゆる手段を尽くしながら、時に攻撃を受けて死に、生き返りながらアバターたちと接触を試み、インタビューを敢行。驚くべきことにアバターたちと交流を続けるうち、現実世界のプレイヤーたちの顔がアバター越しに垣間見えてくる。果たしてどちらが「現実」の姿なのか? 人は何を求めてこの世界にやって来るのか?リアルとバーチャルの境界を問う問題作!
“ネトゲの島”で見えてくる“人間”の姿
撮影クルーが出会ったのは、単に殺し合うだけではない、多様な人びとの姿だ。畑を耕し野菜を育てる人もいれば、オオカミの神“ダゴス様”を崇め、仲間に信仰を説く自称牧師もいる。現実ではヴィーガンだが〈DayZ〉内で人を殺すカップル参加者がいれば、静かで落ち着いた環境を求め既に1万時間もゲーム内で過ごしているという人もいる。目的を持たず、ただぶらついているだけの人もいる。もちろん「殺しを楽しむ」人もいる。単なる「娯楽」を超え、人間は何を求めてこの“島”にやってくるのか? 遭遇したアバターたちにインタビューを重ねることで、“人間性の本質”とでも言うべきものが見えてくる。